2027年度(第59回)試験対応2026年11月6日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

試験情報2027年度試験対応

社労士の救済と足切り|科目の基準点が下がる条件と過去6回の実績【2027年度試験対応】

2027年度試験対応の解説です。法令の適用時点と試験情報の確認日は、本文・出典の記載をご確認ください。

社労士試験の足切りは科目ごとの基準点のことで、1科目でも届かなければ総得点が高くても不合格です。いわゆる救済は、その基準点を受験者全体の得点の分布に応じて年度ごとに引き下げる補正で、どの科目が下がるかは合格発表まで分かりません。第53回から第58回の6回では4回で延べ8科目が下がりましたが、1科目も下がらない年もありました。条件・実績・点数別の見通し・救済に頼らない得点の作り方を、厚生労働省と試験センターの公表資料で確かめます。

公開日
2026年11月6日
更新日
2026年11月6日
情報確認日
2026年11月6日
社労士の救済と足切りの記事カバー
この記事でわかること

迷いやすい判断を、具体的な行動に変えます

  • 社労士試験の「足切り」と「救済」とは何ですか
  • 救済が入るのは、17の基準点のうち科目の15個です
  • 「救済」と呼ばれるものは3種類あり、意味が違います

01社労士試験の「足切り」と「救済」とは何ですか

足切りは、科目ごとに決められた基準点のことです。社労士試験は総得点の基準点に加えて科目ごとの基準点があり、1科目でも届かないと、総得点がどれだけ高くても不合格になります。救済は、この科目の基準点を年度ごとに引き下げる補正の通称です。厚生労働省の「合格基準の考え方」では「科目最低点の補正」「引き下げ補正」と書かれ、「救済」という言葉は使われていません。

第58回(令和8年度)の合格基準は、選択式が総得点25点以上かつ各科目3点以上(ただし雇用保険法は2点以上)、択一式が総得点47点以上かつ各科目4点以上でした。かっこ書きの「雇用保険法は2点以上」が、いわゆる救済が入った箇所です。選択式・択一式の科目の組み方と配点は、科目・配点・合格基準の記事で詳しく説明しています。

足切りとは:17の基準点を1つ割ると不合格。救済の条件:基準点以上が5割未満なら引下げ。過去の実績:6回中4回で延べ8科目が下がった。得点の作り方:救済なしで各科目に余裕を持つ
図解要点の流れ。詳細と条件は本文で確認してください。拡大して見る ↗

02救済が入るのは、17の基準点のうち科目の15個です

合否を決める基準点は、選択式8科目、択一式7科目、選択式と択一式それぞれの総得点の合わせて17個です。第58回の受験案内は、合格基準点を選択式と択一式のそれぞれの総得点と科目ごとに定めて合格発表日に公表し、各成績のいずれかが合格基準点に達しない場合は不合格になるとしています。救済の対象になるのは、このうち科目の15個です。

総得点の2つの基準点も毎年動きますが、こちらは前年度の平均点との差に応じて前年度の基準点を上げ下げする、別の補正です。科目の救済のように「基準点以上の受験者が何割いたか」で決まるものではありません。総得点の補正の計算と端数の扱いは、科目・配点・合格基準の記事と合格率の記事にまとめています。

03「救済」と呼ばれるものは3種類あり、意味が違います

受験者の間で救済と呼ばれるのは、主に科目の基準点の引下げです。これとは別に、問題に誤りがあったときに2つの選択肢をどちらも正答とする措置があります。第58回は択一式の「労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識」の問9でDとE、第56回は択一式の労働者災害補償保険法の問6でCとDが正答とされました。全受験者の採点に効く措置で、基準点の補正とは別のものです。

反対に、救済されないと明記されているものもあります。第58回の受験案内は、ドアの開閉音や空調音、他の受験者の咳などの生活騒音があっても救済措置は行わず、監督業務上の声掛けも試験時間の中断とはならず救済措置はないとしています。「救済」で調べるときは、どの意味の話なのかを分けて読む必要があります。

