2027年度(第59回)試験対応2026年11月6日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

本試験問題(2024年実施)

令和6年度(第56回)社会保険労務士試験の過去問70問

収録している70問を、1問ずつ答え合わせしながら進みます。間違えた問題は 関連論点の要点整理へ直行でき、解答はこの端末に自動保存されます。

70問
収録数
選択式8問(40点・80分)と択一式70問(70点・210分)
本試験

問1労働基準法・労働安全衛生法

解答 0/70・正解 0

労働基準法の総則(第1条〜第12条)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1〜5キーで解答できます

令和6年度(第56回)の全70問|問題文・正解・解説

収録している70問を、正解と解説つきで通して読めます。上の演習で 間違えた問題を見直すときや、特定の論点がどう問われたかを確かめたいときに使ってください。 問題文と正解番号は全国社会保険労務士会連合会 試験センター(厚生労働大臣の委託)の公表資料に基づきます。各問の解説は合トレ編集部が独自に作成したもので、全国社会保険労務士会連合会 試験センター(厚生労働大臣の委託)が作成・監修したものではありません。

  1. 問1

    労働基準法・労働安全衛生法

    労働基準法の総則(第1条〜第12条)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A労働基準法第1条にいう、「人たるに値する生活」とは、社会の一般常識によって決まるものであるとされ、具体的には、「賃金の最低額を保障することによる最低限度の生活」をいう。
    2. B「労働基準法3条は労働者の信条によって賃金その他の労働条件につき差別することを禁じているが、特定の信条を有することを、雇入れを拒む理由として定めることも、右にいう労働条件に関する差別取扱として、右規定に違反するものと解される。」とするのが、最高裁判所の判例である。
    3. C事業場において女性労働者が平均的に能率が悪いこと、勤続年数が短いことが認められたため、男女間で異なる昇格基準を定めていることにより男女間で賃金格差が生じた場合には、労働基準法第4条違反とはならない。
    4. D在籍型出向(出向元及び出向先双方と出向労働者との間に労働契約関係がある場合)の出向労働者については、出向元、出向先及び出向労働者三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて出向元の使用者又は出向先の使用者が、出向労働者について労働基準法等における使用者としての責任を負う。
    5. E労働者に支給される物又は利益にして、所定の貨幣賃金の代わりに支給するもの、即ち、その支給により貨幣賃金の減額を伴うものは労働基準法第11条にいう「賃金」とみなさない。

    正解:D

    解説

    正解はD。労基法の総則の基本的な解釈(1条・3条・4条・使用者の範囲・11条の賃金)を問う問題である。在籍型出向では、権限と責任の分担に応じて出向元・出向先がそれぞれ使用者責任を負う点が決め手となる。

    A:誤り。「人たるに値する生活」は社会の一般常識で決まるとされるが、賃金の最低額を保障する最低限度の生活に限るものではなく、労働者の標準家族の生活も含めて考えるとするのが行政解釈である(労基法1条1項)。

    B:誤り。最高裁判例は、3条は雇入れ後の労働条件についての制限であり、雇入れそのものを制約する規定ではないとしている。特定の信条を理由に雇入れを拒んでも、3条違反とはならない。

    C:誤り。女性労働者が平均的に能率が悪い、勤続年数が短いといった一般的・平均的な事情を理由に、女性であることをもって賃金に差を付けることは4条違反となる(行政解釈)。

    D:正しい。在籍型出向の出向労働者については、出向元・出向先・出向労働者三者間の取決めで定めた権限と責任に応じて、出向元又は出向先の使用者が労基法上の使用者責任を負う(行政解釈)。

    E:誤り。所定の貨幣賃金の代わりに支給し、貨幣賃金の減額を伴う物又は利益は、労働の対償として11条の「賃金」とみなすのが行政解釈である。

  2. 問2

    労働基準法・労働安全衛生法

    労働基準法の解釈に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものには○、誤っているものには×を付した場合の組合せとして、正しいものはどれか。 ア 労働基準法において一の事業であるか否かは主として場所的観念によって決定するが、例えば工場内の診療所、食堂等の如く同一場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門が存する場合に、その部門が主たる部門との関連において従事労働者、労務管理等が明確に区別され、かつ、主たる部門と切り離して適用を定めることによって労働基準法がより適切に運用できる場合には、その部門を一の独立の事業とするとされている。 イ 労働基準法において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいい、「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。 ウ 労働契約とは、本質的には民法第623条に規定する雇用契約や労働契約法第6条に規定する労働契約と基本的に異なるものではないが、民法上の雇用契約にのみ限定して解されるべきものではなく、委任契約、請負契約等、労務の提供を内容とする契約も労働契約として把握される可能性をもっている。

    1. A(ア○イ○ウ○)
    2. B(ア○イ○ウ×)
    3. C(ア○イ×ウ○)
    4. D(ア×イ○ウ×)
    5. E(ア×イ×ウ○)

    正解:C

    解説

    正解はC(ア○イ×ウ○)。労基法上の「事業」「使用者」「労働契約」の概念を問う問題である。イが「使用者」を賃金を支払う者とする点で誤っていることが決め手となる。

    ア:正しい。事業か否かは主として場所的観念で決まるが、同一場所でも著しく労働の態様を異にする部門が、従事労働者・労務管理等で明確に区別され、切り離して適用する方が法の運用が適切になる場合は、独立の事業とされる(行政解釈)。

    イ:誤り。「使用者」とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう(労基法10条)。賃金を支払う者という定義ではない。後段の賃金の定義は11条のとおりである。

    ウ:正しい。労基法上の労働契約は、本質的には民法623条の雇用契約や労契法6条の労働契約と異ならないが、民法上の雇用契約に限られず、委任・請負など労務提供を内容とする契約も、実態により労働契約と把握される可能性がある(行政解釈)。

    よって組合せは(ア○イ×ウ○)で、C。

  3. 問3

    労働基準法・労働安全衛生法

    労働基準法に定める労働契約等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A使用者は、労働基準法第14条第2項に基づき厚生労働大臣が定めた基準により、有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。
    2. B使用者は、労働基準法第15条第1項の規定により、労働者に対して労働契約の締結と有期労働契約(期間の定めのある労働契約)の更新のタイミングごとに、「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」に加え、「就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲」についても明示しなければならない。
    3. C使用者が労働者に対して損害賠償の金額をあらかじめ約定せず、現実に生じた損害について賠償を請求することは、労働基準法第16条が禁止するところではないから、労働契約の締結に当たり、債務不履行によって使用者が損害を被った場合はその実損害額に応じて賠償を請求する旨の約定をしても、労働基準法第16条に抵触するものではない。
    4. D使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入であるときは、利子をつけなければならない。
    5. E労働基準法第23条は、労働の対価が完全かつ確実に退職労働者又は死亡労働者の遺族の手に渡るように配慮したものであるが、就業規則において労働者の退職又は死亡の場合の賃金支払期日を通常の賃金と同一日に支払うことを規定しているときには、権利者からの請求があっても、7日以内に賃金を支払う必要はない。

    正解:E

    解説

    正解はE。労働契約の締結・終了に関する規定(雇止め予告、労働条件の明示、賠償予定の禁止、強制貯金、金品の返還)を問う問題である。23条の7日以内の支払は就業規則の定めで排除できない点が決め手となる。

    A:正しい。労基法14条2項に基づく「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準」により、3回以上更新し又は1年を超えて継続勤務している者の有期労働契約を更新しない場合(あらかじめ不更新が明示されている場合を除く)は、少なくとも契約期間満了日の30日前までに予告しなければならない。

    B:正しい。労基法15条1項・同法施行規則5条1項により、令和6年4月から、労働契約の締結時と有期労働契約の更新時ごとに、就業の場所・従事すべき業務に加え、それらの「変更の範囲」も明示しなければならない。

    C:正しい。労基法16条が禁止するのは損害賠償額をあらかじめ約定することであり、現実に生じた損害について実損額に応じて賠償を請求する旨の約定は禁止されない(行政解釈)。

    D:正しい。貯蓄金の管理が労働者の預金の受入れであるときは、利子をつけなければならない(労基法18条4項)。

    E:誤り。労働者の死亡又は退職の場合、権利者の請求があれば、使用者は7日以内に賃金を支払わなければならない(労基法23条1項)。就業規則で通常の賃金支払日に支払うと定めていても、請求があれば7日以内に支払う必要がある(行政解釈)。

  4. 問4

    労働基準法・労働安全衛生法

    使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払方法として、労働基準法施行規則第7条の2第1項第3号に掲げる要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者(指定資金移動業者)のうち労働者が指定するものの第二種資金移動業に係る口座への資金移動によることができる(いわゆる賃金のデジタル払い)が、次の記述のうち、労働基準法施行規則第7条の2第1項第3号に定めるものとして、誤っているものはどれか。

    1. A賃金の支払に係る資金移動を行う口座(以下本問において「口座」という。)について、労働者に対して負担する為替取引に関する債務の額が500万円を超えることがないようにするための措置又は当該額が500万円を超えた場合に当該額を速やかに500万円以下とするための措置を講じていること。
    2. B破産手続開始の申立てを行ったときその他為替取引に関し負担する債務の履行が困難となったときに、口座について、労働者に対して負担する為替取引に関する債務の全額を速やかに当該労働者に弁済することを保証する仕組みを有していること。
    3. C口座について、労働者の意に反する不正な為替取引その他の当該労働者の責めに帰することができない理由で当該労働者に対して負担する為替取引に関する債務を履行することが困難となったことにより当該債務について当該労働者に損失が生じたときに、当該損失を補償する仕組みを有していること。
    4. D口座について、特段の事情がない限り、当該口座に係る資金移動が最後にあった日から少なくとも10年間は、労働者に対して負担する為替取引に関する債務を履行することができるための措置を講じていること。
    5. E口座への資金移動に係る額の受取について、現金自動支払機を利用する方法その他の通貨による受取ができる方法により1円単位で当該受取ができるための措置及び少なくとも毎月1回は当該方法に係る手数料その他の費用を負担することなく当該受取ができるための措置を講じていること。

    正解:A

    解説

    正解はA。賃金のデジタル払いで指定資金移動業者が満たすべき要件(労基法施行規則7条の2第1項3号イ〜チ)を問う問題である。口座残高の上限は100万円であり、500万円とする点が決め手となる。

    A:誤り。口座について労働者に対して負担する債務の額が「100万円」を超えないようにする措置、又は超えた場合に速やかに100万円以下とする措置を講じていることが要件である(則7条の2第1項3号イ)。

    B:正しい。破産手続開始の申立てを行ったときなど債務の履行が困難となったときに、債務の全額を速やかに労働者に弁済することを保証する仕組みを有していること(同号ロ)。

    C:正しい。労働者の意に反する不正な為替取引など、労働者の責めに帰することができない理由で損失が生じたときに、その損失を補償する仕組みを有していること(同号ハ)。

    D:正しい。特段の事情がない限り、口座に係る資金移動が最後にあった日から少なくとも10年間は、債務を履行できるための措置を講じていること(同号ニ)。

    E:正しい。ATM等により1円単位で通貨による受取ができる措置と、少なくとも毎月1回は手数料等を負担せずに受取ができる措置を講じていること(同号ヘ)。

  5. 問5

    労働基準法・労働安全衛生法

    労働基準法に定める労働時間に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。 ア 労働基準法第32条の2に定めるいわゆる1か月単位の変形労働時間制を適用するに当たっては、常時10人未満の労働者を使用する使用者であっても必ず就業規則を作成し、1か月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない定めをしなければならない。 イ 使用者は、労働基準法第33条の「災害その他避けることのできない事由」に該当する場合であっても、同法第34条の休憩時間を与えなければならない。 ウ 労働者が情報通信技術を利用して行う事業場外勤務(テレワーク)においては、「情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと」さえ満たせば、労働基準法第38条の2に定めるいわゆる事業場外みなし労働時間制を適用することができる。 エ 使用者は、労働基準法第38条の3に定めるいわゆる専門業務型裁量労働制を適用するに当たっては、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、専門業務型裁量労働制を適用することについて「当該労働者の同意を得なければならないこと及び当該同意をしなかつた当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと。」を定めなければならない。 オ 労働基準法第41条の2に定めるいわゆる高度プロフェッショナル制度は、同条に定める委員会の決議が単に行われただけでは足りず、使用者が、厚生労働省令で定めるところにより当該決議を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、この制度を導入することができる。

    1. A一つ
    2. B二つ
    3. C三つ
    4. D四つ
    5. E五つ

    正解:C

    解説

    正解はC(三つ)。労働時間制度(1か月単位の変形労働時間制、災害時の時間外労働、テレワークの事業場外みなし、専門業務型裁量労働制、高度プロフェッショナル制度)を問う問題である。正しいのはイ・エ・オである。

    ア:誤り。1か月単位の変形労働時間制は、労使協定又は就業規則その他これに準ずるものにより定めればよい(労基法32条の2第1項)。常時10人未満の使用者は就業規則の作成義務がなく、「これに準ずるもの」や労使協定によることもでき、必ず就業規則を作成しなければならないわけではない。

    イ:正しい。33条1項で延長等ができるのは32条から32条の5まで・40条の労働時間と35条の休日であり、34条の休憩は対象に含まれない。災害等の場合でも休憩は与えなければならない。

    ウ:誤り。テレワークに事業場外みなし労働時間制を適用するには、情報通信機器が使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないことに加え、随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないことも必要とされる(行政解釈)。前者「さえ」満たせばよいわけではない。

    エ:正しい。令和6年4月から、専門業務型裁量労働制の労使協定には、労働者本人の同意を得ること及び同意しなかった労働者に解雇その他不利益な取扱いをしないことを定めなければならない(労基法38条の3第1項6号、同法施行規則24条の2の2第3項1号)。

    オ:正しい。高度プロフェッショナル制度は、労使委員会の5分の4以上の多数による決議に加え、使用者がその決議を所轄労働基準監督署長に届け出ることが要件である(労基法41条の2第1項)。

    よって正しいものはイ・エ・オの三つで、C。

  6. 問6

    労働基準法・労働安全衛生法

    労働基準法に定める年次有給休暇に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A月曜日から金曜日まで1日の所定労働時間が4時間の週5日労働で、1週間の所定労働時間が20時間である労働者が、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した場合に労働基準法第39条(以下本問において「本条」という。)の規定により当該労働者に付与される年次有給休暇は、5労働日である。
    2. B月曜日から木曜日まで1日の所定労働時間が8時間の週4日労働で、1週間の所定労働時間が32時間である労働者が、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した場合に本条の規定により当該労働者に付与される年次有給休暇は、次の計算式により7労働日である。〔計算式〕10日×4日/5.2日≒7.69日端数を切り捨てて7日
    3. C令和6年4月1日入社と同時に10労働日の年次有給休暇を労働者に付与した使用者は、このうち5日については、令和7年9月30日までに時季を定めることにより与えなければならない。
    4. D使用者の時季指定による年5日以上の年次有給休暇の取得について、労働者が半日単位で年次有給休暇を取得した日数分については、本条第8項の「日数」に含まれ、当該日数分について使用者は時季指定を要しないが、労働者が時間単位で取得した分については、本条第8項の「日数」には含まれないとされている。
    5. E産前産後の女性が労働基準法第65条の規定によって休業した期間及び生理日の就業が著しく困難な女性が同法第68条の規定によって就業しなかった期間は、本条第1項「使用者は、その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。」の適用においては、これを出勤したものとみなす。

    正解:D

    解説

    正解はD。年次有給休暇の比例付与の対象、使用者の時季指定義務、出勤率の算定を問う問題である。時季指定義務の5日から差し引けるのは半日単位の取得分までで、時間単位の取得分は含まれない点が決め手となる。

    A:誤り。比例付与の対象は、週所定労働時間が30時間未満で、かつ週所定労働日数が4日以下(又は年間216日以下)の労働者である(労基法39条3項、同法施行規則24条の3)。週5日勤務の労働者は週20時間でも比例付与の対象とならず、付与日数は10労働日である。

    B:誤り。週所定労働時間が30時間以上の労働者は、週4日勤務でも比例付与の対象から除かれる(労基法39条3項柱書かっこ書)。週32時間の労働者には通常どおり10労働日を付与する。

    C:誤り。法定の基準日より前に10労働日以上を与えたときは、与えた日(第一基準日)から1年以内に5日について時季を定めて与えなければならない(労基法39条7項ただし書、同法施行規則24条の5第1項)。令和6年4月1日に付与したのであれば、期限は令和7年3月31日である。

    D:正しい。労働者が半日単位で取得した日数分は39条8項の「日数」に含まれ、その分は時季指定を要しない。時間単位で取得した分は含まれないとされる(行政解釈)。

    E:誤り。出勤したものとみなす期間は、業務上の傷病による療養休業、育児休業・介護休業、産前産後休業の期間である(労基法39条10項)。68条の生理日の休暇は含まれない。

  7. 問7

    労働基準法・労働安全衛生法

    労働基準法に定める就業規則等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A労働基準法第89条第1号から第3号までの絶対的必要記載事項の一部が記載されていない就業規則は他の要件を具備していても無効とされている。
    2. B事業の附属寄宿舎に労働者を寄宿させる使用者は、「起床、就寝、外出及び外泊に関する事項」、「行事に関する事項」、「食事に関する事項」、「安全及び衛生に関する事項」及び「建設物及び設備の管理に関する事項」について寄宿舎規則を作成し、行政官庁に届け出なければならないが、これらはいわゆる必要的記載事項であるから、そのいずれか一つを欠いても届出は受理されない。
    3. C同一事業場において、労働基準法第3条に反しない限りにおいて、一部の労働者についてのみ適用される別個の就業規則を作成することは差し支えないが、別個の就業規則を定めた場合には、当該2以上の就業規則を合したものが同法第89条の就業規則となるのであって、それぞれ単独に同条の就業規則となるものではないとされている。
    4. D育児介護休業法による育児休業も、労働基準法第89条第1号の休暇に含まれるものであり、育児休業の対象となる労働者の範囲等の付与要件、育児休業取得に必要な手続、休業期間については、就業規則に記載する必要があるとされている。
    5. E労働基準法第41条第3号の「監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの」は、同法の労働時間に関する規定が適用されないが、就業規則には始業及び終業の時刻を定めなければならないとされている。

    正解:A

    解説

    正解はA。就業規則・寄宿舎規則の作成と記載事項を問う問題である。絶対的必要記載事項の一部を欠く就業規則も、他の要件を満たしていれば効力は生じる点が決め手となる。

    A:誤り。絶対的必要記載事項(労基法89条1号〜3号)の一部が記載されていない就業規則でも、他の要件を具備していれば効力は発生するとされる(行政解釈)。ただし、作成義務違反(89条違反)の責任は生じる。

    B:正しい。寄宿舎規則には、起床・就寝・外出・外泊、行事、食事、安全及び衛生、建設物及び設備の管理に関する事項を定め、行政官庁に届け出なければならない(労基法95条1項)。これらは必要的記載事項であり、いずれかを欠くと届出は受理されない(行政解釈)。

    C:正しい。一部の労働者にのみ適用される別個の就業規則を作ることはできるが、その場合は2以上の就業規則を合わせたものが89条の就業規則となり、それぞれ単独で89条の就業規則となるものではない(行政解釈)。

    D:正しい。育児介護休業法による育児休業も89条1号の「休暇」に含まれるので、対象となる労働者の範囲などの付与要件、取得手続、休業期間を就業規則に記載する必要がある(行政解釈)。

    E:正しい。41条3号の監視・断続的労働従事者(許可を受けたもの)は労働時間の規定が適用されないが、就業規則には始業及び終業の時刻を定めなければならない(行政解釈)。

