2027年度(第59回)試験対応2026年11月6日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

資格の基本2027年度試験対応

社労士とは|社会保険労務士の業務・独占業務・開業と勤務・特定社労士【2027年度試験対応】

2027年度試験対応の解説です。法令の適用時点と試験情報の確認日は、本文・出典の記載をご確認ください。

社会保険労務士(社労士)は、社会保険労務士法に基づく国家資格です。労働・社会保険の書類の作成と手続の代行・代理(1号業務)、帳簿書類の作成(2号業務)、労務管理や社会保険の相談・指導(3号業務)を行います。社労士だけに認められた業務の範囲、開業と勤務の違い、特定社労士の役割を条文で整理します。

公開日
2026年11月6日
更新日
2026年11月6日
情報確認日
2026年11月6日
社労士とはの記事カバー
この記事でわかること

迷いやすい判断を、具体的な行動に変えます

  • 社会保険労務士法が定める使命と職責
  • 1号業務:書類の作成・提出の代行・事務代理
  • 2号業務と3号業務

01社会保険労務士法が定める使命と職責

社会保険労務士法第1条は、社労士の使命を定めています。労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施を通じて、適切な労務管理の確立と、個人の尊厳が保持された適正な労働環境の形成に寄与し、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上、社会保障の向上と増進に資することです。会社の手続を代わりに行う仕事というだけでなく、働く人の環境と社会保障の両方に関わる資格として位置付けられています。

第1条の2は職責として、常に品位を保持し、業務に関する法令と実務に精通して、公正な立場で誠実に業務を行うことを求めています。社労士法そのものも試験範囲に入り、この学習サイトでは「社会保険に関する一般常識」の論点として扱います。

1号業務:書類の作成・提出代行・事務代理。2号業務:帳簿書類を作る。ここまで独占。3号業務:相談・指導。独占業務ではない。特定社労士:付記を受けて紛争手続を代理
図解要点の流れ。詳細と条件は本文で確認してください。拡大して見る ↗

021号業務:書類の作成・提出の代行・事務代理

第2条第1項第1号は、労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成です。申請書等とは、行政機関等に提出する申請書、届出書、報告書、審査請求書、再審査請求書などで、紙の代わりに作る電磁的記録も含みます。社会保険の資格の届出や、労災保険・雇用保険の給付の請求書がこれに当たります。

第1号の2は申請書等の提出手続を代わって行うこと、第1号の3は申請・届出・審査請求などや、それに関する行政機関等の調査・処分について、行政機関等に対する主張・陳述を代理すること(事務代理)です。なお、療養の給付などの費用を医療機関などが請求する事務と、他の法律で制限されている事務は、社労士の業務に含まれません(第2条第4項)。

032号業務と3号業務

第2条第1項第2号は、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(申請書等を除く)の作成です。例えば労働基準法が使用者に作成を求める労働者名簿や賃金台帳は、この帳簿書類に当たります。

第3号は、事業における労務管理その他の労働に関する事項と、労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、相談に応じ、指導することです。法令、労働協約、就業規則、労働契約が守られているかの監査も含みます。このほか第2条の2により、社労士は裁判所で補佐人として、弁護士である代理人とともに出頭し、陳述することができます。

04社労士だけに認められた業務の範囲

第27条は、社労士又は社労士法人でない者が、他人の求めに応じ報酬を得て、第2条第1項第1号から第2号までの事務を業として行うことを禁じています(他の法律に別段の定めがある場合と、政令で定める業務に付随して行う場合を除く)。第1号から第1号の6まで(書類の作成・提出代行・事務代理・紛争解決手続の代理)と第2号(帳簿書類の作成)が、いわゆる独占業務です。

第3号の相談・指導は第27条の対象に入っていません。このため「1号・2号業務は独占、3号業務は独占ではない」と整理されます。独占の要件は「他人の求めに応じ」「報酬を得て」「業として」の3つがそろう場合なので、問題文がどの要件を外しているかを確かめて読みます。