04科目の基準点はどんなときに下がりますか(5割と7割の決まり)

厚生労働省の「合格基準の考え方」は、各科目の合格基準点(選択式3点、択一式4点)以上の受験者の割合が5割に満たない場合に、合格基準点を引き下げ補正するとしています。その科目で基準点を取れた人が受験者の半分未満だったかどうかが出発点です。受験者が「難しかった」と感じたかどうかではなく、受験者全体の得点の分布で決まります。

ただし、試験の水準を保つため、次の2つの場合は原則として引き下げません。1つは、引き下げた基準点以上の受験者の割合が7割以上になる場合です。もう1つは、引き下げた基準点が選択式で0点、択一式で2点以下になる場合です。仮の数字で言えば、ある科目で3点以上の受験者が45%しかいなくても、2点以上の受験者が75%いれば、原則として2点には下がりません。

05基準点はどこまで下がりますか(選択式は1点、択一式は3点まで)

引き下げた基準点が選択式で0点、択一式で2点以下になる場合は原則として引き下げないので、原則の下限は選択式が1点、択一式が3点です。選択式は3点から最大2点、択一式は4点から1点だけ下がる余地しかありません。択一式で4点を割った場合、救済を受けられても3点が限度なので、2点以下の科目があれば原則として合格できません。

資料は1回に何点ずつ下げるかを書いていませんが、実際に2点下がった例があります。第53回(令和3年度)の選択式の「労務管理その他の労働に関する一般常識」は、3点から1点まで下がりました。第53回から第58回の6回で、択一式の引下げは第57回の雇用保険法(3点以上)の1回だけで、ほかの引下げはすべて選択式でした。

06第53回〜第58回に救済が入った年と科目

公表された合格基準で科目の引下げを確かめると、第53回(令和3年度)は選択式の労務管理その他の労働に関する一般常識が1点、国民年金法が2点でした。第54回(令和4年度)と第55回(令和5年度)は、全科目が選択式3点・択一式4点のままです。第56回(令和6年度)は選択式の労務管理その他の労働に関する一般常識が2点でした。

第57回(令和7年度)は選択式の労働者災害補償保険法・労務管理その他の労働に関する一般常識・社会保険に関する一般常識が2点、択一式の雇用保険法が3点で、6回で最も多い4科目でした。第58回(令和8年度)は選択式の雇用保険法が2点です。6回のうち4回で、延べ8科目が下がりました。各回の総得点の基準点と合格率の推移は、合格率の記事で扱っています。

07科目ごとに見ると、6回とも一度も下がっていない科目があります

同じ6回を科目ごとに並べ直すと、選択式で下がったのは労働の一般常識(第53回・第56回・第57回の3回)、国民年金法(第53回)、労災保険法(第57回)、社会保険の一般常識(第57回)、雇用保険法(第58回)です。労働基準法及び労働安全衛生法、健康保険法、厚生年金保険法は、6回とも3点のままでした。択一式は雇用保険法の1回を除き、6科目が4点のままです。

ここから言えるのは、救済が入りやすい科目を決め打ちする根拠は乏しいということです。労働の一般常識は3回下がりましたが、第54回・第55回・第58回は3点のままでした。第57回に下がった労災保険法と社会保険の一般常識は、翌年の第58回は3点に戻っています。前の年に下がった科目が次の年も下がるとは限らないので、どの科目も3点・4点を取る前提で準備します。

08救済が多い年は合格しやすいのですか

6回の数字を並べると、救済の科目数と合格率はそろっていません。4科目が下がった第57回は合格率5.5%で、総得点の基準点も選択式22点・択一式42点と6回で最も低い年でした。1科目も下がらなかった第54回は5.3%、第55回は6.4%です。1科目だけ下がった第58回は9.3%で、6回で最も高い合格率でした。