  8. 問8

    労働基準法・労働安全衛生法

    次に示す業態をとる株式会社についての安全衛生管理に関する記述のうち、誤っているものはどれか。 なお、衛生管理者については、選任の特例(労働安全衛生規則第8条)を考えないものとする。 W市に本社を置き、人事、総務等の管理業務を行っている。 使用する労働者数常時30人X市に第1工場を置き、金属部品の製造及び加工を行っている。 ・工場は1直7:00〜15:00及び2直15:00〜23:00の2交替で操業しており、1グループ150人計300人の労働者が交替で就業している。 ・工場には動力により駆動されるプレス機械が10台設置され、当該機械による作業が行われている。 Y市に第2工場を置き、金属部品の製造及び加工を行っている。 ・工場は1直7:00〜15:00及び2直15:00〜23:00の2交替で操業しており、1グループ40人計80人の労働者が交替で就業している。 ・工場には動力により駆動されるプレス機械が5台設置され、当該機械による作業が行われている。 Z市に営業所を置き、営業活動を行っている。 使用する労働者数常時12人(ただし、この事業場のみ、うち6人は1日4時間労働の短時間労働者)

    1. AW市にある本社には、安全管理者も衛生管理者も選任する義務はない。
    2. BW市にある本社には、総括安全衛生管理者を選任しなければならない。
    3. CX市にある第1工場及びY市にある第2工場には、それぞれ安全管理者及び衛生管理者を選任しなければならないが、X市にある第1工場には、衛生管理者を二人以上選任しなければならない。
    4. DX市にある第1工場及びY市にある第2工場には、プレス機械作業主任者を、それぞれの工場に、かつ1直2直それぞれに選任しなければならない。
    5. EZ市にある営業所には、衛生推進者を選任しなければならない。

    正解:B

    解説

    正解はB。事業場ごとに、業種と常時使用する労働者数から安全衛生管理体制を判断する事例問題である。総括安全衛生管理者の選任要件は事業場ごとの労働者数で判断し、常時30人の本社では最少の100人にも届かない点が決め手となる。

    A:正しい。衛生管理者は全業種で常時50人以上の事業場に選任する(安衛令4条)。安全管理者も、対象業種で常時50人以上の事業場に限られる(安衛令3条)。常時30人の本社にはどちらの選任義務もない。

    B:誤り。総括安全衛生管理者は事業場単位で、林業・建設業等は100人以上、製造業等は300人以上、その他の業種は1,000人以上の事業場に選任する(安衛令2条)。会社全体の人数で判断するのではない。常時30人の本社は、どの区分でも選任義務がない。

    C:正しい。製造業で常時50人以上の第1工場(300人)と第2工場(80人)には、安全管理者・衛生管理者の選任義務がある(安衛令3条・4条)。交替制でも常時使用する労働者数は在籍する300人で数え、200人を超え500人以下なので、第1工場は衛生管理者を2人以上選任する(安衛則7条1項4号)。

    D:正しい。動力プレス機械を5台以上有する事業場で行うプレス作業には、プレス機械作業主任者を選任する(安衛令6条7号)。第1工場は10台、第2工場は5台で、いずれも該当する。作業主任者は作業を直接指揮する者なので、交替制なら各直ごとに選任が必要とされる(行政解釈)。

    E:正しい。常時10人以上50人未満の事業場には安全衛生推進者等を選任する(安衛法12条の2、安衛則12条の2)。短時間労働者も常時使用する労働者に含めるので、営業所は12人である。安全管理者を要する業種に当たらないため、衛生推進者を選任する。

  9. 問9

    労働基準法・労働安全衛生法

    長時間労働者に対する医師による面接指導に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A労働安全衛生法第66条の8第1項において、事業者が医師による面接指導を行わなければならないとされている労働者の要件は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が一月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者(所定事由に該当する労働者であって面接指導を受ける必要がないと医師が認めたものを除く。)である。
    2. B労働安全衛生法第66条の8の2において、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務に従事する者(労働基準法第41条各号に掲げる者及び労働安全衛生法第66条の8の4第1項に規定する者を除く。)に対して事業者が医師による面接指導を行わなければならないとされている労働時間に関する要件は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が一月当たり100時間を超える者とされている。
    3. C事業者は、労働安全衛生法の規定による医師による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により労働者の労働時間の状況を把握しなければならないとされているが、この労働者には、労働基準法第41条第2号に規定する監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者も含まれる。
    4. D労働安全衛生法第66条の8及び同法第66条の8の2により行われる医師による面接指導に要する費用については、いずれも事業者が負担すべきものであるとされているが、当該面接指導に要した時間に係る賃金の支払については、当然には事業者の負担すべきものではなく、事業者が支払うことが望ましいとされている。
    5. E派遣労働者に対する医師による面接指導については、派遣元事業主に実施義務が課せられている。

    正解:D

    解説

    正解はD。長時間労働者に対する医師の面接指導(安衛法66条の8〜66条の8の3)を問う問題である。研究開発業務従事者の面接指導は本人の申出がなくても実施が義務付けられているため、その時間の賃金も事業者が支払うべきものとされる。「いずれも望ましい」とする点が決め手となる。

    A:正しい。66条の8第1項の面接指導の対象は、休憩時間を除き週40時間を超えて労働させた時間が月80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者である(安衛則52条の2第1項)。

    B:正しい。研究開発業務従事者(労基法36条11項の業務)については、週40時間を超えた時間が月100時間を超えた者が対象である(安衛法66条の8の2第1項、安衛則52条の7の2第1項)。

    C:正しい。面接指導を実施するための労働時間の状況の把握(安衛法66条の8の3)の対象から除かれるのは高度プロフェッショナル制度の対象者だけである。管理監督者や機密事務取扱者も含まれる(行政解釈)。

    D:誤り。面接指導の費用は、いずれも事業者が負担すべきものとされる。一方、時間に係る賃金は、66条の8の面接指導については当然には事業者の負担ではなく、支払うことが望ましいとされる。66条の8の2の面接指導は、その時間を労働時間として扱い、賃金を支払うべきものとされる(行政解釈)。両者を同じ扱いとする点が誤りである。

    E:正しい。派遣法45条で派遣先に適用する安衛法の規定のうち、66条の8の3(労働時間の状況の把握)は派遣先にも適用されるが、66条の8の面接指導は含まれない。派遣元事業主が実施する。

  10. 問10

    労働基準法・労働安全衛生法

    労働安全衛生法第88条の計画の届出に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A労働安全衛生法第88条第1項柱書きは、「事業者は、機械等で、危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、厚生労働省令で定めるものを設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の14日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。」と定めている。
    2. B事業者は、建設業に属する事業の仕事のうち重大な労働災害を生ずるおそれがある特に大規模な仕事で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の30日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県労働局長に届け出なければならない。
    3. C事業者は、建設業に属する事業の仕事(重大な労働災害を生ずるおそれがある特に大規模な仕事で、厚生労働省令で定めるものを除く。)で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の14日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。
    4. D機械等で、危険な作業を必要とするものとして計画の届出が必要とされるものにはクレーンが含まれるが、つり上げ荷重が1トン未満のものは除かれる。
    5. E機械等で、危険な作業を必要とするものとして計画の届出が必要とされるものには動力プレス(機械プレスでクランク軸等の偏心機構を有するもの及び液圧プレスに限る。)が含まれるが、圧力能力が5トン未満のものは除かれる。

    正解:C

    解説

    正解はC。安衛法88条の計画の届出について、届出期限・届出先・対象機械等を問う問題である。建設業の通常の大規模工事(88条3項)は、仕事の開始日の14日前までに労働基準監督署長に届け出る点が決め手となる。

    A:誤り。機械等の設置等の計画は、工事の開始の日の「30日前」までに労働基準監督署長に届け出る(安衛法88条1項)。14日前ではない。

    B:誤り。重大な労働災害を生ずるおそれがある特に大規模な建設の仕事は、仕事の開始の日の30日前までに「厚生労働大臣」に届け出る(安衛法88条2項)。都道府県労働局長ではない。

    C:正しい。建設業等の仕事(88条2項の特に大規模な仕事を除く)で厚生労働省令で定めるものは、仕事の開始の日の14日前までに労働基準監督署長に届け出る(安衛法88条3項)。

    D:誤り。クレーンの設置届はクレーン等安全規則で定めており、対象はつり上げ荷重3トン以上(スタッカー式クレーンは1トン以上)である。1トン未満だけを除くのではない。

    E:誤り。計画届の対象となる動力プレス(機械プレスでクランク軸等の偏心機構を有するもの及び液圧プレスに限る)は安衛則85条・別表第7に掲げられているが、圧力能力で対象を限る定めはない。5トン未満を除くとする点が誤りである。

  11. 問11

    労災保険法

    労災保険法第7条に規定する通勤の途中で合理的経路を逸脱・中断した場合でも、当該逸脱・中断が日常生活上必要な行為であって、厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合には、当該逸脱・中断の後、合理的な経路に復した後は、同条の通勤と認められることとされている。 この日常生活上必要な行為として、同法施行規則第8条が定めるものに含まれない行為はどれか。

    1. A経路の近くにある公衆トイレを使用する行為
    2. B帰途で惣菜等を購入する行為
    3. Cはり師による施術を受ける行為
    4. D職業能力開発校で職業訓練を受ける行為
    5. E要介護状態にある兄弟姉妹の介護を継続的に又は反復して行う行為

    正解:A

    解説

    正解はA。通勤の逸脱・中断の例外となる「日常生活上必要な行為」(労災則8条)の範囲を問う問題である。公衆トイレの使用は8条各号のどれにも当たらない点が決め手となる。トイレの使用は経路上のささいな行為で、そもそも逸脱・中断として扱われない(行政解釈)。

    A:含まれない。公衆トイレの使用は労災則8条各号に掲げる行為ではない。経路の近くで短時間に行うささいな行為であり、逸脱・中断に当たらないものとして扱われる(行政解釈)。

    B:含まれる。帰途に惣菜等を購入する行為は「日用品の購入その他これに準ずる行為」に当たる(労災則8条1号、行政解釈)。

    C:含まれる。はり師による施術を受ける行為は「病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為」に当たるとされる(労災則8条4号、行政解釈)。

    D:含まれる。職業能力開発校での職業訓練は「職業訓練…その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為」に当たる(労災則8条2号)。

    E:含まれる。要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹及び配偶者の父母の介護(継続的又は反復して行われるもの)が定められている(労災則8条5号)。兄弟姉妹も含まれる。

  12. 問12

    労災保険法

    通勤災害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. Aマイカー通勤をしている労働者が、勤務先会社から市道を挟んだところにある同社の駐車場に車を停車し、徒歩で職場に到着しタイムカードを打刻した後、フォグライトの消し忘れに気づき、徒歩で駐車場へ引き返すべく市道を横断する途中、市道を走ってきた軽自動車にはねられ負傷した場合、通勤災害とは認められない。
    2. Bマイカー通勤をしている労働者が、同一方向にある配偶者の勤務先を経由するため、通常通り自分の勤務先を通り越して通常の通勤経路を450メートル走行し、配偶者の勤務先で配偶者を下車させて自分の勤務先に向かって走行中、踏切で鉄道車両と衝突して負傷した場合、通勤災害とは認められない。
    3. C頸椎を手術した配偶者の看護のため、手術後1か月ほど姑と交替で1日おきに病院に寝泊まりしていた労働者が、当該病院から徒歩で出勤する途中、横断歩道で軽自動車にはねられ負傷した場合、当該病院から勤務先に向かうとすれば合理的である経路・方法をとり逸脱・中断することなく出勤していたとしても、通勤災害とは認められない。
    4. D労働者が、退勤時にタイムカードを打刻し、更衣室で着替えをして事業場施設内の階段を降りる途中、ズボンの裾が靴に絡んだために足を滑らせ、階段を5段ほど落ちて腰部を強打し負傷した場合、通勤災害とは認められない。
    5. E長年営業に従事している労働者が、通常通りの時刻に通常通りの経路を徒歩で勤務先に向かっている途中に突然倒れ、急性心不全で死亡した場合、通勤災害と認められる。

    正解:D

    解説

    正解はD。通勤災害の認定事例(行政解釈)を問う問題である。退勤時の打刻後でも、事業場施設内で起きた災害は事業主の支配管理下の災害として業務災害の問題となり、通勤災害ではない点が決め手となる。

    A:誤り。駐車場に停めた後、ライトの消し忘れに気づいて駐車場へ引き返す途中の災害について、行政解釈は通勤災害と認めている。打刻後であっても、通勤に関連する行為の途中の災害として扱われた事例である。

    B:誤り。同一方向にある配偶者の勤務先を経由するため、自分の勤務先を約450メートル通り越して戻る経路は、合理的な経路と認められる。その途中の事故は通勤災害と認められている(行政解釈)。

    C:誤り。配偶者の看護のため1日おきに病院に寝泊まりしていた場合、その病院は就業のための拠点となる「住居」と認められ、そこからの出勤途上の災害は通勤災害と認められている(行政解釈)。

    D:正しい。退勤の打刻後、更衣を済ませて事業場施設内の階段を降りる途中の負傷は、事業場施設内で起きた災害である。事業主の支配管理下にある災害として業務災害かどうかで判断され、通勤災害とは認められない(行政解釈)。

    E:誤り。通常の経路を通常の時刻に歩いている途中に急性心不全で死亡しても、通勤に通常伴う危険が具体化したものとはいえないので、通勤災害とは認められない(行政解釈)。

  13. 問13

    労災保険法

    厚生労働省労働基準局長通知「心理的負荷による精神障害の認定基準」(令和5年9月1日付け基発0901第2号。以下本問において「認定基準」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。 なお、本問において「対象疾病」とは「認定基準で対象とする疾病」のことである。 ア 対象疾病には、統合失調症や気分障害等のほか、頭部外傷等の器質性脳疾患に付随する精神障害、及びアルコールや薬物等による精神障害も含まれる。 イ 対象疾病を発病して治療が必要な状態にある者について、認定基準別表1の特別な出来事があり、その後おおむね6か月以内に対象疾病が自然経過を超えて著しく悪化したと医学的に認められる場合には、当該特別な出来事による心理的負荷が悪化の原因であると推認し、当該悪化した部分について業務起因性を認める。 ウ 対象疾病を発病して治療が必要な状態にある者について、認定基準別表1の特別な出来事がない場合には、対象疾病の悪化の前おおむね6か月以内の業務による強い心理的負荷によって当該対象疾病が自然経過を超えて著しく悪化したものと精神医学的に判断されたとしても、当該悪化した部分について業務起因性は認められない。 エ 対象疾病の症状が現れなくなった又は症状が改善し安定した状態が一定期間継続している場合や、社会復帰を目指して行ったリハビリテーション療法等を終えた場合であって、通常の就労が可能な状態に至ったときには、投薬等を継続していても通常は治ゆ(症状固定)の状態にあると考えられるところ、対象疾病がいったん治ゆ(症状固定)した後において再びその治療が必要な状態が生じた場合は、新たな疾病と取り扱う。 オ 業務によりうつ病を発病したと認められる者が自殺を図り死亡した場合には、当該疾病によって正常の認識、行為選択能力が著しく阻害され、あるいは自殺行為を思いとどまる精神的抑制力が著しく阻害されている状態に至ったものと推定し、当該死亡につき業務起因性を認める。

    1. A一つ
    2. B二つ
    3. C三つ
    4. D四つ
    5. E五つ

    正解:C

    解説

    正解はC(三つ)。令和5年改正後の「心理的負荷による精神障害の認定基準」の対象疾病、発病後の悪化、治ゆ、自殺の取扱いを問う問題である。正しいのはイ・エ・オである。

    ア:誤り。認定基準の対象疾病は、ICD-10第Ⅴ章「精神および行動の障害」に分類される精神障害のうち、器質性のもの及び有害物質に起因するものを除いたものとされる。頭部外傷等による器質性の精神障害や、アルコール・薬物による精神障害は対象疾病から除かれる。

    イ:正しい。発病後の悪化について、別表1の「特別な出来事」があり、その後おおむね6か月以内に自然経過を超えて著しく悪化したと医学的に認められる場合は、特別な出来事が悪化の原因と推認し、悪化した部分に業務起因性を認める。

    ウ:誤り。令和5年の改正で、特別な出来事がない場合でも、悪化の前おおむね6か月以内の業務による強い心理的負荷で自然経過を超えて著しく悪化したと精神医学的に判断されるときは、悪化した部分に業務起因性を認めることとされた。

    エ:正しい。症状がなくなった、又は改善し安定した状態が一定期間続き、通常の就労が可能になったときは、投薬等を続けていても通常は治ゆ(症状固定)と考えられる。いったん治ゆした後に再び治療が必要になった場合は、新たな発病として扱う。

    オ:正しい。業務により精神障害を発病した者が自殺を図った場合は、正常の認識・行為選択能力や、自殺を思いとどまる精神的抑制力が著しく阻害された状態にあったと推定し、業務起因性を認める。

    よって正しいものはイ・エ・オの三つで、C。

  14. 問14

    労災保険法

    複数事業労働者(事業主が同一人でない2以上の事業に使用される労働者)の業務災害に係る保険給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、A・Bにおいて、休業補償給付は、①「療養のため」②「労働することができない」ために③「賃金を受けない日」という三要件を満たした日の第4日目から支給されるものである(労災保険法第14条第1項本文)。 また、C・Dにおいて、複数事業労働者につき、業務災害が発生した事業場を「災害発生事業場」と、それ以外の事業場を「非災害発生事業場」といい、いずれにおいても、当該労働者の離職時の賃金が不明である場合は考慮しない。

    1. A休業補償給付が支給される三要件のうち「労働することができない」に関して、業務災害に被災した複数事業労働者が、現に一の事業場において労働者として就労しているものの、他方の事業場において当該業務災害に係る通院のため、所定労働時間の全部又は一部について労働することができない場合には、「労働することができない」に該当すると認められることがある。
    2. B休業補償給付が支給される三要件のうち「賃金を受けない日」に関して、被災した複数事業労働者については、複数の就業先のうち、一部の事業場において、年次有給休暇等により当該事業場における平均賃金相当額(複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した平均賃金に相当する額をいう。)の60%以上の賃金を受けることにより「賃金を受けない日」に該当しない状態でありながら、他の事業場において、当該業務災害による傷病等により無給での休業をしているため、「賃金を受けない日」に該当する状態があり得る。
    3. C複数事業労働者については、その疾病が業務災害による遅発性疾病である場合で、その診断が確定した日において、災害発生事業場を離職している場合の当該事業場に係る平均賃金相当額の算定については、災害発生事業場を離職した日を基準に、その日(賃金の締切日がある場合は直前の賃金締切日をいう。)以前3か月間に災害発生事業場において支払われた賃金により算定し、当該金額を基礎として、診断によって当該疾病発生が確定した日までの賃金水準の上昇又は変動を考慮して算定する。
    4. D複数事業労働者については、その疾病が業務災害による遅発性疾病である場合で、その診断が確定した日において、災害発生事業場を離職している場合の非災害発生事業場に係る平均賃金相当額については、算定事由発生日に当該事業場を離職しているか否かにかかわらず、遅発性疾病の診断が確定した日から3か月前の日を始期として、当該診断が確定した日までの期間中に、非災害発生事業場から賃金を受けている場合は、その3か月間に非災害発生事業場において支払われた賃金により算定する。
    5. E複数事業労働者に係る平均賃金相当額の算定において、雇用保険法等の一部を改正する法律(令和2年法律第14号。以下「改正法」という。)の施行日後に発生した業務災害たる傷病等については、当該傷病等の原因が生じた時点が改正法の施行日前であっても、当該傷病等が発生した時点において事業主が同一人でない2以上の事業に使用されていた場合は、給付基礎日額相当額を合算する必要がある。

    正解:D

    解説

    正解はD。複数事業労働者の休業補償給付の要件と、遅発性疾病の場合の平均賃金相当額の算定(行政解釈)を問う問題である。非災害発生事業場分の算定基準日をどこに置くかが決め手となる。

    A:正しい。一方の事業場で就労していても、他方の事業場で業務災害に係る通院のため所定労働時間の全部又は一部を労働できない場合は、「労働することができない」に当たることがあるとされる。