05社労士になるには:試験合格と登録

第3条により、社労士試験に合格した人(又は免除科目が全科目に及ぶ人)で、労働社会保険諸法令に関する事務に通算2年以上従事した人、又は厚生労働大臣がこれと同等以上の経験があると認めた人が、社労士となる資格を持ちます。弁護士となる資格を有する人も社労士となる資格を持ちます。

資格を持つだけでは社労士を名乗れず、全国社会保険労務士会連合会に備える社会保険労務士名簿に登録を受けて社労士となります(第14条の2)。厚生労働省の第58回の合格発表は、2年以上の実務経験がない合格者も、厚生労働大臣が指定した講習を修了すれば登録できると案内しています。2026年8月31日現在の登録者数は47,407人です。

06開業社労士・勤務社労士・社労士法人

他人の求めに応じ報酬を得て第2条の事務を業として行おうとする社労士は、事務所を定めて、その名称や所在地などもあらかじめ登録します(第14条の2第2項)。一般に開業社労士と呼ばれる働き方です。

事業所に勤務して第2条の事務に従事する社労士は「勤務社会保険労務士」で、勤務先の事業所の名称や所在地なども登録します(同条第3項)。また社労士は、第1号から第1号の3まで、第2号、第3号の業務を行うことを目的として、社労士法人を設立できます(第25条の6)。

07特定社労士と紛争解決手続代理業務

第2条第1項第1号の4から第1号の6は、個別労働関係紛争の解決の手続で当事者を代理する業務です。都道府県労働局の紛争調整委員会のあっせんと、男女雇用機会均等法・育児介護休業法・パートタイム有期雇用労働法・労働施策総合推進法などに基づく調停、都道府県労働委員会のあっせん、厚生労働大臣が指定する団体の民間紛争解決手続が対象です。民間紛争解決手続は、紛争の目的の価額が120万円を超える場合、弁護士が同じ依頼者から受任しているものに限られます。

これらの紛争解決手続代理業務は、紛争解決手続代理業務試験に合格し、登録に付記を受けた特定社会保険労務士だけが行えます(第2条第2項)。この試験は、所定の研修を修了した社労士を対象に、厚生労働大臣が毎年1回以上行います(第13条の3)。代理業務には、手続についての相談、和解の交渉、成立した和解の内容の契約の締結も含まれます(第2条第3項)。

08仕事の例:入退社と毎年決まった時期の手続

社労士が扱う手続には、期限が法令で決まっているものが多くあります。健康保険の被保険者資格取得届は、資格取得の事実があった日から5日以内に提出します(健康保険法施行規則第24条)。雇用保険の資格取得届は、被保険者となった日の属する月の翌月10日まで(雇用保険法施行規則第6条)、資格喪失届は被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内です(同第7条)。

毎年の手続では、7月1日現在の被保険者について4月から6月の報酬で標準報酬月額を決め直す定時決定があり(健康保険法第41条)、算定基礎届は7月10日までに出します(同法施行規則第25条)。決まった額はその年の9月から翌年8月まで使われます。労働保険の確定保険料の申告書は、継続事業では次の保険年度の6月1日から40日以内に提出します(徴収法第19条)。こうした届出を事業主の依頼で作り、提出するのが1号業務の典型です。

09申請書等に付ける書面添付と審査事項の付記

社会保険労務士法第17条第1項により、社労士や社労士法人は、自ら作成した申請書等(厚生労働省令で定めるものに限る)について、作成の基礎となった事項を書面に記載して添付するか、申請書等に付記することができます。行政機関から見ると、届出の数字が何に基づいて作られたかを確かめる手がかりになります。

同条第2項は、他人が作成した申請書等の相談を受けて審査し、法令に従って作成されていると認めた場合に、審査した事項とその旨を書面に記載して添付し、又は付記できるとしています。添付や付記をした社労士は、末尾に社労士である旨を付記して記名します(第3項)。どちらも「することができる」の規定で義務ではありません。一方、添付書面や付記に虚偽の記載をすると、懲戒処分の対象になります(第25条の3)。