また「合格基準の考え方」は、科目の引下げを2科目以上行ったことで例年の合格率と比べて高くなるとき(概ね10%を目安)は、総得点の合格基準点を1点足し上げるとしています。救済で科目の基準点を満たしても、総得点の側で届かなくなることがある決まりです。この足し上げと翌年の補正への影響は、科目・配点・合格基準の記事で詳しく説明しています。

09救済があるかどうかは、いつ分かりますか

救済の有無が分かるのは合格発表の日です。第58回は試験が2026年8月23日(日)、合格発表が10月1日(木)で、厚生労働省のホームページと社会保険労務士試験オフィシャルサイトに合格者の受験番号が掲載され、合格基準も同じ日に公表されました。試験から5週間あまり、救済が入るかどうか分からないまま待つことになります。

受験案内は、合格基準に関する照会にも、合否と成績に関する照会にも理由を問わず応じないとしているので、発表の前に公式に救済の有無を知る方法はありません。成績(結果)通知書は、途中棄権者などを除く受験者に10月14日(水)に普通郵便で発送すると案内されていました。第59回(2027年度)の日程は未公表で、2027年4月ごろの受験案内で確認してください。

10救済の予想やネットの書き込みはどこまで当てになりますか

引下げは、受験者全体のうち基準点以上を取った人の割合で決まります。この割合は発表前に公表されません。試験後に出回る救済予想は、一般に、自己採点の結果を寄せた一部の受験者のデータや、問題の難しさの印象をもとにしたものです。集まった人の顔ぶれが受験者全体と同じとは限らないので、予想と実際の判定が一致する保証はありません。

実績を見ても、第57回のように選択式・択一式で4科目が下がった年もあれば、第54回・第55回のように1科目も下がらなかった年もあります。予想を読むこと自体は構いませんが、合否が確定するのは発表だけです。予想の書き込みを追い続けるより、その時間を次の年の準備や、基準点を割った科目の見直しに回したほうが得になります。

11自分の点数で救済はありえますか(点数別の見通し)

選択式で2点の科目は、1点の引下げで届きます。第53回から第58回の6回では、選択式の8科目×6回の48のうち7で2点以下への引下げがありました。選択式で1点の科目は2点の引下げが要り、6回では第53回の労働の一般常識の1回だけです。選択式で0点の科目は、引き下げた基準点が0点になる場合は原則として下げないため、救済の対象になりません。

択一式で3点の科目は1点の引下げで届きますが、6回では7科目×6回の42のうち第57回の雇用保険法の1回だけでした。択一式で2点以下の科目は、原則として救済の対象外です。基準点を割った科目が2つ以上あれば、その全部が下がらないと合格できません。これは過去6回の実績で、次の回にどの科目が下がるかを示すものではありません。

12救済待ちのあいだにしておくこと

発表を待つあいだは、合否にかかわらず次の準備に使える記録を残しておきます。基準点を割った科目と、割った原因(知らなかった論点、数字の覚え違い、時間切れ)を書き出しておくと、翌年の計画を立てるときに役立ちます。なお第58回の受験案内は、試験中に受験票へ問題文や解答を書き込むことは認めないとしています。自己採点の手順と正答の見方は、正答と自己採点の記事にまとめています。

受験案内によると、成績(結果)通知書は第59回から第61回の試験の受験資格証明書として使えるため、再受験の可能性がある人は保管しておきます。救済が入らず不合格だった場合も、自己採点でどの科目があと何点足りなかったかを控えておけば、次の年に最初に手を付ける科目がはっきりします。第59回の受験資格証明書の扱いは、2027年4月ごろの受験案内で確認してください。

13救済に頼らない得点の作り方①:選択式は救済の少ない科目ほど落とせない

6回の実績では、労働基準法及び労働安全衛生法、健康保険法、厚生年金保険法の選択式は一度も引き下げられず、毎回3点のままでした。こうした科目で2点にとどまると、救済を待つ余地は小さいと考えて準備します。条文の目的・定義と、期間・率・人数などの数字を正確に覚えておくことが土台になり、空欄の前後の文から入る語の種類を絞る練習も役に立ちます。