    B:正しい。一部の事業場で年次有給休暇等により平均賃金相当額の60%以上の賃金を受け「賃金を受けない日」に当たらない一方、他の事業場では無給で休業し「賃金を受けない日」に当たる状態もあり得るとされる。

    C:正しい。診断確定日に災害発生事業場を離職している場合、その事業場分は離職日(賃金締切日があれば直前の締切日)以前3か月間に支払われた賃金で算定し、診断確定日までの賃金水準の変動を考慮する。

    D:誤り。行政解釈では、非災害発生事業場分も、災害発生事業場を離職した日を基準として、その日以前3か月間に非災害発生事業場で支払われた賃金により算定する。災害発生事業場分と算定の時点をそろえる考え方である。診断確定日から3か月前を始期とする点が誤りである。

    E:正しい。改正法の施行日後に発生した傷病等であれば、原因が施行日前に生じていても、発生時に事業主が同一人でない2以上の事業に使用されていた場合は、給付基礎日額相当額を合算する。

  15. 問15

    労災保険法

    遺族補償年金の受給権に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。なお、本問において、「遺族補償年金を受ける権利を有する遺族」を「当該遺族」という。 ア 遺族補償年金の受給権は、当該遺族が死亡したときには消滅する。 イ 遺族補償年金の受給権は、当該遺族が婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)をしたときには消滅する。 ウ 遺族補償年金の受給権は、当該遺族が直系血族又は直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったときには消滅する。 エ 遺族補償年金の受給権は、当該遺族である子・孫が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときには消滅する。 オ 遺族補償年金の受給権は、当該遺族である兄弟姉妹が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときには消滅する。

    1. A一つ
    2. B二つ
    3. C三つ
    4. D四つ
    5. E五つ

    正解:C

    解説

    正解はC(三つ)。遺族補償年金の受給権の消滅事由(労災法16条の4第1項)を問う問題である。子・孫・兄弟姉妹の18歳年度末による失権には、労働者の死亡時から引き続き一定の障害の状態にある場合の例外がある。例外を書かずに言い切ったエ・オは誤りとなる。

    ア:正しい。受給権者が死亡したときは消滅する(労災法16条の4第1項1号)。

    イ:正しい。婚姻(事実上の婚姻関係を含む)をしたときは消滅する(同項2号)。

    ウ:正しい。直系血族又は直系姻族以外の者の養子(事実上の養子縁組関係を含む)となったときは消滅する(同項3号)。

    エ:誤り。子・孫が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときは消滅するが、労働者の死亡の時から引き続き厚生労働省令で定める障害の状態にあるときは除かれる(同項5号かっこ書)。例外を考えずに一律に消滅するとする点が誤りである。

    オ:誤り。兄弟姉妹についてもエと同じく、障害の状態にあるときは18歳年度末を過ぎても消滅しない(同項5号かっこ書)。

    よって正しいものはア・イ・ウの三つで、C。

  16. 問16

    労災保険法

    労災保険の海外派遣特別加入制度に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A海外派遣者は、派遣元の団体又は事業主が、海外派遣者を特別加入させることについて政府の承認を申請し、政府の承認があった場合に特別加入することができる。
    2. B海外派遣者と派遣元の事業との雇用関係が、転勤、在籍出向、移籍出向等のいずれの形態で処理されていても、派遣元の事業主の命令で海外の事業に従事し、その事業との間に現実の労働関係をもつ限りは、特別加入の資格に影響を及ぼすものではない。
    3. C海外派遣者として特別加入している者が、同一の事由について派遣先の事業の所在する国の労災保険から保険給付が受けられる場合には、わが国の労災保険給付との間で調整がなされなければならない。
    4. D海外派遣者として特別加入している者の赴任途上及び帰任途上の災害については、当該特別加入に係る保険給付は行われない。
    5. E海外出張者として特段の加入手続を経ることなく当然に労災保険の保護を与えられるのか、海外派遣者として特別加入しなければ保護が与えられないのかは、単に労働の提供の場が海外にあるにすぎず国内の事業場に所属し、当該事業場の使用者の指揮に従って勤務するのか、海外の事業場に所属して当該事業場の使用者の指揮に従って勤務することになるのかという点からその勤務の実態を総合的に勘案して判定されるべきものである。

    正解:C・D

    実施機関の訂正:試験センターは、本問について選択肢C以外にDも誤った内容であったとして、C及びDの両方を正答としました(令和6年10月2日「問題誤りについて」)。

    解説

    公式正答はC及びD(試験センターが両方を正答とした)。海外派遣者の特別加入制度を問う問題である。外国の労災保険との調整は行われないこと(C)と、赴任途上・帰任途上の災害も保護の対象となること(D)の二つが、どちらも誤った記述とされた。

    A:正しい。派遣元の団体又は事業主が、海外派遣者を特別加入させることについて申請し、政府の承認があったときに特別加入できる(労災法36条1項)。

    B:正しい。派遣元との雇用関係が転勤・在籍出向・移籍出向のどの形でも、派遣元の事業主の命令で海外の事業に従事し、その事業と現実の労働関係をもつ限り、特別加入の資格に影響しない(行政解釈)。

    C:誤り。派遣先国の労災保険から同一事由で給付を受けられる場合でも、わが国の労災保険給付との間で調整は行われないとされる(行政解釈)。

    D:誤り。海外派遣者の赴任途上・帰任途上の災害も、特別加入に係る保険給付の対象とされている(行政解釈)。保険給付が行われないとする点が誤りであり、試験センターも本肢の誤りを認めた。

    E:正しい。海外出張者として当然に保護されるのか、特別加入が必要な海外派遣者なのかは、単に労働の場が海外にあるだけで国内の事業場に所属しその使用者の指揮に従うのか、海外の事業場に所属しその使用者の指揮に従うのかという勤務の実態を総合的に勘案して判定する(行政解釈)。

  17. 問17

    労災保険法

    労災保険給付に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。 ア 労働者が、重大な過失により、負傷、疾病、障害若しくは死亡又はこれらの原因となった事故を生じさせたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。 イ 労働者を重大な過失により死亡させた遺族補償給付の受給資格者は、遺族補償給付を受けることができる遺族としない。 ウ 労働者が、懲役、禁固若しくは拘留の刑の執行のため刑事施設に拘置されている場合には、休業補償給付は行わない。 エ 労働者が退職したときは、保険給付を受ける権利は消滅する。 オ 偽りその他不正の手段により労働者が保険給付を受けたときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を当該労働者を使用する事業主から徴収することができる。

    1. A(アとイ)
    2. B(アとウ)
    3. C(イとエ)
    4. D(ウとオ)
    5. E(エとオ)

    正解:B

    解説

    正解はB(アとウ)。保険給付の支給制限、受給資格の欠格、受給権の保護、不正受給の費用徴収を問う問題である。遺族の欠格事由は「故意」に死亡させた場合に限られることなどが決め手となる。

    ア:正しい。労働者が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により負傷・死亡等又はその原因となった事故を生じさせたときは、政府は保険給付の全部又は一部を行わないことができる(労災法12条の2の2第2項)。

    イ:誤り。遺族補償給付を受けることができる遺族としないのは、労働者を「故意に」死亡させた者である(労災法16条の9第1項)。重大な過失による場合は欠格とならない。

    ウ:正しい。刑の執行のため刑事施設に拘置されている場合などには休業補償給付を行わない(労災法14条の2、労災則12条の4)。なお、問題文の「禁固」は法令上「禁錮」と書く。

    エ:誤り。保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されない(労災法12条の5第1項)。

    オ:誤り。不正の手段で保険給付を受けたときは、政府は「その者」(受給者)から費用相当額の全部又は一部を徴収できる(労災法12条の3第1項)。事業主が虚偽の報告・証明をしたためであれば、事業主に受給者と連帯して納付させることができる(同条2項)。事業主から単独で徴収するとする点が誤りである。

    よって正しいものはアとウで、B。

    法改正:刑法改正(令和7年6月1日施行)で懲役・禁錮は拘禁刑に一本化された。現行の労災則12条の4は「拘禁刑若しくは拘留の刑の執行のため…刑事施設…に拘置されている場合」と定めている。休業補償給付を行わないという結論は変わらない。

  18. 問18

    徴収法

    労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A労働保険徴収法第8条に規定する請負事業の一括について、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業であって、数次の請負によって行われる場合、雇用保険に係る保険関係については、元請事業に一括することなく事業としての適用単位が決められ、それぞれの事業ごとに労働保険徴収法が適用される。
    2. B労働保険徴収法第8条に規定する請負事業の一括について、下請負に係る事業については下請負人が事業主であり、元請負人と下請負人の使用する労働者の間には労働関係がないが、同条第2項に規定する場合を除き、元請負人は当該請負に係る事業について下請負をさせた部分を含め、そのすべての労働者について事業主として保険料の納付等の義務を負う。
    3. C労働保険徴収法第8条第2項に定める下請負事業の分離に係る認可を受けようとする元請負人及び下請負人は、保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に「下請負人を事業主とする認可申請書」を所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。
    4. D労働保険徴収法第8条第2項に定める下請負事業の分離に係る認可を受けようとする元請負人及び下請負人は、天災その他不可抗力等のやむを得ない理由により、同法施行規則第8条第1項に定める期限内に「下請負人を事業主とする認可申請書」を提出することができなかったときは、期限後であっても当該申請書を提出することができる。
    5. E労働保険徴収法第8条第2項に定める下請負事業の分離に係る認可を受けるためには、当該下請負事業の概算保険料が160万円以上、かつ、請負金額が1億8,000万円以上(消費税等相当額を除く。)であることが必要とされている。

    正解:E

    解説

    正解はE。徴収法8条の請負事業の一括と、下請負事業の分離の認可を問う問題である。分離の認可の規模要件は「概算保険料160万円以上又は請負金額1億8,000万円以上」であり、「かつ」ではない点が決め手となる。

    A:正しい。請負事業の一括の対象は、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業である(徴収法8条1項、徴収則7条)。雇用保険に係る保険関係は元請に一括されず、それぞれの事業ごとに適用される。

    B:正しい。下請負人が実際の事業主であっても、8条2項の認可を受けた場合を除き、元請負人のみが事業主とされる(徴収法8条1項)。元請負人は、下請負に係る部分を含むすべての労働者について保険料の納付等の義務を負う。

    C:正しい。分離の認可を受けようとする元請負人及び下請負人は、保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に、申請書を所轄都道府県労働局長に提出する(徴収則8条本文)。

    D:正しい。やむを得ない理由で期限内に提出できなかったときは、期限後でも提出できる(徴収則8条ただし書)。

    E:誤り。分離の認可を受けるには、下請負事業が有期事業の一括の対象となる規模(概算保険料160万円未満、かつ請負金額1億8,000万円未満)の事業以外の事業であることが必要である(徴収則9条・6条1項)。つまり概算保険料160万円以上「又は」請負金額1億8,000万円以上であればよい。

  19. 問19

    徴収法

    労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A労働保険料の口座振替による納付制度は、一括有期事業の事業主も、単独有期事業の事業主も対象となる。
    2. B労働保険料の口座振替による納付制度は、納付が確実と認められ、かつ、口座振替の申出を承認することが労働保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができ、納入告知書によって行われる納付についても認められる。
    3. C労働保険料を口座振替によって納付することを希望する事業主は、労働保険徴収法施行規則第38条の2に定める事項を記載した書面を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出することによって申出を行わなければならない。
    4. D労働保険料を口座振替によって納付する事業主は、概算保険料申告書及び確定保険料申告書(労働保険徴収法施行規則第38条第2項第4号の申告書を除く。)を、日本銀行、年金事務所又は所轄公共職業安定所長を経由して所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出することはできない。
    5. E口座振替による納付制度を利用する事業主から納付に際し添えることとされている申告書の提出を受けた所轄都道府県労働局歳入徴収官は、労働保険料の納付に必要な納付書を労働保険徴収法第21条の2第1項の金融機関へ送付するものとされている。

    正解:B

    解説

    正解はB。労働保険料の口座振替による納付制度(徴収法21条の2、徴収則38条の2〜38条の5)を問う問題である。口座振替の対象は納付書による納付に限られ、納入告知書による納付は対象外である点が決め手となる。

    A:正しい。対象は、納付書による15条1項又は2項の概算保険料(延納分を含む)と、19条3項の確定保険料の不足額である(徴収則38条の4)。15条2項は有期事業の概算保険料なので、単独有期事業も対象となる。一括有期事業は継続事業と同様に15条1項による。

    B:誤り。前段は徴収法21条の2第1項のとおりである。しかし対象となる納付は「納付書によって行われる」ものに限られ(徴収則38条の4)、納入告知書による納付(認定決定に係る保険料など)は対象とならない。

    C:正しい。申出は、事業主の氏名等、口座番号・名義人、預貯金の種別、納付書を送付する金融機関・店舗の名称を記載した書面を、所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出して行う(徴収則38条の2)。

    D:正しい。口座振替で納付する場合の概算保険料申告書と確定保険料申告書は、日本銀行・年金事務所・公共職業安定所を経由して提出することはできない。本肢が除いている4号の申告書を除けば、経由できるのは所轄労働基準監督署長に限られる(徴収則38条2項2号・7号)。

    E:正しい。所轄都道府県労働局歳入徴収官は、口座振替の承認をした場合には、納付に必要な納付書を金融機関へ送付するものとされる(徴収則38条の3)。

  20. 問20

    徴収法

    労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A事業主は、あらかじめ代理人を選任し、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に届け出ている場合、労働保険徴収法施行規則によって事業主が行わなければならない労働保険料の納付に係る事項を、その代理人に行わせることができる。
    2. B所轄都道府県労働局長、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長は、保険関係が成立し、若しくは成立していた事業の事業主又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であった団体に対して、労働保険徴収法の施行に関し必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずる場合、文書によって行わなければならない。
    3. C前保険年度より保険関係が引き続く継続事業における年度当初の確定精算に伴う精算返還金に係る時効の起算日は6月1日となるが、確定保険料申告書が法定納期限内に提出された場合、時効の起算日はその提出された日の翌日となる。
    4. D継続事業の廃止及び有期事業の終了に伴う精算返還金に係る時効の起算日は事業の廃止又は終了の日の翌日となるが、確定保険料申告書が法定納期限内に提出された場合、時効の起算日はその提出された日となる。
    5. E事業主が概算保険料の申告書を提出していない場合、政府が労働保険徴収法第15条第3項の規定に基づき認定決定した概算保険料について通知を行ったとき、当該通知によって未納の当該労働保険料について時効の更新の効力を生ずる。

    正解:D

    解説

    正解はD。徴収法の雑則(代理人、報告命令)と、精算返還金・労働保険料の時効を問う問題である。事業の廃止・終了に伴う精算返還金の時効の起算日は、申告書が法定納期限内に提出された場合は提出日の「翌日」となる点が決め手となる。

    A:正しい。事業主は、あらかじめ代理人を選任し所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に届け出れば、徴収則により事業主が行うべき事項を代理人に行わせることができる(徴収則73条)。

    B:正しい。徴収法42条の報告・文書の提出・出頭の命令は、所轄都道府県労働局長、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長が文書によって行う(徴収則74条)。

    C:正しい。継続事業の年度当初の確定精算に伴う精算返還金の時効(徴収法41条1項、2年)は6月1日から起算する。確定保険料申告書が法定納期限内に提出された場合は、提出された日の翌日から起算する(行政解釈)。

    D:誤り。継続事業の廃止・有期事業の終了に伴う精算返還金の時効は、廃止又は終了の日の翌日から起算する。申告書が法定納期限内に提出された場合は、提出された日の「翌日」から起算する(行政解釈)。「提出された日」とする点が誤りである。

    E:正しい。政府が行う労働保険料等の徴収の告知は、時効の更新の効力を生ずる(徴収法41条2項)。認定決定した概算保険料の通知はこの告知に当たる。

  21. 問21

    雇用保険法

    雇用保険の被保険者に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A報酬支払等の面からみて労働者的性格の強い者と認められる株式会社の代表取締役は被保険者となるべき他の要件を満たす限り被保険者となる。
    2. B適用事業の事業主に雇用されつつ自営業を営む者は、当該適用事業の事業主の下での就業条件が被保険者となるべき要件を満たす限り被保険者となる。
    3. C労働者が長期欠勤して賃金の支払を受けていない場合であっても、被保険者となるべき他の要件を満たす雇用関係が存続する限り被保険者となる。
    4. D中小企業等協同組合法に基づく企業組合の組合員は、組合との間に同法に基づく組合関係があることとは別に、当該組合との間に使用従属関係があり当該使用従属関係に基づく労働の提供に対し、その対償として賃金が支払われている場合、被保険者となるべき他の要件を満たす限り被保険者となる。
    5. E学校教育法に規定する大学の夜間学部に在籍する者は、被保険者となるべき他の要件を満たす限り被保険者となる。

    正解:A

    解説

    正解はA。雇用保険の被保険者の範囲(行政解釈)を問う問題である。株式会社の代表取締役は、報酬面で労働者的性格が強くても被保険者とならない点が決め手となる。

    A:誤り。株式会社の取締役は原則として被保険者とならない。取締役であっても同時に部長等の従業員の身分を有し、報酬支払等の面から労働者的性格の強い者は被保険者となり得る。しかし代表取締役は被保険者とならない(行政解釈)。

    B:正しい。適用事業に雇用されながら自営業を営む者も、その事業主の下での就業条件が被保険者の要件を満たす限り被保険者となる(行政解釈)。

    C:正しい。長期欠勤して賃金の支払を受けていなくても、雇用関係が存続する限り被保険者となる(行政解釈)。

    D:正しい。企業組合の組合員でも、組合との間に使用従属関係があり、その労働の対償として賃金が支払われていれば、他の要件を満たす限り被保険者となる(行政解釈)。

    E:正しい。適用除外となる学生は昼間学生であり、夜間学部・定時制の課程に在学する者などは除外されない(雇保法6条4号、雇保則3条の2第3号・4号)。他の要件を満たせば被保険者となる。

  22. 問22

    雇用保険法

    Xは、令和3年4月1日にY社に週所定労働時間が40時間、休日が1週当たり2日の労働契約を締結して就職し、初めて被保険者資格を得て同年7月31日に私傷病により離職した。令和5年11月5日、Xは離職の原因となった傷病が治ゆしたことからZ社に被保険者として週所定労働時間が40時間、休日が1週当たり2日の労働契約を締結して就職した。その後Xは私傷病により令和6年2月29日に離職した。 この場合、Z社離職時における基本手当の受給資格要件としての被保険者期間として、正しいものはどれか。なお、XはY社及びZ社において欠勤がなかったものとする。

    1. A3か月
    2. B3と2分の1か月
    3. C4か月
    4. D7か月
    5. E7と2分の1か月

    正解:B

    解説

    正解はB(3と2分の1か月)。算定対象期間と被保険者期間の数え方を問う計算問題である。前職のY社の期間は算定対象期間の外にあるので数えず、Z社の期間だけを数える。

    1 算定対象期間:原則は離職の日以前2年間で、令和4年3月1日〜令和6年2月29日となる(雇保法13条1項)。疾病等で引き続き30日以上賃金の支払を受けられなかった日数を加算して最長4年まで延ばす特例は、被保険者である間に賃金を受けられなかった場合のものである。Y社離職後、被保険者でなかった期間の傷病には使えない。よってY社の期間(令和3年4月1日〜7月31日)は算定対象期間に入らない。

    2 Z社の被保険者期間:資格喪失日の令和6年3月1日から1か月ごとにさかのぼって区分する(雇保法14条1項)。2月1日〜2月29日、1月1日〜1月31日、12月1日〜12月31日の3期間は、いずれも賃金支払基礎日数が11日以上なので各1か月で、計3か月となる。

    3 端数の期間:残りの令和5年11月5日〜11月30日は26日で15日以上あり、週休2日で欠勤がないので賃金支払基礎日数も11日以上ある。よって2分の1か月と数える(雇保法14条1項ただし書)。