10開業社労士に課される義務

開業社労士には、勤務社労士にはない義務がいくつかあります。事務所は1か所に限られ、2以上設けるには特に必要がある場合の厚生労働大臣の許可が要ります(第18条第1項)。社労士法人の社員は、自分の事務所を別に設けることができません(同条第2項)。業務に関する帳簿を備えて事件の名称、依頼を受けた年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所・氏名などを記載し、関係書類とともに帳簿閉鎖の時から2年間保存します(第19条)。

また開業社労士は、正当な理由がある場合でなければ依頼を拒めません。ただし紛争解決手続代理業務の依頼は、この義務から除かれています(第20条)。開業社労士と社労士法人の社員は、正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならず、その立場でなくなった後も同様です(第21条)。開業社労士や社労士法人の使用人その他の従業者にも同じ義務があります(第27条の2)。

11すべての社労士に共通する禁止と努力義務

開業・勤務を問わず、社労士は、不正に保険給付を受けることや保険料の賦課・徴収を免れることなど、労働社会保険諸法令に違反する行為について、指示をし、相談に応じるなどしてはなりません(第15条)。違反には3年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金が定められ(第32条)、社労士法の罰則の中で最も重い区分です。信用又は品位を害する行為も禁じられています(第16条)。

第22条第1項は、国や地方公共団体の公務員として職務上取り扱った事件と、仲裁人として取り扱った事件について業務を行うことを禁じています。第23条の2は、名称の使用制限や業務の制限に違反する者から事件のあっせんを受けたり、自分の名義を利用させたりすることを禁じます。勤務社労士には勤務先での事務を適正かつ円滑に処理する努力義務があり(第16条の2)、すべての社労士は社労士会と連合会の研修を受けるよう努めます(第16条の3)。

12懲戒処分は戒告・業務停止・失格処分の3種類

社労士に対する懲戒処分は、戒告、1年以内の業務の停止、失格処分(社労士の資格を失わせる処分)の3種類です(第25条)。故意に真正の事実に反して申請書等の作成、事務代理又は紛争解決手続代理業務をしたとき、又は第15条に違反したときは、業務停止か失格処分の対象です(第25条の2第1項)。相当の注意を怠って同じ行為をしたときは、戒告か業務停止となり、失格処分は含まれません(同条第2項)。

戒告や業務停止の処分をしようとするとき、厚生労働大臣は意見陳述の手続の区分にかかわらず聴聞を行い、その期日の審理は公開で行います(第25条の4)。処分をしたときは理由を付記した書面で本人に通知し、官報で公告します(第25条の5)。このほか厚生労働大臣は、開業社労士や社労士法人に報告を求め、事務所に立ち入って帳簿書類を検査させることができます(第24条)。社労士会も、違反のおそれがある会員に注意を促し、勧告できます(第25条の33)。

13社労士となる資格を持てない人・登録を受けられない人

第5条は欠格事由として、未成年者、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者のほか、失格処分を受けてから3年を経過しない者を挙げています。刑罰については、社労士法又は労働社会保険諸法令の違反は罰金以上、それ以外の法令の違反は拘禁刑以上の刑で、執行を終わるなどした日から3年を経過しない者が該当します。懲戒免職を受けた公務員や、弁護士会から除名された者なども、処分から3年は資格を持てません。

試験に合格して資格を持っていても、第14条の7に当たると登録を受けられません。心身の故障により業務を行うことができない者や、登録の申請日の前日までに労働保険や健康保険などの保険料の滞納処分を受け、処分の日から正当な理由なく3か月以上、その後に納期限が来た保険料を引き続き滞納している者などです。登録後も、登録を受ける資格について告知しなかったり不実の告知をしたりしたことが判明したときや、2年以上続けて所在が不明なときは、連合会が資格審査会の議決に基づいて登録を取り消すことができます(第14条の9)。