一方、6回で最も多く下がったのは選択式の労働の一般常識でした。この科目には労働契約法などの法令のほか、労務管理の用語や労働経済の統計が入り、範囲が広いと一般に言われます。それでも6回のうち3回は3点のままだったので、救済を当てにはできません。法令の出題で2点を固め、統計や白書は直近の公表値に目を通しておくのが現実的です。

14救済に頼らない得点の作り方②:択一式は4点の下に余裕がない

択一式の引下げは6回で第57回の雇用保険法の1回だけで、下限も3点です。択一式で4点を割ったら救われないと考えて準備します。労災保険法と雇用保険法は10問のうち問8から問10が徴収法なので、この3問を落とすと、残りの7問で4点を取らなければなりません。徴収法は2つの科目の基準点に響くので、後回しにしないことが大切です。

この学習サイトでは、救済を前提にしない平常の到達点として、最低ライン(選択式3点・択一式4点)に1〜2点の余裕を持たせ、選択式は各科目4点、択一式は各科目6点を目安にすることを勧めます。問題の難しさが年によって変わっても、余裕のある科目は足切りを避けやすくなります。模試や演習は科目別に記録し、余裕が1点もない科目から先に手を入れます。

15合トレで科目ごとの基準点割れを防ぐ

合トレの社労士の一問一答は科目別に解けるので、正答率の低い科目、つまり足切りの危険が高い科目を早めに見つけられます。見つけた科目は、論点解説で条文の要点を確かめ、比較表で似た制度の違いを整理し、数字シートと暗記カードで選択式に出やすい数字や期間を覚え直します。総得点ではなく科目ごとの穴をふさぐ使い方が、救済に頼らない準備に向いています。

よくある質問

社労士試験の足切りとは何ですか?

科目ごとに決められた基準点のことです。選択式8科目・択一式7科目のどれか1つでも基準点に届かないと、総得点が基準を超えていても不合格になります。原則は選択式が各科目3点、択一式が各科目4点です。

2026年(第58回)の社労士試験の合格ラインは?

選択式は総得点25点以上かつ各科目3点以上(雇用保険法は2点以上)、択一式は総得点47点以上かつ各科目4点以上でした。2026年10月1日の合格発表日に公表されています。

令和7年度(第57回)の合格基準点は?

選択式は総得点22点以上かつ各科目3点以上(労災保険法・労働の一般常識・社会保険の一般常識は2点以上)、択一式は総得点42点以上かつ各科目4点以上(雇用保険法は3点以上)でした。

2021年(第53回・令和3年度)の合格ラインは?

選択式は総得点24点以上で、労働の一般常識は1点以上、国民年金法は2点以上、そのほかの科目は3点以上でした。択一式は総得点45点以上かつ全科目4点以上です。

救済(科目の基準点の引下げ)は毎年ありますか?

ありません。基準点以上の受験者が5割に満たない科目があるときだけです。第53回から第58回の6回では4回で引下げがあり、第54回と第55回は全科目で引下げがありませんでした。

択一式でも救済はありますか?

あります。ただし第53回から第58回の6回では第57回の雇用保険法(3点以上)の1回だけです。2点以下には原則として下げないので、択一式の下限は3点です。

社労士の合格基準点(合格ライン)の推移は?

総得点の基準点は、第53回から第58回の順に、選択式が24点・27点・26点・25点・22点・25点、択一式が45点・44点・45点・44点・42点・47点でした。前年度の平均点との差で毎年補正されます。

救済の予想や合格ラインの予想は当たりますか?

引下げは受験者全体の得点の分布で決まり、その分布は発表前に公表されません。予想は一部の受験者のデータに基づくもので、確定するのは合格発表日だけです。試験センターも合格基準に関する照会には応じません。

確認した公的情報

この記事の参照元

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