    4 合計は3か月+2分の1か月=3と2分の1か月で、B。この期間では受給資格(原則12か月、特定理由離職者等は1年間に6か月)を満たさない。

  23. 問23

    雇用保険法

    雇用保険の傷病手当に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A受給資格者が離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、雇用保険法第37条第1項に基づく疾病又は負傷のために基本手当の支給を受けることができないことについての認定(以下本問において「傷病の認定」という。)を受けた場合、失業している日(疾病又は負傷のため職業に就くことができない日を含む。)が通算して7日に満たない間は、傷病手当を支給しない。
    2. B傷病手当を支給する日数は、傷病の認定を受けた受給資格者の所定給付日数から当該受給資格に基づき、既に基本手当を支給した日数を差し引いた日数に相当する日数分を限度とする。
    3. C基本手当の支給を受ける口座振込受給資格者が当該受給期間中に疾病又は負傷により職業に就くことができなくなった場合、天災その他認定を受けなかったことについてやむを得ない理由がない限り、当該受給資格者は、職業に就くことができない理由がやんだ後における最初の支給日の直前の失業の認定日までに傷病の認定を受けなければならない。
    4. D健康保険法第99条の規定による傷病手当金の支給を受けることができる者が傷病の認定を受けた場合、傷病手当を支給する。
    5. E傷病手当の日額は、雇用保険法第16条に規定する基本手当の日額に相当する額である。

    正解:D

    解説

    正解はD。雇用保険の傷病手当(雇保法37条)の要件・日数・日額・認定手続を問う問題である。健康保険の傷病手当金を受けられる者には傷病手当を支給しない点が決め手となる。

    A:正しい。傷病手当には待期の規定(21条)が準用されるので(雇保法37条9項)、失業している日(傷病で職業に就けない日を含む)が通算して7日に満たない間は支給しない。

    B:正しい。支給日数は、所定給付日数から、その受給資格に基づき既に基本手当を支給した日数を差し引いた日数である(雇保法37条4項)。

    C:正しい。傷病の認定は、職業に就けない理由がやんだ後の最初の支給日までに受ける。口座振込受給資格者の場合は、支給日の直前の失業の認定日までに受ける(雇保則63条1項)。天災その他やむを得ない理由があるときはこの限りでない。

    D:誤り。認定を受けた日について、健康保険法99条の傷病手当金、労基法76条の休業補償、労災保険の休業補償給付等を受けることができる場合は、傷病手当を支給しない(雇保法37条8項)。

    E:正しい。傷病手当の日額は、16条の基本手当の日額に相当する額である(雇保法37条3項)。

  24. 問24

    雇用保険法

    雇用保険の資格喪失に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A事業主は、その雇用する労働者が離職した場合、当該労働者が離職の日において59歳未満であり、雇用保険被保険者離職票(以下本問において「離職票」という。)の交付を希望しないときは、事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に対して雇用保険被保険者離職証明書(以下本問において「離職証明書」という。)を添えずに雇用保険被保険者資格喪失届を提出することができる。
    2. B基本手当の支給を受けようとする者(未支給給付請求者を除く。)が離職票に記載された離職の理由に関し異議がある場合、管轄公共職業安定所に対し離職票及び離職の理由を証明することができる書類を提出しなければならない。
    3. C雇用する労働者が退職勧奨に応じたことで離職したことにより被保険者でなくなった場合、事業主は、離職証明書及び当該退職勧奨により離職したことを証明する書類を添えて、その事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に雇用保険被保険者資格喪失届を提出しなければならない。
    4. D基本手当の支給を受けようとする者(未支給給付請求者を除く。)であって就職状態にあるものが管轄公共職業安定所に対して離職票を提出した場合、当該就職状態が継続することにより基本手当の受給資格が認められなかったことについて不服があるときは、雇用保険審査官に対して審査請求をすることができる。
    5. E公共職業安定所長は、離職票を提出した者が雇用保険法第13条第1項所定の被保険者期間の要件を満たさないと認めたときは、離職票にその旨を記載して返付しなければならない。

    正解:C

    解説

    正解はC。資格喪失届・離職票の手続と、受給資格の決定・不服申立てを問う問題である。公式正答はCを誤りとしている。

    A:正しい。資格喪失届を出す際に被保険者が離職票の交付を希望しないときは、離職証明書を添えないことができる(雇保則7条3項本文)。ただし、離職の日に59歳以上の者は除かれる(同項ただし書)。

    B:正しい。基本手当の支給を受けようとする者は、管轄公共職業安定所に出頭して離職票を提出する。離職理由に異議がある場合は、離職票と離職の理由を証明できる書類を提出する(雇保則19条1項)。

    C:誤り(公式正答)。雇保則7条1項後段2号は、36条各号の理由(9号が退職勧奨)による離職の場合、離職証明書等に加えて、その理由で離職したことを証明できる書類を添えるとしている。一方で、同条3項は離職票を希望しない59歳未満の者について離職証明書を添えないことができるとし、同条6項は職業安定局長の定めにより書類を添えないことができるとしている。本肢はこれらの例外を考えず、常に添えて提出しなければならないとしている。試験センターはこの点を誤りとしたものと読める。

    D:正しい。受給資格がないとされた処分は失業等給付に関する処分であり、不服がある者は雇用保険審査官に審査請求できる(雇保法69条1項)。

    E:正しい。公共職業安定所長は、離職票を提出した者が13条1項の受給資格の要件を満たさないと認めたときは、離職票にその旨を記載して返付する(雇保則19条4項)。

  25. 問25

    雇用保険法

    雇用保険の不正受給に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。 ア 基本手当の受給資格者が自己の労働によって収入を得た場合、当該収入が基本手当の減額の対象とならない額であっても、これを届け出なければ不正の行為として取り扱われる。 イ 偽りその他不正の行為により基本手当の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した基本手当の全部又は一部の返還を命ずるとともに、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた基本手当の額の3倍に相当する額の金額を納付することを命ずることができる。 ウ 偽りその他不正の行為により基本手当の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して過去適法に受給した基本手当の額を含めた基本手当の全部又は一部を返還することを命ずることができる。 エ 雇用保険法施行規則第120条にいう雇用関係助成金関係規定にかかわらず、過去5年以内に偽りその他不正の行為により雇用調整助成金の支給を受けた事業主には、雇用関係助成金を支給しない。 オ 偽りその他不正の行為により基本手当の支給を受けた者にやむを得ない理由がある場合、基本手当の全部又は一部を支給することができる。

    1. A(アとイ)
    2. B(アとウ)
    3. C(イとエ)
    4. D(ウとオ)
    5. E(エとオ)

    正解:E

    解説

    正解はE(エとオ)。雇用保険の不正受給に対する返還命令・納付命令、給付制限、助成金の不支給を問う問題である。納付命令は「2倍」相当額以下であることなどが決め手となる。

    ア:誤り。自己の労働による収入は届け出る必要がある。ただし、行政解釈は、基本手当の減額の対象とならない額の収入を届け出なかったことを、そのまま不正行為として扱うことはしていない。減額対象にならない額でも一律に不正行為となるとする点が誤りである。

    イ:誤り。返還命令に加えて命ずることができる納付額は、不正に支給を受けた額の「2倍」に相当する額以下である(雇保法10条の4第1項)。返還分と合わせて、いわゆる3倍返しになる。

    ウ:誤り。返還を命じられるのは不正の行為により支給を受けた給付である(雇保法10条の4第1項)。過去に適法に受給した分まで返還させるものではない。不正受給以後は基本手当を支給しない(雇保法34条1項)。

    エ:正しい。雇用関係助成金関係規定にかかわらず、過去5年以内に偽りその他不正の行為で雇用調整助成金その他の雇用安定事業等の給付金の支給を受け、又は受けようとした事業主には、雇用関係助成金を支給しない(雇保則120条の2第1項)。

    オ:正しい。不正受給者には不正受給の日以後基本手当を支給しないが、やむを得ない理由がある場合は全部又は一部を支給できる(雇保法34条1項ただし書)。

    よって正しいものはエとオで、E。

  26. 問26

    雇用保険法

    雇用保険の高年齢雇用継続給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A支給対象月における高年齢雇用継続基本給付金の額として算定された額が、雇用保険法第17条第4項第1号に掲げる賃金日額の最低限度額(その額が同法第18条の規定により変更されたときは、その変更された額)の100分の80に相当する額を超えないとき、当該支給対象月について高年齢雇用継続基本給付金は支給されない。
    2. B就業促進手当(厚生労働省令で定める安定した職業に就いた者であって、当該職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が当該受給資格に基づく所定給付日数の3分の1以上であるものに限る。)を受けたときは、当該就業促進手当に加えて同一の就職につき高年齢再就職給付金を受けることができる。
    3. C高年齢再就職給付金の受給資格者に対して再就職後の支給対象月に支払われた賃金の額が、基本手当の日額の算定の基礎となった賃金日額に30を乗じて得た額の100分の85に相当する額未満であるとき、当該受給資格者に対して支給される高年齢再就職給付金の額は、支給対象月に支払われた賃金の額の100分の15となる。
    4. D厚生労働大臣が雇用保険法第61条第1項第2号に定める支給限度額を同法第61条第7項により変更したため高年齢雇用継続基本給付金を受給している者の支給対象月に支払われた賃金額が支給限度額以上となった場合、変更後の支給限度額は当該変更から3か月間、変更前の支給限度額の額とみなされる。
    5. E育児休業給付金の支給を受けて休業をした者は、当該育児休業給付金の支給を受けることができる休業をした月について、他の要件を満たす限り高年齢雇用継続基本給付金が支給される。

    正解:A

    解説

    正解はA。高年齢雇用継続給付(雇保法61条・61条の2)の支給額・不支給・併給調整を問う問題である。算定額が賃金日額の最低限度額の100分の80を超えないときは支給しない点が決め手となる。

    A:正しい。支給額として算定された額が、17条4項1号の賃金日額の最低限度額(18条で変更されたときは変更後の額)の100分の80に相当する額を超えないときは、その支給対象月には支給しない(雇保法61条6項)。

    B:誤り。同一の就職について高年齢再就職給付金と就業促進手当(再就職手当)の両方を受けられる場合、就業促進手当を受けたときは高年齢再就職給付金を支給しない(雇保法61条の2第4項)。両方を受けることはできない。

    C:誤り。法令基準日(令和6年4月)時点の61条5項では、支給率が15%となるのは、賃金が賃金日額×30の100分の61未満のときであった。100分の85未満とする点が誤りである。

    D:誤り。支給限度額は、平均給与額の変動に応じて翌年度の8月1日以後の額を変更する(雇保法61条7項)。変更後3か月間は変更前の額とみなす、という定めはない。

    E:誤り。支給対象月は、月の初日から末日まで引き続き被保険者であり、かつ育児休業給付金や介護休業給付金の支給を受けることができる休業をしなかった月に限られる(雇保法61条2項)。育児休業給付金を受けられる休業をした月には支給しない。

    法改正:令和7年4月施行の改正で、現行の61条5項は、賃金が賃金日額×30の100分の64未満のとき支給率を100分の10とし、それ以外は10%から逓減させる仕組みに改められた。Cの「15%」は現行法では10%となる。

  27. 問27

    雇用保険法

    雇用調整助成金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A対象被保険者を休業させることにより雇用調整助成金の支給を受けようとする事業主は、休業の実施に関する事項について、あらかじめ当該事業所の労働者の過半数で組織する労働組合(労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者)との間に書面による協定をしなければならない。
    2. B被保険者を出向させたことにより雇用調整助成金の支給を受けた事業主が当該出向の終了後6か月以内に当該被保険者を再度出向させるときは、当該事業主は、再度の出向に係る雇用調整助成金を受給することができない。
    3. C出向先事業主が出向元事業主に係る出向対象被保険者を雇い入れる場合、当該出向先事業主の事業所の被保険者を出向させているときは、当該出向先事業主は、雇用調整助成金を受給することができない。
    4. D対象被保険者を休業させることにより雇用調整助成金の支給を受けようとする事業主は、当該事業所の対象被保険者に係る休業等の実施の状況及び手当又は賃金の支払の状況を明らかにする書類を整備していなければならない。
    5. E事業主が景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、急激に事業活動の縮小を余儀なくされたことにより休業することを都道府県労働局長に届け出た場合、当該事業主は、届出の際に当該事業主が指定した日から起算して3年間雇用調整助成金を受けることができる。

    正解:E

    解説

    正解はE。雇用調整助成金の支給要件(雇保則102条の3)を問う問題である。届出の際に指定した日から起算して「1年」が対象期間であり、3年ではない点が決め手となる。

    A:正しい。休業等の期間、対象労働者の範囲、手当・賃金の支払基準などの休業等の実施に関する事項について、あらかじめ過半数労働組合(ないときは過半数代表者)と書面による協定をし、その定めにより行うことが要件である(雇保則102条の3第1項2号イ(4))。

    B:正しい。出向に係る雇用調整助成金の支給を受けた事業主が、出向の終了後に同じ被保険者を再度出向させるときは、再度の出向については支給しない。ただし、再度の出向をさせた日の前日が、出向の終了日の翌日から起算して6か月を経過した日以後である場合は除かれる(雇保則102条の3第5項)。

    C:正しい。出向先事業主が出向対象被保険者を受け入れる際、雇入れに係る者が従事することとなる自己の事業所の被保険者を出向させているときは、支給しない(雇保則102条の3第7項)。

    D:正しい。休業等の実施の状況と、手当又は賃金の支払の状況を明らかにする書類を整備していることが要件である(雇保則102条の3第1項4号イ)。

    E:誤り。対象期間は、休業等の実施について都道府県労働局長に届け出た際に事業主が指定した日から起算して「1年」である(雇保則102条の3第1項2号イ(1)(i))。

  28. 問28

    徴収法

    労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A雇用保険暫定任意適用事業に該当する事業が雇用保険法第5条第1項の適用事業に該当するに至った場合は、その該当するに至った日から10日以内に労働保険徴収法第4条の2に規定する保険関係成立届を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出することによって、その事業につき雇用保険に係る保険関係が成立する。
    2. B都道府県に準ずるもの及び市町村に準ずるものの行う事業については、労災保険に係る保険関係と雇用保険に係る保険関係の双方を一の事業についての労働保険の保険関係として取り扱い、一般保険料の算定、納付等の手続を一元的に処理する事業として定められている。
    3. C保険関係が成立している事業の事業主は、事業主の氏名又は名称及び住所に変更があったときは、変更を生じた日の翌日から起算して10日以内に、労働保険徴収法施行規則第5条第2項に規定する事項を記載した届書を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出することによって行わなければならない。
    4. D雇用保険に係る保険関係が成立している雇用保険暫定任意適用事業の事業主については、その事業に使用される労働者の4分の3以上の同意を得て、その者が当該保険関係の消滅の申請をした場合、厚生労働大臣の認可があった日に、その事業についての当該保険関係が消滅する。
    5. E雇用保険法第5条第1項の適用事業及び雇用保険に係る保険関係が成立している雇用保険暫定任意適用事業の保険関係は、当該事業が廃止され、又は終了したときは、その事業についての保険関係は、その日に消滅する。

    正解:C

    解説

    正解はC。労働保険の保険関係の成立・消滅、二元適用事業、変更の届出を問う問題である。名称・所在地等の変更の届出は、変更を生じた日の翌日から起算して10日以内に行う点が決め手となる。

    A:誤り。暫定任意適用事業が適用事業に該当するに至った場合は、その日に事業が開始されたものとみなされ(徴収法附則3条)、その日に雇用保険に係る保険関係が当然に成立する(徴収法4条)。成立届(4条の2)は成立した日から10日以内に提出するが、届出によって成立するのではない。

    B:誤り。都道府県及び市町村の行う事業、並びにこれらに準ずるものの行う事業は、労災保険と雇用保険の保険関係ごとに別個の事業とみなして適用する、いわゆる二元適用事業である(徴収法39条1項、徴収則70条1号)。一元的に処理する事業ではない。

    C:正しい。事業主の氏名又は名称及び住所等に変更があったときは、変更を生じた日の翌日から起算して10日以内に、所定の事項を記載した届書を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出する(徴収法4条の2第2項、徴収則5条)。

    D:誤り。暫定任意適用事業の雇用保険の保険関係は、労働者の4分の3以上の同意を得て消滅の申請をし、厚生労働大臣の認可があった日の「翌日」に消滅する(徴収法附則4条)。

    E:誤り。保険関係が成立している事業が廃止され、又は終了したときは、保険関係はその「翌日」に消滅する(徴収法5条)。

  29. 問29

    徴収法

    労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A雇用保険印紙購入通帳は、その交付の日の属する保険年度に限りその効力を有するが、有効期間の更新を受けた当該雇用保険印紙購入通帳は、更新前の雇用保険印紙購入通帳の有効期間が満了する日の翌日の属する保険年度に限り、その効力を有する。
    2. B事業主は、雇用保険印紙購入通帳の雇用保険印紙購入申込書がなくなった場合であって、当該保険年度中に雇用保険印紙を購入しようとするときは、その旨を所轄公共職業安定所長に申し出て、再交付を受けなければならない。
    3. C事業主は、その所持する雇用保険印紙購入通帳の有効期間が満了したときは、速やかに、その所持する雇用保険印紙購入通帳を所轄公共職業安定所長に返納しなければならない。
    4. D事業主は、雇用保険印紙と印紙保険料納付計器を併用して印紙保険料を納付する場合、労働保険徴収法施行規則第54条に定める印紙保険料納付状況報告書によって、毎月における雇用保険印紙の受払状況及び毎月における印紙保険料納付計器の使用状況を、所轄公共職業安定所長を経由して、所轄都道府県労働局歳入徴収官に報告しなければならない。
    5. E事業主は、印紙保険料納付計器の全部又は一部を使用しなくなったときは、当該使用しなくなった印紙保険料納付計器を納付計器に係る都道府県労働局歳入徴収官に提示しなければならず、当該都道府県労働局歳入徴収官による当該印紙保険料納付計器の封の解除その他必要な措置を受けることとなる。

    正解:D

    解説

    正解はD。日雇労働被保険者に係る印紙保険料の納付手続(雇用保険印紙購入通帳、印紙保険料納付計器)を問う問題である。印紙の受払状況と納付計器の使用状況は別々の報告書で報告し、提出のルートも異なる点が決め手となる。

    A:正しい。購入通帳は交付の日の属する保険年度に限り効力を有する。更新を受けた通帳は、更新前の通帳の有効期間が満了する日の翌日の属する保険年度に限り効力を有する(徴収則42条2項・5項)。

    B:正しい。購入申込書がなくなった場合で、その保険年度中に印紙を購入しようとするときは、所轄公共職業安定所長に申し出て再交付を受けなければならない(徴収則42条6項)。

    C:正しい。購入通帳の有効期間が満了したときは、速やかに所轄公共職業安定所長に返納しなければならない(徴収則42条8項)。

    D:誤り。雇用保険印紙の受払状況は、印紙保険料納付状況報告書により、翌月末日までに所轄都道府県労働局歳入徴収官に報告する(徴収則54条)。納付計器の使用状況は、則55条の報告書により、設置事業場を管轄する公共職業安定所長を経由して、納付計器に係る都道府県労働局歳入徴収官に報告する。則54条の報告書1通で両方を、公共職業安定所長を経由して報告するのではない。

    E:正しい。納付計器の全部又は一部を使用しなくなったときは、その計器を納付計器に係る都道府県労働局歳入徴収官に提示する。歳入徴収官は封の解除その他必要な措置を講ずる(徴収則52条1項・2項)。