14登録と同時に社労士会の会員になる・名称の使用制限

社労士は、登録を受けた時に当然、都道府県の社会保険労務士会の会員となります(第25条の29第1項)。所属先は、開業の登録をした人は事務所の所在地、勤務の登録をした人は勤務する事業所の所在地、どちらでもない人は住所地の都道府県の会です。届け出をして入会するのでなく、登録と同時に会員になる仕組みです。

社労士でない者は、「社会保険労務士」「社労士」その他これに類似する名称を使えません(第26条第1項)。違反には100万円以下の罰金が定められています(第33条)。第27条の業務の制限に違反して、社労士でない者が報酬を得て1号・2号の事務を業として行った場合は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です(第32条の2)。名称の制限と業務の制限は別の条文で、罰則の重さも異なります。

15社労士法人の仕組み

社労士法人は、社労士が設立する法人で、1号から1号の3まで、2号、3号の業務を目的とします(第25条の6)。名称には「社会保険労務士法人」の文字を使い(第25条の7)、社員は社労士でなければなりません(第25条の8)。業務停止の期間中の社労士は社員になれません。定款に定めれば紛争解決手続代理業務も行えますが、社員の中に特定社労士がいる法人に限られます(第25条の9)。

法人の財産で債務を完済できないときは、各社員が連帯して弁済の責任を負います(第25条の15の3第1項)。紛争解決手続代理業務に関して依頼者に負う債務については、特定社労士である社員(特定社員)が連帯して責任を負います(同条第4項)。社労士法人も、成立の時に主たる事務所の所在地の社労士会の会員となります(第25条の29第3項)。

よくある質問

社労士の独占業務はどれですか?

社会保険労務士法第27条が社労士以外の者に禁じているのは、第2条第1項第1号から第2号までの事務を、他人の求めに応じ報酬を得て業として行うことです。書類の作成・提出代行・事務代理・紛争解決手続の代理と、帳簿書類の作成が該当し、第3号の相談・指導は含まれません。

試験に合格すればすぐに社労士を名乗れますか?

名乗れません。社会保険労務士名簿への登録が必要で、登録には通算2年以上の実務経験か、厚生労働大臣が指定した講習の修了が求められます。

特定社労士は裁判で代理人になれますか?

社会保険労務士法が特定社労士に認めているのは、あっせん・調停・指定団体の民間紛争解決手続での代理です。裁判所では、社労士は補佐人として弁護士である代理人とともに出頭し、陳述できます(第2条の2)。

開業社労士は事務所を複数持てますか?

原則として持てません。開業社労士は事務所を2以上設けてはならず、特に必要がある場合に厚生労働大臣の許可を受けたときだけ例外が認められます(第18条第1項)。社労士法人は従たる事務所を設けることができ(第25条の29第4項)、各事務所には、その都道府県の社労士会の会員である社員を常駐させます(第25条の16)。特定社員が常駐していない事務所では、紛争解決手続代理業務を扱えません(第25条の16の2)。

開業社労士は依頼を断れますか?

正当な理由がある場合でなければ断れません(第20条)。紛争解決手続代理業務の依頼はこの義務の対象外です。違反には100万円以下の罰金が定められています(第33条)。

社労士の守秘義務は辞めた後も続きますか?

続きます。開業社労士と社労士法人の社員は、その立場でなくなった後も業務上知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはなりません(第21条)。開業社労士や社労士法人の使用人その他の従業者も同じです(第27条の2)。違反は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金で、告訴がなければ公訴を提起できません(第32条の2)。

失格処分を受けると、もう社労士にはなれませんか?

失格処分を受けた日から3年を経過しない者は、社労士となる資格を有しません(第5条第3号)。資格を失うと登録は抹消されるため(第14条の10)、3年を経過した後に社労士として業務を行うには、改めて登録を受ける必要があります。

確認した公的情報

この記事の参照元

法令、制度、試験日程は変更される場合があります。受験・手続の前には、リンク先の最新案内も確認してください。