  30. 問30

    徴収法

    労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A前保険年度より保険関係が引き続く継続事業の事業主は、労働保険徴収法第19条第1項に定める確定保険料申告書を、保険年度の7月10日までに所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならないが、当該事業が3月31日に廃止された場合には同年5月10日までに提出しなければならない。
    2. B3月31日に事業が終了した有期事業の事業主は、労働保険徴収法第19条第1項に定める確定保険料申告書を、同年5月10日までに所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならない。
    3. C2以上の有期事業が労働保険徴収法第7条に定める要件に該当し、一の事業とみなされる事業についての事業主は、当該事業が継続している場合、同法施行規則第34条に定める一括有期事業についての報告書を、次の保険年度の7月1日までに所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならない。
    4. D前保険年度より保険関係が引き続く継続事業の事業主は、前保険年度の3月31日に賃金締切日があり当該保険年度の4月20日に当該賃金を支払う場合、当該賃金は前保険年度の確定保険料として申告すべき一般保険料の額を算定する際の賃金総額に含まれる。
    5. E労働保険徴収法第21条の規定により追徴金を徴収しようとする場合、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、事業主が通知を受けた日から起算して30日を経過した日をその納期限と定め、納入告知書により、事業主に、当該追徴金の額、その算定の基礎となる事項及び納期限を通知しなければならない。

    正解:D

    解説

    正解はD。確定保険料申告書・一括有期事業報告書の提出期限、賃金総額の範囲、追徴金の納期限を問う問題である。保険年度末日に締め切った賃金は、支払が翌年度でも前年度の賃金総額に含まれる点が決め手となる。

    A:誤り。継続事業の確定保険料申告書は次の保険年度の6月1日から40日以内(7月10日まで)に提出する。保険年度の中途に保険関係が消滅したものは、消滅した日から50日以内である(徴収法19条1項)。3月31日に廃止された場合、保険関係は翌日の4月1日に消滅するので(徴収法5条)、期限は5月20日となる。

    B:誤り。有期事業の確定保険料申告書は、保険関係が消滅した日から50日以内に提出する(徴収法19条2項)。3月31日に終了すれば4月1日に消滅し、期限は5月20日である。

    C:誤り。一括有期事業報告書は、次の保険年度の6月1日から起算して40日以内(7月10日まで)、又は保険関係が消滅した日から起算して50日以内に提出する(徴収則34条)。7月1日までではない。

    D:正しい。賃金総額は、その保険年度中に支払うことが具体的に確定した賃金で算定する。3月31日に締め切った賃金は、支払が4月20日でも前保険年度の賃金総額に含まれる(行政解釈)。

    E:誤り。追徴金の通知は納入告知書によって行う(徴収法21条3項・17条2項、徴収則38条5項)。その納期限は、通知を「発する日」から起算して30日を経過した日とされる。「通知を受けた日」からではない。

  31. 問31

    労務管理その他の労働に関する一般常識

    我が国の労働安全衛生に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問は、「令和4年労働安全衛生調査(実態調査) (事業所調査) (厚生労働省)」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。

    1. Aメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は6割を超えている。このうち、対策に取り組んでいる事業所の取組内容(複数回答)をみると、「ストレスチェックの実施」の割合が最も多く、次いで「メンタルヘルス不調の労働者に対する必要な配慮の実施」となっている。
    2. B過去1年間(令和3年11月1日から令和4年10月31日までの期間)に一般健康診断を実施した事業所のうち所見のあった労働者がいる事業所の割合は約7割となっている。このうち、所見のあった労働者に講じた措置内容(複数回答)をみると、「健康管理等について医師又は歯科医師から意見を聴いた」の割合が最も多くなっている。
    3. C傷病(がん、糖尿病等の私傷病)を抱えた何らかの配慮を必要とする労働者に対して、治療と仕事を両立できるような取組がある事業所の割合は約6割となっている。このうち、取組内容(複数回答)をみると、「通院や体調等の状況に合わせた配慮、措置の検討(柔軟な労働時間の設定、仕事内容の調整)」の割合が最も多く、次いで「両立支援に関する制度の整備(年次有給休暇以外の休暇制度、勤務制度等)」となっている。
    4. D傷病(がん、糖尿病等の私傷病)を抱えた労働者が治療と仕事を両立できるような取組がある事業所のうち、取組に関し困難や課題と感じていることがある事業所の割合は約8割となっている。このうち、困難や課題と感じている内容(複数回答)をみると、「上司や同僚の負担」の割合が最も多く、次いで「代替要員の確保」となっている。
    5. E転倒災害を防止するための対策に取り組んでいる事業所の割合は8割を超えている。このうち、転倒災害防止対策の取組内容(複数回答)をみると、「通路、階段、作業場所等の整理・整頓・清掃の実施」の割合が最も多く、次いで「手すり、滑り止めの設置、段差の解消、照度の確保等の設備の改善」となっている。

    正解:D

    解説

    正解はD。「令和4年労働安全衛生調査(実態調査)事業所調査」(厚生労働省)の結果を問う統計問題である。治療と仕事の両立支援で困難や課題と感じている内容の1位と2位が入れ替わっている点が決め手となる。

    A:正しい。結果の概況によると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所は63.4%で、取組内容は「ストレスチェックの実施」(63.1%)が最も多く、次いで「メンタルヘルス不調の労働者に対する必要な配慮の実施」(53.6%)である。

    B:正しい。一般健康診断を実施した事業所のうち、所見のあった労働者がいる事業所は69.8%で、講じた措置は「健康管理等について医師又は歯科医師から意見を聴いた」(45.3%)が最も多い。

    C:正しい。治療と仕事を両立できるような取組がある事業所は58.8%で、取組内容は「通院や体調等の状況に合わせた配慮、措置の検討」(86.4%)が最も多く、次いで「両立支援に関する制度の整備」(35.9%)である。

    D:誤り。取組に関し困難や課題と感じていることがある事業所は81.8%で約8割は正しい。しかし内容は「代替要員の確保」(77.2%)が最も多く、次いで「上司や同僚の負担」(51.2%)であり、本肢は順位が逆である。

    E:正しい。転倒災害防止対策に取り組んでいる事業所は84.6%で、取組内容は「通路、階段、作業場所等の整理・整頓・清掃の実施」(85.4%)が最も多く、次いで「手すり、滑り止めの設置、段差の解消、照度の確保等の設備の改善」(56.6%)である。

  32. 問32

    労務管理その他の労働に関する一般常識

    我が国の労使間の交渉等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問は、「令和4年労使間の交渉等に関する実態調査(厚生労働省)」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。また、BからDまでの「過去3年間」とは、「令和元年7月1日から令和4年6月30日」の期間をいう。

    1. A過去1年間(令和3年7月1日から令和4年6月30日の期間)に、正社員以外の労働者に関して使用者側と話合いが持たれた事項(複数回答)をみると、「派遣労働者に関する事項」の割合が最も高く、次いで「同一労働同一賃金に関する事項」、「正社員以外の労働者(派遣労働者を除く)の労働条件」の順となっている。
    2. B過去3年間に「何らかの労使間の交渉があった」事項をみると、「賃金・退職給付に関する事項」の割合が最も高く、次いで「労働時間・休日・休暇に関する事項」、「雇用・人事に関する事項」の順となっている。
    3. C過去3年間に使用者側との間で「団体交渉を行った」労働組合について、交渉形態(複数回答)をみると、「当該労働組合のみで交渉」の割合が最も高く、次いで「企業内上部組織又は企業内下部組織と一緒に交渉」、「企業外上部組織(産業別組織)と一緒に交渉」の順となっている。
    4. D過去3年間に「労働争議がなかった」労働組合について、その理由(複数回答主なもの三つまで)をみると、「対立した案件がなかったため」の割合が最も高く、次いで「対立した案件があったが話合いで解決したため」、「対立した案件があったが労働争議に持ち込むほど重要性がなかったため」の順となっている。
    5. E労使間の諸問題を解決するために今後最も重視する手段をみると、「団体交渉」の割合が最も高く、次いで「労使協議機関」となっている。

    正解:A

    解説

    正解はA。「令和4年労使間の交渉等に関する実態調査」(厚生労働省)の結果を問う統計問題である。正社員以外の労働者に関する話合いの事項で、最も高いのは派遣労働者に関する事項ではない点が決め手となる。

    A:誤り。結果の概況によると、過去1年間に正社員以外の労働者に関して話合いが持たれた事項は、「正社員以外の労働者(派遣労働者を除く)の労働条件」(66.2%)が最も高く、次いで「同一労働同一賃金に関する事項」(55.2%)、「正社員以外の労働者(派遣労働者を含む)の正社員への登用制度」(38.7%)の順である。「派遣労働者に関する事項」が最も高いとする点が誤りである。

    B:正しい。過去3年間に「何らかの労使間の交渉があった」事項は、「賃金・退職給付に関する事項」(72.6%)、「労働時間・休日・休暇に関する事項」(70.0%)、「雇用・人事に関する事項」(60.4%)の順である。

    C:正しい。団体交渉の交渉形態は、「当該労働組合のみで交渉」(85.4%)が最も高く、次いで「企業内上部組織又は企業内下部組織と一緒に交渉」(11.8%)、「企業外上部組織(産業別組織)と一緒に交渉」(3.2%)である。

    D:正しい。労働争議がなかった理由は、「対立した案件がなかったため」(54.3%)が最も高く、次いで「対立した案件があったが話合いで解決したため」(38.1%)、「対立した案件があったが労働争議に持ち込むほど重要性がなかったため」(11.7%)である。

    E:正しい。今後最も重視する解決手段は「団体交渉」(49.8%)が最も高く、次いで「労使協議機関」(43.3%)である。

  33. 問33

    労務管理その他の労働に関する一般常識

    労働契約法等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A労働契約は労働者及び使用者が合意することによって成立するが、合意の要素は、「労働者が使用者に使用されて労働すること」、「使用者がこれに対して賃金を支払うこと」、「詳細に定められた労働条件」であり、労働条件を詳細に定めていなかった場合には、労働契約が成立することはない。
    2. B労働基準法第106条に基づく就業規則の「周知」は、同法施行規則第52条の2各号に掲げる、常時各作業場の見やすい場所へ掲示する等の方法のいずれかによるべきこととされているが、労働契約法第7条柱書きの場合の就業規則の「周知」は、それらの方法に限定されるものではなく、実質的に判断される。
    3. C労働基準法第89条及び第90条に規定する就業規則に関する手続が履行されていることは、労働契約法第10条本文の、「労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによる」という法的効果を生じさせるための要件ではないため、使用者による労働基準法第89条及び第90条の遵守の状況を労働契約法第10条本文の合理性判断に際して考慮してはならない。
    4. D労働契約法第17条第1項の「やむを得ない事由」があるか否かは、個別具体的な事案に応じて判断されるものであるが、期間の定めのある労働契約(以下本問において「有期労働契約」という。)は、試みの使用期間(試用期間)を設けることが難しく、使用者は労働者の有する能力や適性を事前に十分に把握できないことがあることから、「やむを得ない事由」があると認められる場合は、同法第16条に定めるいわゆる解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」以外の場合よりも広いと解される。
    5. E労働契約法第18条第1項によれば、労働者が、同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下本肢において同じ。)の契約期間を通算した期間が5年を超えた場合には、当該使用者が、当該労働者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の申込みをしたものとみなすこととされている。

    正解:B

    解説

    正解はB。労働契約法の成立・就業規則・有期労働契約に関する条文と施行通達の解釈を問う問題である。労契法7条の「周知」は労基法106条・同法施行規則52条の2の方法に限られず、実質的に判断される点が決め手となる。

    A:誤り。労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者が賃金を支払うことについて合意すれば成立する(労契法6条)。労働条件を詳細に定めていなくても労働契約は成立するとされる(行政解釈)。

    B:正しい。労基法106条の周知は同法施行規則52条の2の方法によるが、労契法7条の周知はこれらの方法に限られない。労働者が知ろうと思えば知り得る状態にしていたかで実質的に判断される(行政解釈)。

    C:誤り。労基法89条・90条の手続の履行は、労契法10条本文の効果が生じる要件ではない。しかし、使用者がこれらの手続を守っていたかは、10条本文の合理性判断で考慮され得るとされる(行政解釈)。考慮してはならないとする点が誤りである。

    D:誤り。有期労働契約の契約期間中の解雇に必要な「やむを得ない事由」(労契法17条1項)がある場合は、16条の「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」以外の場合よりも「狭い」と解される(行政解釈)。広いとする点が誤りである。

    E:誤り。通算契約期間が5年を超える労働者が、無期労働契約の締結の申込みをしたときに、使用者がその申込みを承諾したものとみなされる(労契法18条1項)。申込みをするのは労働者であり、使用者が申込みをしたとみなされるのではない。

  34. 問34

    労務管理その他の労働に関する一般常識

    労働関係法規に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。 ア 労働者の募集を行う者及び募集受託者は、職業安定法に基づく業務に関して新聞、雑誌その他の刊行物に掲載する広告、文書の掲出又は頒布その他厚生労働省令で定める方法により労働者の募集に関する情報その他厚生労働省令で定める情報を提供するときは、正確かつ最新の内容に保たなければならない。 イ 最低賃金法第8条は、「最低賃金の適用を受ける使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該最低賃金の概要を、常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければならない。」と定めている。 ウ 障害者専用の求人の採用選考又は採用後において、仕事をする上での能力及び適性の判断、合理的配慮の提供のためなど、雇用管理上必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者に障害の状況等を確認することは、障害者であることを理由とする差別に該当せず、障害者の雇用の促進等に関する法律に違反しない。 エ 労働施策総合推進法第9条は、「事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)及び昇進について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。」と定めている。 オ 基本給の一部について、労働者の業績又は成果に応じて支給しているY社において、通常の労働者が販売目標を達成した場合に行っている支給を、短時間労働者であるXについて通常の労働者と同一の販売目標を設定し、当該販売目標を達成しない場合には支給を行っていなくても、パートタイム・有期雇用労働法上は問題ない。

    1. A(アとイ)
    2. B(アとウ)
    3. C(イとエ)
    4. D(ウとオ)
    5. E(エとオ)

    正解:E

    解説

    正解はE(エとオ)。職業安定法、最低賃金法、障害者雇用促進法、労働施策総合推進法、パートタイム・有期雇用労働法の規定と指針を問う問題である。誤っているのはエとオである。

    ア:正しい。労働者の募集を行う者及び募集受託者は、広告等により労働者の募集に関する情報等を提供するときは、正確かつ最新の内容に保たなければならない(職安法5条の4第2項)。

    イ:正しい。最低賃金法8条の条文どおりである。

    ウ:正しい。障害者専用求人の採用選考や採用後に、能力・適性の判断や合理的配慮の提供など雇用管理上必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害の状況等を確認することは、障害者であることを理由とする差別に当たらないとされる(障害者差別禁止指針)。

    エ:誤り。労働施策総合推進法9条が年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないとしているのは、「労働者の募集及び採用」についてである。配置・昇進について定めた規定ではない。

    オ:誤り。同一労働同一賃金ガイドライン(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針)は、基本給の一部を業績・成果に応じて支給する場合、短時間労働者に通常の労働者と同一の販売目標を設定し、達成しなければ支給しないことを「問題となる例」としている。所定労働時間に応じた目標設定などをしないまま同じ目標を課すのは問題とされる。

    よって誤っているものはエとオで、E。

  35. 問35

    労務管理その他の労働に関する一般常識

    社会保険労務士法令に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、Bにつき、「申請書等」とは社会保険労務士法施行規則第16条の2に規定する「申請書等」をいう。

    1. A社会保険労務士法第2条第1項柱書きにいう「業とする」とは、社会保険労務士法に定める社会保険労務士の業務を、反復継続して行う意思を持って反復継続して行うことをいい、他人の求めに応ずるか否か、有償、無償の別を問わない。
    2. B社会保険労務士又は社会保険労務士法人は、社会保険労務士法第2条第1項第1号の3に規定する事務代理又は紛争解決手続代理業務(以下本肢において「事務代理等」という。)をする場合において、申請書等を行政機関等に提出するときは、当該社会保険労務士又は社会保険労務士法人に対して事務代理等の権限を与えた者の氏名又は名称を記載した申請書等に「事務代理者」又は「紛争解決手続代理者」と表示し、かつ、当該事務代理等に係る社会保険労務士の名称を冠してその氏名を記載しなければならない。
    3. C社会保険労務士となる資格を有する者が、社会保険労務士法第14条の2に定める登録を受ける前に、社会保険労務士の名称を用いて他人の求めに応じ報酬を得て、同法第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事務を業として行った場合には、同法第26条(名称の使用制限)違反とはならないが、同法第27条(業務の制限)違反となる。
    4. D全国社会保険労務士会連合会は、社会保険労務士法第14条の6第1項の規定により登録を拒否しようとするときは、あらかじめ、当該申請者にその旨を通知して、相当の期間内に自ら又はその代理人を通じて弁明する機会を与えなければならず、同項の規定により登録を拒否された者は、当該処分に不服があるときは、厚生労働大臣に対して審査請求をすることができる。
    5. E開業社会保険労務士及び社会保険労務士法人は、正当な理由がある場合でなければ、依頼(紛争解決手続代理業務に関するものを除く。)を拒んではならない。

    正解:C

    解説

    正解はC。社会保険労務士法の業務、登録、名称・業務の制限、依頼に応ずる義務を問う問題である。登録を受ける前の者は社会保険労務士ではないので、その名称を用いれば26条違反にもなる点が決め手となる。

    A:正しい。「業とする」とは、社労士の業務を反復継続して行う意思をもって反復継続して行うことをいい、他人の求めに応ずるか否か、有償・無償の別を問わない(行政解釈)。

    B:正しい。事務代理又は紛争解決手続代理業務をする場合に申請書等を行政機関等に提出するときは、権限を与えた者の氏名又は名称を記載した申請書等に「事務代理者」又は「紛争解決手続代理者」と表示し、社会保険労務士の名称を冠して氏名を記載しなければならない(社労士法施行規則)。

    C:誤り。社労士となる資格を有する者でも、登録を受けなければ社会保険労務士とはならない(社労士法14条の2第1項)。登録前に社会保険労務士の名称を用いれば名称の使用制限(同法26条1項)に違反する。さらに、他人の求めに応じ報酬を得て2条1項1号〜2号の事務を業として行えば、業務の制限(同法27条)にも違反する。26条違反とならないとする点が誤りである。

    D:正しい。全国社会保険労務士会連合会は、登録を拒否しようとするときは、あらかじめ申請者に通知し、相当の期間内に自ら又は代理人を通じて弁明する機会を与えなければならない(社労士法14条の6第2項)。登録を拒否された者は、厚生労働大臣に審査請求できる(同法14条の8第1項)。

    E:正しい。開業社会保険労務士は、正当な理由がある場合でなければ、依頼(紛争解決手続代理業務に関するものを除く)を拒んではならない(社労士法20条)。この規定は社会保険労務士法人にも準用される(同法25条の20)。

  36. 問36

    社会保険に関する一般常識

    確定給付企業年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A企業年金基金(以下本問において「基金」という。)は、分割しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。また、基金の分割は、実施事業所の一部について行うことができる。
    2. B確定給付企業年金法第78条第1項によると、事業主等がその実施事業所を増加させ、又は減少させようとするときは、その増加又は減少に係る厚生年金適用事業所の事業主の過半数の同意及び労働組合等の同意を得なければならない。
    3. C基金は、代議員会において代議員の定数の3分の2以上の多数により議決したとき、又は基金の事業の継続が不可能となったときは、厚生労働大臣の認可を受けて、解散することができる。
    4. D確定給付企業年金を実施する厚生年金適用事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、その実施する確定給付企業年金の清算人になることができる。
    5. E確定給付企業年金法第89条第6項によると、終了した確定給付企業年金の残余財産(政令で定めるものを除く。)は、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより、その終了した日において当該確定給付企業年金を実施する事業主等が給付の支給に関する義務を負っていた者に分配しなければならない。

    正解:E

    解説

    正解はE。確定給付企業年金の基金の分割、実施事業所の増減、解散、清算を問う問題である。残余財産の分配を定める89条6項の文言どおりのEが正しい。

    A:誤り。基金の分割に厚生労働大臣の認可が要る点は正しい。しかし基金の分割は、実施事業所の一部について行うことはできない(確定給付企業年金法77条1項・2項)。

    B:誤り。実施事業所を増減させるには、増減に係る厚生年金適用事業所の事業主の「全部」の同意と、労働組合等の同意が要る(同法78条1項)。過半数の同意ではない。

    C:誤り。代議員会の議決による解散は、代議員の定数の「4分の3以上」の多数による(同法85条1項)。

    D:誤り。事業主その他政令で定める者は、その実施する確定給付企業年金の清算人になることができない(同法89条3項)。大臣の認可で清算人になれる規定はない。

    E:正しい。同法89条6項のとおりである。同条7項により、残余財産は終了制度加入者等に全額を支払い、事業主に引き渡してはならない。

  37. 問37

    社会保険に関する一般常識

    確定拠出年金法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A企業型年金加入者は、政令で定める基準に従い企業型年金規約で定めるところにより、年1回以上、定期的に自ら掛金を拠出することができる。
    2. B企業型年金加入者掛金を拠出する企業型年金加入者は、企業型年金加入者掛金を企業型年金規約で定める日までに事業主を介して資産管理機関に納付するものとする。
    3. C企業型年金の給付のうち年金として支給されるもの(以下本肢において「年金給付」という。)の支給は、これを支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、権利が消滅した月で終わるものとする。年金給付の支払期月については、企業型年金規約で定めるところによる。
    4. D個人型年金加入者は、厚生労働省令で定めるところにより、氏名及び住所その他の事項を、当該個人型年金加入者が指定した運用関連業務を行う確定拠出年金運営管理機関に届け出なければならない。
    5. E個人型年金加入者掛金の額は、個人型年金規約で定めるところにより、個人型年金加入者が決定し、又は変更する。

    正解:D

    解説

    正解はD。確定拠出年金の掛金、給付、届出の規定を問う問題である。個人型年金加入者の届出先は国民年金基金連合会で、運営管理機関ではない点が決め手になる。

    A:正しい。確定拠出年金法19条3項のとおり。

    B:正しい。同法21条の2第1項のとおり。

    C:正しい。同法31条1項・2項のとおり。

    D:誤り。個人型年金加入者は、氏名・住所その他の事項を国民年金基金連合会に届け出る(同法66条1項)。届出を受けた連合会が、加入者等の指定した記録関連業務を行う確定拠出年金運営管理機関に通知する(同条3項)。加入者が運営管理機関に直接届け出るのではない。

    E:正しい。同法68条2項のとおり。

  38. 問38

    社会保険に関する一般常識

    国民健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A市町村(特別区を含む。以下本問において同じ。)は、国民健康保険事業の運営が適切かつ円滑に行われるよう、国民健康保険組合(以下「国保組合」という。)その他の関係者に対し、必要な指導及び助言を行うものとする。
    2. B国保組合は、規約の定めるところにより、組合員の世帯に属する者を包括して被保険者としないことができる。
    3. C国保組合が解散したときは、破産手続開始の決定による解散の場合を除き、監事がその清算人となる。ただし、規約に別段の定めがあるとき、又は組合会において監事以外の者を選任したときは、この限りでない。
    4. D国民健康保険審査会は、各都道府県に置かれ、被保険者を代表する委員、保険者を代表する委員及び保険医又は保険薬剤師を代表する委員各3人をもって組織される。
    5. E市町村若しくは国保組合又は国民健康保険団体連合会は、厚生労働省令で定めるところにより、事業状況を厚生労働大臣に報告しなければならない。

    正解:B

    解説

    正解はB。国民健康保険法の都道府県・市町村・国保組合の役割と、審査会・報告の規定を問う問題である。

    A:誤り。国保組合その他の関係者に必要な指導・助言を行うのは都道府県である(国保法4条5項)。市町村ではない。

    B:正しい。国保組合は、規約の定めるところにより、組合員の世帯に属する者を包括して被保険者としないことができる(同法19条2項)。

    C:誤り。国保組合が解散したときは、破産手続開始の決定による解散の場合を除き、「理事」が清算人となる(同法32条の4)。監事ではない。

    D:誤り。国民健康保険審査会が各都道府県に置かれる点は正しい(同法92条)。しかし委員は、被保険者を代表する委員、保険者を代表する委員、「公益」を代表する委員の各3人である(同法93条1項)。保険医・保険薬剤師を代表する委員ではない。

    E:誤り。事業状況の報告先は、都道府県が厚生労働大臣、市町村・国保組合・国保連合会はその区域を含む都道府県の知事である(同法107条)。

  39. 問39

    社会保険に関する一般常識

    社会保障制度に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。 なお、本問の「ア、イ、ウ」は「令和5年版厚生労働白書(厚生労働省)」を参照しており、当該白書又は当該白書が引用している調査による用語及び統計等を利用している。 ア 日本の公的年金制度は、予測することが難しい将来のリスクに対して、社会全体であらかじめ備えるための制度であり、現役世代の保険料負担により、その時々の高齢世代の年金給付をまかなう世代間扶養である賦課方式を基本とした仕組みで運営されている。賃金や物価の変化を年金額に反映させながら、生涯にわたって年金が支給される制度として設計されており、必要なときに給付を受けることができる保険として機能している。 イ 公的年金制度の給付の状況としては、全人口の約3割が公的年金の受給権を有している。高齢者世帯に関してみれば、その収入の約8割を公的年金等が占めるなど、年金給付が国民の老後生活の基本を支えるものとしての役割を担っていることがわかる。 ウ 「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」による短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大には、これまで国民年金・国民健康保険に加入していた人が被用者保険の適用を受けることにより、基礎年金に加えて報酬比例の厚生年金保険給付が支給されることに加え、障害厚生年金には、障害等級3級や障害手当金も用意されているといった大きなメリットがある。また、医療保険においても傷病手当金や出産手当金が支給される。 エ 日本から海外に派遣され就労する邦人等が日本と外国の年金制度等に加入し保険料を二重に負担することを防ぎ、また、両国での年金制度の加入期間を通算できるようにすることを目的として、外国との間で社会保障協定の締結を進めている。2024(令和6)年4月1日現在、22か国との間で協定が発効しており、一番初めに協定を締結した国はドイツである。 オ 日本と社会保障協定を発効している国のうち英国、韓国、中国及びイタリアとの協定については、「両国での年金制度の加入期間を通算すること」を主な内容としている。

    1. A(アとイ)
    2. B(アとウ)
    3. C(イとエ)
    4. D(ウとオ)
    5. E(エとオ)

    正解:B

    解説

    正解はB(アとウ)。令和5年版厚生労働白書の公的年金・被用者保険の記述と、社会保障協定の内容を問う問題である。

    ア:正しい。白書の記述どおりである。公的年金は現役世代の保険料で高齢世代の給付をまかなう世代間扶養の賦課方式を基本とし、賃金・物価の変化を反映しながら終身で支給される保険として機能している。

    イ:誤り。公的年金の受給権者の割合と、高齢者世帯の収入に占める公的年金等の割合を述べた記述で、公式正答から誤りとされる。数値の部分が白書の記述と一致しない。

    ウ:正しい。白書の記述どおりである。適用拡大で被用者保険に加入すると、基礎年金に報酬比例の厚生年金が上乗せされ、障害厚生年金には3級や障害手当金もある。医療保険でも傷病手当金・出産手当金が支給される。

    エ:誤り。協定の目的(保険料の二重負担の防止と加入期間の通算)の部分は正しい。しかし、イタリアとの協定が2024(令和6)年4月1日に発効し、同日現在で協定が発効している国は23か国である(厚生労働省の報道発表)。22か国ではない。

    オ:誤り。英国、韓国、中国、イタリアとの協定は「保険料の二重負担の防止」だけを内容とし、加入期間の通算は含まない。

    よって正しいものはアとウで、B。

  40. 問40

    社会保険に関する一般常識

    社会保険制度の死亡に係る給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A船員保険の被保険者が職務外の事由により死亡したとき、又は船員保険の被保険者であった者が、その資格を喪失した後6か月以内に職務外の事由により死亡したときは、被保険者又は被保険者であった者により生計を維持していた者であって、埋葬を行った者に対し、埋葬料として、5万円を支給する。
    2. B市町村(特別区を含む。)及び国保組合は、国民健康保険の被保険者の死亡に関しては、条例又は規約の定めるところにより、埋葬料として、5万円を支給する。
    3. C健康保険の日雇特例被保険者が死亡した場合において、その死亡の日の属する月の前2か月間に通算して26日分以上若しくは当該月の前6か月間に通算して78日分以上の保険料がその者について納付されていなくても、その死亡の際その者が療養の給付を受けていたときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、5万円を支給する。
    4. D健康保険の被保険者が死亡したときに、その者により生計を維持していた者がいない場合には、埋葬を行った者に対し、埋葬料として、5万円を支給する。
    5. E後期高齢者医療広域連合は、高齢者医療確保法の被保険者の死亡に関しては、条例の定めるところにより、埋葬料として、5万円を支給する。

    正解:C

    解説

    正解はC。各制度の死亡に関する給付の名称、要件、額を問う問題である。名称が「埋葬料」で額が5万円となるのは、健康保険の被保険者と日雇特例被保険者だけである。

    A:誤り。船員保険の職務外の死亡の給付は「葬祭料」である。資格喪失後の死亡も「3月以内」が要件である(船員保険法72条1項)。

    B:誤り。国保は、条例又は規約の定めるところにより「葬祭費の支給又は葬祭の給付」を行う(国保法58条1項)。名称は埋葬料でなく、法律で額は決まっていない。特別の理由があれば全部又は一部を行わないこともできる。

    C:正しい。日雇特例被保険者の埋葬料は、保険料の納付要件を満たさなくても、死亡の際に療養の給付等を受けていたときは支給される(健保法136条1項)。額は100条1項の政令で定める金額で、5万円である(健保令35条)。

    D:誤り。生計維持者がいないときは、埋葬を行った者に、埋葬料の額(5万円)の範囲内で埋葬に要した費用に相当する金額を支給する(健保法100条2項)。定額の5万円ではない。

    E:誤り。後期高齢者医療広域連合は、条例の定めるところにより「葬祭費の支給又は葬祭の給付」を行う(高齢者医療確保法86条1項)。埋葬料ではない。

  41. 問41

    健康保険法

    健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A全国健康保険協会(以下「協会」という。)は、厚生労働大臣から事業年度ごとの業績について評価を受け、その評価の結果を公表しなければならない。
    2. B任意継続被保険者は、任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、保険者に申し出た場合において、その申し出た日の属する月の末日が到来するに至ったときは、その翌日から任意継続被保険者の資格を喪失する。
    3. C一般労働者派遣事業の事業所に雇用される登録型派遣労働者が、派遣就業に係る雇用契約の終了後、1か月以内に同一の派遣元事業主のもとでの派遣就業に係る次回の雇用契約が締結されなかった場合には、その雇用契約が締結されないことが確実になった日又は当該1か月を経過した日のいずれか遅い日をもって使用関係が終了したものとし、その使用関係終了日から5日以内に事業主は被保険者資格喪失届を提出する義務が生じるものであって、派遣就業に係る雇用契約の終了時に遡って被保険者資格を喪失させるものではない。
    4. D保険医療機関の指定の取消処分を受けた医療機関に関して、健康保険法第65条第3項第1号において、当該医療機関がその取消しの日から5年を経過しないものであるときは、保険医療機関の指定をしないことができるとされているが、当該医療機関の機能、事案の内容等を総合的に勘案し、地域医療の確保を図るため特に必要があると認められる場合であって、診療内容又は診療報酬の請求に係る不正又は著しい不当に関わった診療科が、2年を経過した期間保険診療を行わない場合については、取消処分と同時に又は一定期間経過後に当該医療機関を保険医療機関として指定することができる。
    5. E健康保険組合において、任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額が、当該被保険者の属する健康保険組合の全被保険者における前年度の9月30日の標準報酬月額を平均した額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額を超える場合は、規約で定めるところにより、資格喪失時の標準報酬月額をその者の標準報酬月額とすることができる。

    正解:E

    解説

    正解はE。協会の業績評価、任意継続被保険者の資格と標準報酬月額、派遣労働者の資格喪失、保険医療機関の再指定を問う問題である。

    A:誤り。協会の事業年度ごとの業績を評価するのは厚生労働大臣で、評価結果を協会に通知し公表するのも厚生労働大臣である(健保法7条の30)。協会が公表するのではない。

    B:誤り。資格を喪失するのは、申出が「受理された日」の属する月の末日が到来した日の翌日である(同法38条7号)。申し出た日ではない。

    C:誤り。行政解釈では、次の雇用契約が締結されないことが確実になった日又は1か月を経過した日の「いずれか早い日」に使用関係が終了したものとする。「いずれか遅い日」ではない。その日から5日以内に事業主が資格喪失届を提出する義務が生じ、派遣就業に係る雇用契約の終了時にさかのぼって資格を喪失させるものではない点は、本肢のとおりである。

    D:誤り。行政解釈では、地域医療の確保のため特に必要な場合に再指定できるのは、不正又は著しい不当に関わった診療科が「5年」を経過する期間保険診療を行わない場合である。2年ではない。

    E:正しい。健保組合は、資格喪失時の標準報酬月額が全被保険者の平均額に基づく標準報酬月額を超える任意継続被保険者について、規約で資格喪失時の標準報酬月額を用いることができる(同法47条2項)。

  42. 問42

    健康保険法

    健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A被保険者の総数が常時100人以下の企業であっても、健康保険に加入することについての労使の合意(被用者の2分の1以上と事業主の合意)がなされた場合、1週間の所定労働時間が20時間以上であること、月額賃金が8.8万円以上であること、2か月を超える雇用の見込みがあること、学生でないことという要件をすべて満たす短時間労働者は、企業単位で健康保険の被保険者となる。
    2. B保険医療機関及び保険薬局は療養の給付に関し、保険医及び保険薬剤師は健康保険の診療又は調剤に関し、厚生労働大臣の指導を受けなければならない。厚生労働大臣は、この指導をする場合において、常に厚生労働大臣が指定する診療又は調剤に関する学識経験者を立ち会わせなければならない。
    3. C国庫は、毎年度、予算の範囲内において健康保険事業の事務の執行に要する費用を負担することになっており、健康保険組合に対して交付する国庫負担金は、各健康保険組合における被保険者数を基準として、厚生労働大臣が算定する。また、その国庫負担金は概算払いをすることができる。
    4. D協会は、財務諸表、事業報告書(会計に関する部分に限る。)及び決算報告書について、監事の監査のほか、厚生労働大臣が選任する会計監査人である公認会計士又は監査法人から監査を受けなければならない。
    5. E厚生労働大臣は、日雇特例被保険者に係る健康保険事業に要する費用(前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等、介護納付金並びに流行初期医療確保拠出金等の納付に要する費用を含む。)に充てるため、健康保険法第155条の規定により保険料を徴収するほか、毎年度、日雇特例被保険者を使用する事業主の設立する健康保険組合から拠出金を徴収する。

    正解:B

    解説

    正解はB。厚生労働大臣の指導の立会い、国庫負担、会計監査人、日雇拠出金、短時間労働者の適用を問う問題である。

    A:正しい。特定適用事業所以外の適用事業所でも、労使合意(2分の1以上同意対象者の過半数で組織する労働組合などの同意)を得て申出をすれば、短時間労働者は被保険者となる(平成24年改正法附則46条5項)。対象は、週20時間以上、月額8.8万円以上、2か月を超える雇用見込み、学生でないという要件(当時)をすべて満たす者である。

    B:誤り。学識経験者を立ち会わせるのは「必要があると認めるとき」で、学識経験者は「関係団体の指定」による(健保法73条2項)。「常に」立ち会わせるのでも、大臣が指定するのでもない。

    C:正しい。同法151条・152条のとおり。

    D:正しい。同法7条の29第1項〜3項のとおり。

    E:正しい。同法173条1項のとおり。

    法改正:特定適用事業所の規模要件は、令和6年10月から「常時50人を超える」に変わった(現行の平成24年改正法附則46条12項)。さらに現行の健保法3条1項9号には月額8.8万円の賃金要件がない。除外要件は週20時間未満と学生の2つだけである。

  43. 問43

    健康保険法

    健康保険法に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。 ア 健康保険組合が解散したとき、協会が健康保険組合の権利義務を承継する。健康保険組合が解散したときに未払い傷病手当金及びその他、付加給付等があれば、健康保険組合解散後においても支給される。しかし、解散後に引き続き発生した事由による傷病手当金の分については、組合員として受け取ることができる傷病手当金の請求権とは認められないので、協会に移管の場合は、これを協会への請求分として支給し、付加給付は認められない。 イ 協会管掌健康保険の被保険者(被保険者であった者を含む。)で、家族出産育児一時金の支給を受けることが見込まれる場合、妊娠4か月以上の被扶養者を有する者が医療機関に一時的な支払いが必要になったときは、協会の出産費貸付制度を利用して出産費貸付金を受けることができる。 ウ 適用事業所の事業主は、廃止、休止その他の事情により適用事業所に該当しなくなったときは、健康保険法施行規則第22条の規定により申請する場合を除き、当該事実があった日から5日以内に、所定の事項(事業主の氏名又は名称及び住所、事業所の名称及び所在地、適用事業所に該当しなくなった年月日及びその理由)を記載した届書を厚生労働大臣又は健康保険組合に提出しなければならない。 エ 特例退職被保険者の標準報酬月額については、健康保険法第41条から同法第44条までの規定にかかわらず、当該特定健康保険組合が管掌する前年(1月から3月までの標準報酬月額については、前々年)の9月30日における特例退職被保険者を含む全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額の範囲内においてその規約で定めた額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額となる。 オ 協会は、2年ごとに、翌事業年度以降の5年間についての協会が管掌する健康保険の被保険者数及び総報酬額の見通し並びに保険給付に要する費用の額、保険料の額(各事業年度において財政の均衡を保つことができる保険料率の水準を含む。)その他の健康保険事業の収支の見通しを作成し、厚生労働大臣に届け出るものとする。

    1. A(アとイ)
    2. B(アとウ)
    3. C(イとエ)
    4. D(ウとオ)
    5. E(エとオ)

    正解:E

    解説

    正解はE(エとオ)。誤っているものの組合せを選ぶ問題である。

    ア:正しい。行政解釈のとおりである。健保組合が解散すると、協会がその権利義務を承継する(健保法26条4項)。解散前に生じた未払いの傷病手当金や付加給付は支給される。一方、解散後に引き続き生じた傷病手当金は協会への請求分として支給し、付加給付は認められない。

    イ:正しい。協会の出産費貸付制度は、出産育児一時金(家族出産育児一時金を含む)の支給が見込まれる被保険者等が、医療機関への一時的な支払いを要するときに資金を貸し付ける。妊娠4か月以上の被扶養者がいる場合も対象となる。

    ウ:正しい。健保則20条1項のとおり。

    エ:誤り。特例退職被保険者の標準報酬月額の基準は、特例退職被保険者「以外」の全被保険者の標準報酬月額の平均額である(健保法附則3条4項)。特例退職被保険者を含む平均ではない。

    オ:誤り。協会は収支の見通しを作成し「公表する」ものとされる(健保法160条5項)。厚生労働大臣に届け出るのではない。現行の同項は、作成を「毎事業年度」としている。

    よって誤っているものはエとオで、E。

  44. 問44

    健康保険法

    健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A入院時の食事の提供に係る費用、特定長期入院被保険者に係る生活療養に係る費用、評価療養・患者申出療養・選定療養に係る費用、正常分娩及び単に経済的理由による人工妊娠中絶に係る費用は、療養の給付の対象とはならない。
    2. B健康保険組合は、特定の保険医療機関と合意した場合には、自ら審査及び支払いに関する事務を行うことができ、また、この場合、健康保険組合は当該事務を社会保険診療報酬支払基金(以下本肢において「支払基金」という。)以外の事業者に委託することができるが、公費負担医療に係る診療報酬請求書の審査及び支払いに関する事務を行う場合には、その旨を支払基金に届け出なければならない。
    3. C健康保険法第28条第1項に規定する健康保険組合による健全化計画は、同項の規定による指定の日の属する年度の翌年度を初年度とする3か年間の計画となり、事業及び財産の現状、財政の健全化の目標、その目標を達成するために必要な具体的措置及びこれに伴う収入支出の増減の見込額に関して記載しなければならない。
    4. D健康保険組合は、毎年度終了後6か月以内に、厚生労働省令で定めるところにより、事業及び決算に関する報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。
    5. E被保険者(任意継続被保険者を除く。)の資格を喪失した日以後に傷病手当金の継続給付の規定により傷病手当金の支給を始める場合においては、その資格を喪失した日の前日において当該被保険者であった者が属していた保険者等により定められた直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を傷病手当金の額の算定の基礎に用いる。

    正解:B

    解説

    正解はB。療養の給付の範囲、健保組合の直接審査、健全化計画、事業報告、傷病手当金の算定を問う問題である。

    A:正しい。食事療養、生活療養、評価療養、患者申出療養、選定療養は療養の給付に含まれない(健保法63条2項)。正常分娩や経済的理由による人工妊娠中絶は疾病・負傷にあたらないので、療養の給付の対象外である。

    B:誤り。行政解釈では、健保組合が保険医療機関と合意して自ら審査・支払を行うことや、その事務を支払基金以外に委託することは認められる。しかし、公費負担医療に係る診療報酬請求書の審査・支払は、支払基金に届け出れば健保組合が行えるとされているものではない。

    C:正しい。健保令30条のとおり。

    D:正しい。健保令24条1項のとおり。

    E:正しい。傷病手当金の額は、直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額の平均額を基礎とする(健保法99条2項)。資格喪失後の継続給付では、資格喪失日の前日に属していた保険者等が定めた標準報酬月額を用いる。

    法改正:現行の健保法76条5項では、社会保険診療報酬支払基金は「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」に改められている。

  45. 問45

    健康保険法

    健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A保険者は、偽りその他不正の行為により保険給付を受け、又は受けようとした者に対して、6か月以内の期間を定め、その者に支給すべき傷病手当金又は出産手当金の全部又は一部を支給しない旨の決定をすることができる。ただし、偽りその他不正の行為があった日から1年を経過したときは、この限りでない。
    2. B匿名診療等関連情報利用者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。納付すべき手数料の額は、匿名診療等関連情報の提供に要する時間1時間までごとに4,350円である。
    3. C徴収権の消滅時効の起算日は、保険料についてはその保険料の納期限の翌日、保険料以外の徴収金については徴収金を徴収すべき原因である事実の終わった日の翌日である。
    4. D健康保険法第183条の規定によりその例によるものとされる国税徴収法第141条の規定による徴収職員の質問(協会又は健康保険組合の職員が行うものを除く。)に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をしたとき、その違反行為をした者は、50万円以下の罰金に処せられる。
    5. E適用事業所の事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格の取得に関する事項を保険者等に届け出なければならない。この届出については、被保険者の住所等を記載した被保険者資格取得届を提出することによって行うこととされているが、当該被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者であって、当該健康保険組合が当該被保険者の住所に係る情報を求めないときは、被保険者の住所は記載が不要である。

    正解:E

    解説

    正解はE。不正受給への給付制限、匿名診療等関連情報の手数料、時効、罰則、資格取得届の記載事項を問う問題である。

    A:正しい。健保法120条のとおり。

    B:正しい。手数料は、提供に要する時間1時間までごとに4,350円である(健保令44条の2第1項)。

    C:正しい。徴収権は行使できる時から2年で時効消滅する(健保法193条1項)。起算日は、保険料が納期限の翌日、保険料以外の徴収金が徴収すべき原因となった事実の終わった日の翌日とされる(行政解釈)。

    D:正しい。健保法213条の2第2号により、50万円以下の罰金である。

    E:誤り。住所の記載が不要となるのは、協会が管掌する健康保険の被保険者で、厚生労働大臣が機構保存本人確認情報の提供を受けられるときである(健保則24条1項9号)。健保組合が住所の情報を求めないときに記載を省ける規定ではない。

  46. 問46

    健康保険法

    健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A健康保険組合の設立、合併又は分割を伴う健康保険組合が管掌する一般保険料率の変更においては、厚生労働大臣の権限を地方厚生局長に委任することができる。
    2. B協会の定款記載事項である事務所の所在地を変更する場合、厚生労働大臣の認可を受けなければその効力を生じない。
    3. C被保険者(任意継続被保険者を除く。)は、適用事業所に使用されるに至った日若しくはその使用される事業所が適用事業所となった日又は適用除外の規定に該当しなくなった日から、被保険者の資格を取得する。この使用されるに至った日とは、事業主と被保険者との間において事実上の使用関係の発生した日ではない。
    4. D一時帰休に伴い、就労していたならば受けられるであろう報酬よりも低額な休業手当等が支払われることとなった場合の標準報酬月額の決定については、標準報酬月額の定時決定の対象月に一時帰休に伴う休業手当等が支払われた場合、その休業手当等をもって報酬月額を算定して標準報酬月額を決定する。ただし、標準報酬月額の決定の際、既に一時帰休の状況が解消している場合は、当該定時決定を行う年の9月以後において受けるべき報酬をもって報酬月額を算定し、標準報酬月額を決定する。
    5. E保険者は、偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者があるときは、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。全部又は一部という意味は、情状によって詐欺その他の不正行為により受けた分の一部であるという趣旨である。

    正解:D

    解説

    正解はD。権限の委任、協会の定款変更、資格取得日、一時帰休時の定時決定、不正利得の徴収を問う問題である。

    A:誤り。健保組合の一般保険料率の変更の認可の権限は地方厚生局長に委任されている。しかし、健保組合の設立・合併・分割を伴う場合は委任から除かれている(健保則159条)。

    B:誤り。定款の変更は原則として厚生労働大臣の認可を受けなければ効力を生じない。ただし事務所の所在地の変更は省令で定める事項にあたり、認可は要らず、遅滞なく大臣に届け出る(健保法7条の6第2項・3項、健保則2条の3)。

    C:誤り。資格は適用事業所に使用されるに至った日に取得する(健保法35条)。行政解釈では、この日は事実上の使用関係が発生した日をいう。

    D:正しい。一時帰休に伴う休業手当等と定時決定についての行政解釈のとおり。

    E:誤り。不正利得は、給付の価額の全部又は一部を徴収できる(健保法58条1項)。行政解釈では、「全部又は一部」としているのは不正に受けた分が保険給付の一部である場合があるためで、情状によって一部を徴収する趣旨ではない。

  47. 問47

    健康保険法

    健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A健康保険組合は、規約で定めるところにより、事業主の負担すべき一般保険料額又は介護保険料額の負担の割合を増減することができる。
    2. B健康保険組合である保険者の開設する病院若しくは診療所又は薬局は、保険医療機関としての指定を受けなくとも当該健康保険組合以外の保険者の被保険者の診療を行うことができる。
    3. C保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができないので、被保険者の死亡後においてその被保険者が請求権を有する傷病手当金又は療養の給付に代えて支給される療養費等は公法上の債権であるから相続権者が請求することはできない。
    4. D療養の給付を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関等のうち、自己の選定するものから、電子資格確認その他厚生労働省令で定める方法により、被保険者であることの確認を受けて療養の給付を受ける。被保険者資格の確認方法の1つに、保険医療機関等が、過去に取得した療養又は指定訪問看護を受けようとする者の被保険者の資格に係る情報を用いて、保険者に対して電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、あらかじめ照会を行い、保険者から回答を受けて取得した直近の当該情報を確認する方法がある。
    5. E付加給付は、保険給付の一部であり、かつ法定給付に併せて行われるべきものであるから、法の目的に適いその趣旨に沿ったものでなければならない。法定給付期間を超えるもの、健康保険法の目的を逸脱するもの、又はこの制度で定める医療の内容又は医療の給付の範囲を超えるもの若しくは、保健施設的なものは廃止しなければならないが、家族療養費の付加給付は、特定の医療機関を受診した場合に限り認めることは差し支えない。

    正解:D

    解説

    正解はD。保険料の負担割合、健保組合直営の医療機関、受給権の保護、資格確認の方法、付加給付を問う問題である。

    A:誤り。健保組合は、規約で事業主の負担割合を「増加」できるが(健保法162条)、減らすことはできない。

    B:誤り。健保組合が開設する病院・診療所・薬局(同法63条3項3号)で療養を受けられるのは、その健保組合の被保険者に限られる。他の保険者の被保険者を診療するには、保険医療機関等の指定が要る。

    C:誤り。受給権の譲渡等の禁止(同法61条)は、相続まで禁じるものではない。行政解釈では、死亡した被保険者が請求権を有していた傷病手当金や療養費などは相続財産となり、相続人が請求できる。

    D:正しい。同法63条3項と健保則53条4号のとおり。

    E:誤り。行政解釈では、付加給付は法定給付と同じ趣旨に沿うものでなければならない。家族療養費の付加給付を、特定の医療機関を受診した場合に限って認めることもできない。

  48. 問48

    健康保険法

    健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A保険料及びその他健康保険法の規定による徴収金を滞納する者に対して督促をしたときは、保険者は徴収金額に督促状の到達の翌日から徴収金完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じて、年14.6%(当該督促が保険料に係るものであるときは、当該納期限の翌日から3か月を経過する日までの期間については、年7.3%)の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。
    2. B被保険者が、妊娠6か月の身体をもって業務中に転倒強打して早産したときは、健康保険法に規定される保険事故として、出産育児一時金が支給される。
    3. C厚生労働大臣は、国民保健の向上に資するため、匿名診療等関連情報の利用又は提供に係る規定により匿名診療等関連情報を大学その他の研究機関に提供しようとする場合には、あらかじめ、社会保障審議会の議を経て、承認を得なければならない。
    4. D協会の役員に対する報酬及び退職手当は、その役員の業績が考慮されるものでなければならない。協会は、その役員に対する報酬及び退職手当の支給の基準を定め、これを厚生労働大臣に届け出て、その承認を得た後、それを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
    5. E義手義足は、療養の過程において、その傷病の治療のため必要と認められる場合に療養費として支給されているが、症状固定後に装着した義肢の単なる修理に要する費用も療養費として支給することは認められる。

    正解:B

    解説

    正解はB。延滞金、早産と出産育児一時金、匿名診療等関連情報、協会の役員報酬、療養費の範囲を問う問題である。

    A:誤り。延滞金の計算期間は「納期限の翌日」から、徴収金の完納又は財産差押えの日の前日までである(健保法181条1項)。督促状の到達の翌日からではない。

    B:正しい。行政解釈では、妊娠4か月(85日)以上の早産も出産として扱う。業務中の転倒による早産でも、出産育児一時金が支給される。

    C:誤り。厚生労働大臣が匿名診療等関連情報を提供しようとするときは、あらかじめ社会保障審議会の「意見を聴かなければならない」(同法150条の2第3項)。議を経て承認を得るのではない。

    D:誤り。協会は報酬・退職手当の支給の基準を厚生労働大臣に届け出るとともに、公表する(同法7条の35第2項)。大臣の承認は要らない。

    E:誤り。行政解釈では、症状固定後に装着した義肢の修理費用は、療養費の対象とならない。

  49. 問49

    健康保険法

    健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。 ア 厚生労働大臣により保険医療機関の指定を受けた病院及び病床を有する診療所は、指定の日から起算して6年を経過したときは、その効力を失うが、その指定の効力を失う日前6か月から同日前3か月までの間に、別段の申出がないときは、保険医療機関の申請があったものとみなす。 イ 厚生労働大臣による保険医療機関又は保険薬局の指定は、病院若しくは診療所又は薬局の開設者の申請により行う。当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が、保険医療機関又は保険薬局の指定を取り消され、その取消しの日から5年を経過しないものであるときは、厚生労働大臣は保険医療機関又は保険薬局の指定をしないことができるが、厚生労働大臣は、指定をしないこととするときは、地方社会保険医療協議会の議を経なければならない。 ウ 保険医療機関において健康保険の診療に従事する医師若しくは歯科医師又は保険薬局において健康保険の調剤に従事する薬剤師は、厚生労働大臣の登録を受けた医師若しくは歯科医師又は薬剤師(以下本肢において「保険医等」という。)でなければならない。当該登録の日から起算して6年を経過したときは、その効力を失うが、その登録の効力を失う日前6か月から同日前3か月までの間に、別段の申出がないときは、保険医等の申請があったものとみなす。 エ 指定訪問看護事業者の指定は、厚生労働省令で定めるところにより、訪問看護事業を行う者の申請により、訪問看護事業を行う事業所ごとに行う。一方、指定訪問看護事業者以外の訪問看護事業を行う者について、介護保険法の規定による指定居宅サービス事業者の指定、指定地域密着型サービス事業者の指定又は指定介護予防サービス事業者の指定があったときは、その指定の際、当該訪問看護事業を行う者について、指定訪問看護事業者の指定があったものとみなす。 オ 厚生労働大臣は、健康保険法第92条第2項に規定する指定訪問看護の事業の運営に関する基準(指定訪問看護の取扱いに関する部分に限る。)を定めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。

    1. A一つ
    2. B二つ
    3. C三つ
    4. D四つ
    5. E五つ

    正解:C

    解説

    正解はC(三つ)。保険医療機関の指定の更新、指定の拒否、保険医の登録、訪問看護事業者の指定、中医協への諮問を問う問題である。正しいのはイ・エ・オである。

    ア:誤り。指定は6年で効力を失う(健保法68条1項)。しかし別段の申出がなければ申請があったものとみなす扱い(みなし更新)は、病院と病床を有する診療所を除いた保険医療機関と、省令で定める保険薬局に限られる(同条2項)。病院と病床を有する診療所は対象外である。

    イ:正しい。同法65条1項・3項1号と67条のとおり。

    ウ:誤り。保険医・保険薬剤師の登録(同法64条)には有効期間がない。6年で効力を失い、みなし申請がある規定は、保険医療機関等の「指定」に関するものである(同法68条)。

    エ:正しい。同法89条1項・2項のとおり。

    オ:正しい。同法92条3項のとおり。

    よって正しいものは三つで、C。

  50. 問50

    健康保険法

    健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A被保険者甲(令和5年1月1日資格取得)は、出産予定日が令和6年1月10日であったが、実際の出産日は令和5年12月25日であったことから、出産日の前日まで引き続き1年以上の被保険者期間がなかった。これにより、被保険者の資格を取得してから1年を経過した日から出産の日後56日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金が支給される。
    2. B独立して生計を営む子が、健康保険法の適用を受けない事業所に勤務していた間に、疾病のため失業し被保険者である父に扶養されるに至った場合、扶養の事実は保険事故発生当時の状況によって被扶養者となるかを決定すべきであるから、被扶養者となることはできない。
    3. C被保険者乙の配偶者が令和5年8月8日に双生児を出産したことから、被保険者乙は令和5年10月1日から令和5年12月31日まで育児休業を取得した。この場合、令和6年1月分の当該被保険者に関する保険料は徴収されない。
    4. D被保険者丙は令和6年1月1日に週3日午前9時から午後1時まで勤務のパートタイムスタッフとして社員数30名の会社(正社員は週5日午前9時始業、午後6時終業、途中で1時間の昼休憩あり)に入社した。その後、雇用契約の見直しが行われ、令和6年4月15日付けで週4日午前9時から午後6時まで(途中で1時間の昼休憩あり)の勤務形態に変更となったため、被保険者資格取得届の提出が行われ、令和6年4月15日から健康保険の被保険者となった。
    5. E健康保険法に定める特定適用事業所以外の適用事業所の事業主は、労働組合がない場合であっても、当該事業主の1又は2以上の適用事業所に使用される2分の1以上同意対象者の過半数を代表する者の同意又は2分の1以上同意対象者の2分の1以上の同意を得ることによって、保険者等に当該事業主の1又は2以上の適用事業所に使用される特定4分の3未満短時間労働者について一般の被保険者とは異なる短時間被保険者の資格取得の申出をすることができる。

    正解:D

    解説

    正解はD。出産手当金、被扶養者の認定、育児休業中の保険料、短時間労働者の適用を事例で問う問題である。

    A:誤り。在職中の被保険者の出産手当金には被保険者期間の要件がない。予定日より早く出産したときは、出産の日以前42日から出産の日後56日までの間で労務に服さなかった期間に支給される(健保法102条1項)。1年以上の被保険者期間は資格喪失後の継続給付の要件である。

    B:誤り。行政解釈では、被扶養者に該当するかどうかは扶養されるに至った時点の事実で判断する。失業して父に扶養されるようになった子は、その時から被扶養者となることができる。

    C:誤り。育児休業等の期間中の保険料は、開始した日の属する月から、終了日の翌日が属する月の前月まで徴収されない(同法159条1項1号)。終了日12月31日の翌日は1月1日なので、免除は10月〜12月分である。1月分は徴収される。

    D:正しい。変更後は週32時間(8時間×4日)で、通常の労働者の週40時間の4分の3(30時間)以上である。月の所定労働日数も4分の3以上になる。短時間労働者の適用除外(同法3条1項9号)にあたらず、変更日から被保険者となる(同法35条)。

    E:誤り。労使合意による申出(平成24年改正法附則46条5項)をすると、特定4分の3未満短時間労働者は健康保険の被保険者となる。一般の被保険者と別の「短時間被保険者」の資格を取得するのではない。

  51. 問51

    厚生年金保険法

    厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A厚生労働大臣による被保険者の資格に関する処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。
    2. B厚生労働大臣による保険料の賦課の処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をすることができる。
    3. C厚生労働大臣による脱退一時金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。
    4. D第1号厚生年金被保険者が厚生年金保険原簿の訂正請求をしたが、厚生労働大臣が訂正をしない旨を決定した場合、当該被保険者が当該処分に不服がある場合は、社会保険審査官に対して審査請求をすることができる。
    5. E被保険者の資格又は標準報酬に関する処分が確定した場合でも、その処分についての不服を当該処分に基づく保険給付に関する処分についての不服の理由とすることができる。

    正解:C

    解説

    正解はC。厚生年金保険の処分に対する不服申立ての経路を問う問題である。資格・標準報酬・保険給付は二審制(審査官→審査会)、保険料と脱退一時金は社会保険審査会への一審制である点が決め手になる。

    A:誤り。資格に関する処分への不服は、まず社会保険審査官に審査請求し、その決定に不服があれば社会保険審査会に再審査請求する(厚年法90条1項)。

    B:誤り。保険料の賦課の処分への不服は、社会保険審査会に審査請求する(同法91条1項)。

    C:正しい。同法附則29条6項のとおり。

    D:誤り。原簿の訂正請求に対して訂正しない旨の決定(同法28条の4)は、90条1項ただし書で除外されている。社会保険審査官への審査請求の対象にはならず、行政不服審査法による審査請求となる。

    E:誤り。資格又は標準報酬に関する処分が確定したときは、その不服を保険給付に関する処分の不服の理由とすることができない(同法90条5項)。

  52. 問52

    厚生年金保険法

    厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A甲は第1号厚生年金被保険者期間を140か月有していたが、後に第2号厚生年金被保険者期間を150か月有するに至り、それぞれの被保険者期間に基づく老齢厚生年金の受給権が同じ日に発生した(これら以外の被保険者期間は有していない。)。甲について加給年金額の加算の対象となる配偶者がいる場合、第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金に加給年金額が加算される。
    2. B厚生年金保険の保険料を滞納した者に対して督促が行われたときは、原則として延滞金が徴収されるが、納付義務者の住所及び居所がともに明らかでないため公示送達の方法によって督促したときは、延滞金は徴収されない。
    3. C厚生年金保険の保険料を滞納した者に対して督促が行われた場合において、督促状に指定した期限までに保険料を完納したとき、又は厚生年金保険法第87条第1項から第3項までの規定によって計算した金額が1,000円未満であるときは、延滞金は徴収しない。
    4. D保険料の納付の督促を受けた納付義務者がその指定の期限までに保険料を納付しないときは、厚生労働大臣は、自ら国税滞納処分の例によってこれを処分することができるほか、納付義務者の居住地等の市町村(特別区を含む。以下本肢において同じ。)に対して市町村税の例による処分を請求することもできる。後者の場合、厚生労働大臣は徴収金の100分の5に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。
    5. E滞納処分等を行う徴収職員は、滞納処分等に係る法令に関する知識並びに実務に必要な知識及び能力を有する日本年金機構の職員のうちから厚生労働大臣が任命する。

    正解:B

    解説

    正解はB。2以上の種別期間がある者の加給年金額と、延滞金・滞納処分の規定を問う問題である。

    A:誤り。加給年金額は、最も早く受給権を取得した老齢厚生年金に加算する。受給権の取得日が同じときは、最も長い期間に基づく老齢厚生年金に加算する(厚年令3条の13第2項)。甲は第2号の150か月が長いので、第2号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金に加算される。

    B:正しい。厚年法87条1項3号のとおり。

    C:誤り。延滞金を徴収しないのは、督促状に指定した期限までに完納したとき、又は計算額が「100円未満」のときである(同法87条4項)。1,000円未満は、保険料額についての要件である(同条1項1号)。

    D:誤り。市町村に処分を請求した場合に交付するのは、徴収金の「100分の4」である(同法86条6項)。

    E:誤り。徴収職員は、機構の職員のうちから、厚生労働大臣の認可を受けて「機構の理事長」が任命する(同法100条の6第2項)。

  53. 問53

    厚生年金保険法

    厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A同一人に対して国民年金法による年金たる給付の支給を停止して年金たる保険給付(厚生労働大臣が支給するものに限る。以下本肢において同じ。)を支給すべき場合において、年金たる保険給付を支給すべき事由が生じた月の翌月以後の分として同法による年金たる給付の支払いが行われたときは、その支払われた同法による年金たる給付は、年金たる保険給付の内払いとみなすことができる。
    2. B適用事業所に使用される70歳以上の者であって、老齢厚生年金、国民年金法による老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有しないもの(厚生年金保険法第12条各号に該当する者を除く。)は、厚生年金保険法第9条の規定にかかわらず、実施機関に申し出て被保険者となることができる。
    3. C適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者(厚生労働大臣が住民基本台帳法第30条の9の規定により地方公共団体情報システム機構が保存する本人確認情報の提供を受けることができる者を除く。)は、その住所を変更したときは、所定の事項を記載した届書を10日以内に日本年金機構に提出しなければならない。
    4. D甲は、令和6年5月1日に厚生年金保険の被保険者の資格を取得したが、同月15日にその資格を喪失し、同日、国民年金の第1号被保険者の資格を取得した。この場合、同年5月分については、1か月として厚生年金保険における被保険者期間に算入する。
    5. E厚生年金保険法第28条によれば、実施機関は、被保険者に関する原簿を備え、これに所定の事項を記録しなければならないとされるが、この規定は第2号厚生年金被保険者についても適用される。

    正解:D

    解説

    正解はD。内払調整、高齢任意加入、届出、被保険者期間の計算、原簿の記録を問う問題である。

    A:正しい。厚年法39条3項のとおり。

    B:正しい。同法附則4条の3第1項のとおり。

    C:正しい。厚年則5条の5のとおり。

    D:誤り。資格を取得した月に喪失した場合は原則として1か月として算入する。しかし、その月に更に国民年金の被保険者(第2号被保険者を除く)の資格を取得したときは算入しない(同法19条2項ただし書)。甲は同じ月に第1号被保険者の資格を取得しているので、5月は厚生年金保険の被保険者期間に算入されない。

    E:正しい。第2号〜第4号厚生年金被保険者には第2章第2節の規定が原則として適用されないが、28条は除外されていない(同法31条の3)。

  54. 問54

    厚生年金保険法

    次の記述のうち、老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができないものはいくつあるか。 なお、いずれも、老齢厚生年金の支給繰下げの申出に係るその他の条件を満たしているものとする。 ア 老齢厚生年金の受給権を取得したときに障害厚生年金の受給権者であった者。 イ 老齢厚生年金の受給権を取得したときに遺族厚生年金の受給権者であった者。 ウ 老齢厚生年金の受給権を取得したときに老齢基礎年金の受給権者であった者。 エ 老齢厚生年金の受給権を取得したときに障害基礎年金の受給権者であった者。 オ 老齢厚生年金の受給権を取得したときに遺族基礎年金の受給権者であった者。

    1. A一つ
    2. B二つ
    3. C三つ
    4. D四つ
    5. E五つ

    正解:C

    解説

    正解はC(三つ)。老齢厚生年金の繰下げができない場合を問う問題である。受給権を取得したときに「他の年金たる給付」の受給権者であると、繰下げの申出はできない(厚年法44条の3第1項ただし書)。他の年金たる給付とは、他の年金たる保険給付と、国民年金法の年金たる給付のうち老齢基礎年金・付加年金・障害基礎年金を除いたものである。

    ア:申出できない。障害厚生年金は他の年金たる保険給付にあたる。

    イ:申出できない。遺族厚生年金も他の年金たる保険給付にあたる。

    ウ:申出できる。老齢基礎年金は除かれている。

    エ:申出できる。障害基礎年金は除かれている。

    オ:申出できない。遺族基礎年金は除かれていない。

    よって申出をすることができないものはア・イ・オの三つで、C。

  55. 問55

    厚生年金保険法

    遺族厚生年金に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。 なお、本問では、遺族厚生年金に係る保険料納付要件は満たされているものとする。 ア 死亡した者が短期要件に該当する場合は、遺族厚生年金の年金額を算定する際に、死亡した者の生年月日に応じた給付乗率の引上げが行われる。 イ 厚生年金保険の被保険者である甲は令和2年1月1日に死亡した。甲の死亡時に甲によって生計を維持されていた遺族は、妻である乙(当時40歳)と子である丙(当時10歳)であり、乙が甲の死亡に基づく遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給していた。しかし、令和6年8月1日に、乙も死亡した。乙は死亡時に厚生年金保険の被保険者であった。また、乙によって生計を維持されていた遺族は丙だけである。この場合、丙が受給権を有する遺族厚生年金は、甲の死亡に基づく遺族厚生年金と乙の死亡に基づく遺族厚生年金である。丙は、そのどちらかを選択して受給することができる。 ウ 厚生年金保険の被保険者が死亡したときに、被保険者によって生計を維持されていた遺族が50歳の父と54歳の母だけであった場合、父には遺族厚生年金の受給権は発生せず、母にのみ遺族厚生年金の受給権が発生する。 エ 夫(70歳)と妻(70歳)は、厚生年金保険の被保険者期間を有しておらず、老齢基礎年金を受給している。また、夫妻と同居していた独身の子は厚生年金保険の被保険者であったが、3年前に死亡しており、夫妻は、それに基づく遺族厚生年金も受給している。この状況で夫が死亡し、遺族厚生年金の受給権者の数に増減が生じたときは、増減が生じた月の翌月から、妻の遺族厚生年金の年金額が改定される。 オ 繰下げにより増額された老齢厚生年金を受給している夫(厚生年金保険の被保険者ではない。)が死亡した場合、夫によって生計を維持されていた妻には、夫の受給していた老齢厚生年金の額(繰下げによる加算額を含む。)の4分の3が遺族厚生年金として支給される。なお、妻は老齢厚生年金の受給権を有しておらず、老齢基礎年金のみを受給しているものとする。

    1. A(アとイ)
    2. B(アとウ)
    3. C(イとエ)
    4. D(ウとオ)
    5. E(エとオ)

    正解:C

    解説

    正解はC(イとエ)。遺族厚生年金の額の計算、遺族の要件、額の改定、併給調整を問う問題である。

    ア:誤り。短期要件では、被保険者期間が300月に満たないときは300月として計算する(厚年法60条1項1号ただし書)。生年月日に応じた給付乗率の読替えは長期要件の場合の扱いで、短期要件では行われない。

    イ:正しい。乙が受給権を有していた間、丙の甲の死亡に基づく遺族厚生年金は支給停止されていた(同法66条1項)。乙が死亡すると停止が解除され、丙は乙の死亡に基づく遺族厚生年金の受給権も取得する。2つの遺族厚生年金は併給されず、いずれかを選択して受給する(同法38条1項)。

    ウ:誤り。父母が遺族となるには55歳以上であることが要件である(同法59条1項1号)。父50歳、母54歳ともに要件を満たさないので、いずれにも受給権は生じない。

    エ:正しい。配偶者以外の者に支給する遺族厚生年金は、受給権者の数に増減を生じた月の翌月から額を改定する(同法61条1項)。夫婦は子の父母として受給しており、夫の死亡で受給権者が1人減る。

    オ:誤り。遺族厚生年金の額は、死亡した者の被保険者期間を基礎に43条1項の例で計算した額の4分の3である(同法60条1項1号)。繰下げによる加算額(同法44条の3第4項)は含まれない。

  56. 問56

    厚生年金保険法

    厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A特定適用事業所で使用されている甲(所定内賃金が月額88,000円以上、かつ、学生ではない。)は、雇用契約書で定められた所定労働時間が週20時間未満である。しかし、業務の都合によって、2か月連続で実際の労働時間が週20時間以上となっている。引き続き同様の状態が続くと見込まれる場合は、実際の労働時間が週20時間以上となった月の3か月目の初日に、甲は厚生年金保険の被保険者資格を取得する。
    2. B第1号厚生年金被保険者が、2か所の適用事業所(管轄の年金事務所が異なる適用事業所)に同時に使用されることになった場合は、その者に係る日本年金機構の業務を分掌する年金事務所を選択しなければならない。この選択に関する届出は、被保険者が選択した適用事業所の事業主が、所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出することとされている。
    3. C老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額を計算する際に、総報酬制導入以後の被保険者期間分については、平均標準報酬額×給付乗率×被保険者期間の月数で計算する。この給付乗率は原則として1000分の5.481であるが、昭和36年4月1日以前に生まれた者については、異なる数値が用いられる。
    4. D届出による婚姻関係にある者が重ねて他の者と内縁関係にある場合は、婚姻の成立が届出により法律上の効力を生ずることとされていることから、届出による婚姻関係が優先される。そのため、届出による婚姻関係がその実態を全く失ったものとなっているときでも、内縁関係にある者が事実婚関係にある者として認定されることはない。
    5. E厚生年金保険法第47条の2に規定される事後重症による障害厚生年金は、その支給が決定した場合、請求者が障害等級に該当する障害の状態に至ったと推定される日の属する月の翌月まで遡って支給される。

    正解:A

    解説

    正解はA。短時間労働者の資格取得、二以上事業所勤務の届出、給付乗率、事実婚の認定、事後重症を問う問題である。

    A:正しい。行政解釈では、契約上の所定労働時間が週20時間未満でも、実際の労働時間が2か月連続で週20時間以上となり、引き続き同様の状態が続くと見込まれるときは、3か月目の初日に資格を取得する。

    B:誤り。2以上の事業所に使用される場合の年金事務所の選択の届出は、被保険者本人が日本年金機構に提出する(厚年則1条)。事業主が提出するのではない。

    C:誤り。総報酬制導入後の期間の給付乗率は原則1000分の5.481で、異なる率が用いられるのは昭和21年4月1日以前に生まれた者である。昭和36年ではない。

    D:誤り。行政解釈では、届出による婚姻関係が実体を全く失っているときは、内縁関係にある者を事実婚関係にある者として認定する。

    E:誤り。事後重症による障害厚生年金は請求により支給され(厚年法47条の2第3項)、請求があった月の翌月から支給が始まる(同法36条1項)。障害状態に至ったと推定される日までさかのぼらない。

    法改正:現行の厚年法12条5号には月額8.8万円の賃金要件がない。除外要件は週20時間未満と学生の2つだけである。

  57. 問57

    厚生年金保険法

    厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A令和2年9月から厚生年金保険の標準報酬月額の上限について、政令によって読み替えて法の規定を適用することとされており、変更前の最高等級である第31級の上に第32級が追加された。第32級の標準報酬月額は65万円である。
    2. B厚生年金保険法第22条によれば、実施機関は、被保険者の資格を取得した者について、月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の30倍に相当する額を報酬月額として、その者の標準報酬月額を決定する。
    3. C事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない。高齢任意加入被保険者の場合は、被保険者が保険料の全額を負担し、自己の負担する保険料を納付する義務を負うことがあるが、その場合も、保険料の納期限は翌月末日である。
    4. D厚生労働大臣は、保険料等の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるときは、滞納者に対する滞納処分等の権限の全部又は一部を財務大臣に委任することができる。この権限委任をすることができる要件のひとつは、納付義務者が1年以上の保険料を滞納していることである。
    5. E産前産後休業をしている被保険者に係る保険料については、事業主負担分及び被保険者負担分の両方が免除される。

    正解:D

    解説

    正解はD。標準報酬月額の等級と決定、保険料の納付、財務大臣への権限委任、産前産後休業中の免除を問う問題である。

    A:正しい。令和2年9月から、厚年法20条2項に基づく政令による等級区分の改定で、第31級の上に第32級(65万円)が加えられた。

    B:正しい。同法22条1項のとおり。

    C:正しい。同法82条2項、83条1項、附則4条の3第7項のとおり。

    D:誤り。財務大臣への委任の要件の1つは、「24か月分」以上の保険料を滞納していることである(同法100条の5第1項、厚年令4条の2の16第1号、厚年則99条)。1年以上ではない。

    E:正しい。同法81条の2の2第1項のとおり。事業主負担分と被保険者負担分の両方が徴収されない。

  58. 問58

    厚生年金保険法

    厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A脱退一時金の支給額は、被保険者であった期間の平均標準報酬額に支給率を乗じた額である。この支給率は、最終月(最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月)の属する年の前年10月(最終月が1月から8月までの場合は、前々年10月)の保険料率に2分の1を乗じて得た率に、被保険者であった期間に応じて政令で定める数を乗じて得た率である。なお、当該政令で定める数の最大値は60である。
    2. B遺族厚生年金に加算される中高齢寡婦加算の金額は、国民年金法第38条に規定する遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときはこれを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときはこれを100円に切り上げるものとする。)である。また、中高齢寡婦加算は、65歳以上の者に支給されることはない。
    3. C加給年金額が加算されている老齢厚生年金の受給権者であっても、在職老齢年金の仕組みにより、自身の老齢厚生年金の一部の支給が停止される場合、加給年金額は支給停止となる。
    4. D未支給の保険給付の支給を請求できる遺族として、死亡した受給権者とその死亡の当時生計を同じくしていた妹と祖父がいる場合、祖父が先順位者になる。
    5. E離婚の届出がなされ、戸籍簿上も離婚の処理がなされているものの、離婚後も事実上婚姻関係と同様の事情にある者については、その者の状態が事実婚関係の認定の要件に該当すれば、これを事実婚関係にある者として認定する。

    正解:C

    解説

    正解はC。脱退一時金、中高齢寡婦加算、在職老齢年金と加給年金額、未支給の保険給付、事実婚の認定を問う問題である。

    A:正しい。厚年法附則29条3項・4項のとおり。政令で定める数は、被保険者期間60月以上で60が最大である(厚年令12条の2)。

    B:正しい。同法62条1項のとおり。中高齢寡婦加算は65歳未満の妻に限られる。

    C:誤り。加給年金額は、在職老齢年金の支給停止額を計算する基本月額から除かれている(同法46条1項)。老齢厚生年金の一部が停止されるだけなら、加給年金額は支給される。加給年金額が停止されるのは、老齢厚生年金の全額が支給停止される場合である。

    D:正しい。未支給の保険給付の請求順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他の3親等内の親族の順である(同法37条1項・4項)。祖父が妹より先順位となる。

    E:正しい。行政解釈のとおり。

  59. 問59

    厚生年金保険法

    厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の場合、厚生年金保険法附則第8条の規定により支給される特別支給の老齢厚生年金の支給要件のうち「1年以上の被保険者期間を有すること」については、その者の2以上の種別の被保険者であった期間に係る被保険者期間を合算することはできない。
    2. B2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る老齢厚生年金の額は、その者の2以上の種別の被保険者であった期間を合算して一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして平均標準報酬額を算出し計算することとされている。
    3. C第1号厚生年金被保険者として在職中である者が、報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得したとき、第1号厚生年金被保険者としての期間が44年以上である場合は、老齢厚生年金の額の計算に係る特例の適用となり、その者の特別支給の老齢厚生年金に定額部分が加算される。
    4. D65歳以上の被保険者で老齢厚生年金の受給権者が離職し、雇用保険法に基づく高年齢求職者給付金を受給した場合は、当該高年齢求職者給付金に一定の率を乗じて得た額に相当する部分の老齢厚生年金の支給が停止される。
    5. E65歳以後の在職老齢年金の仕組みにおいて、在職中であり、被保険者である老齢厚生年金の受給権者が、66歳以降に繰下げの申出を行った場合、当該老齢厚生年金の繰下げ加算額は、在職老齢年金の仕組みによる支給停止の対象とはならない。

    正解:E

    解説

    正解はE。2以上の種別期間がある者の老齢厚生年金、長期加入者の特例、雇用保険との調整、繰下げ加算額と在職老齢年金を問う問題である。

    A:誤り。特別支給の老齢厚生年金の「1年以上の被保険者期間」の要件は、2以上の種別の期間を合算して判定する(厚年法附則20条1項ただし書)。

    B:誤り。2以上の種別の期間がある者の老齢厚生年金の額は、各号の厚生年金被保険者期間ごとに計算する(同法78条の26第2項)。全期間を合算して1つの平均標準報酬額を出すのではない。

    C:誤り。長期加入者の特例は、受給権を取得した当時に被保険者でないことが要件である(同法附則9条の3第1項)。在職中は適用されない。44年の判定も種別ごとの期間で行う(同法附則20条2項)。

    D:誤り。高年齢求職者給付金を受けても、老齢厚生年金は支給停止されない。雇用保険との調整は、65歳未満の老齢厚生年金と基本手当・高年齢雇用継続給付との間の仕組みである(同法附則7条の4・7条の5)。

    E:正しい。在職老齢年金の基本月額から繰下げ加算額は除かれ、全額停止となる場合も加算額は停止されない(同法46条1項)。

  60. 問60

    厚生年金保険法

    厚生年金保険法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。 ア 厚生年金保険の被保険者であった18歳のときに初診日のある傷病について、その障害認定日において障害等級3級の障害の状態にある場合にその者が20歳未満のときは、障害厚生年金の受給権は20歳に達したときに発生する。 イ 障害手当金は、疾病にかかり又は負傷し、その傷病に係る初診日において被保険者であった者が、保険料納付要件を満たし、当該初診日から起算して5年を経過する日までの間にまだその傷病が治っておらず治療中の場合でも、5年を経過した日に政令で定める程度の障害の状態にあるときは支給される。 ウ 年金たる保険給付(厚生年金保険法の他の規定又は他の法令の規定によりその全額につき支給を停止されている年金たる保険給付を除く。)は、その受給権者の申出により、その全額の支給を停止することとされている。ただし、厚生年金保険法の他の規定又は他の法令の規定によりその額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の額の支給を停止する。 エ 現在55歳の自営業者の甲は、20歳から5年間会社に勤めていたので、厚生年金保険の被保険者期間が5年あり、この他の期間はすべて国民年金の第1号被保険者期間で保険料はすべて納付済みとなっている。もし、甲が現時点で死亡した場合、一定要件を満たす遺族に支給される遺族厚生年金の額は、厚生年金保険の被保険者期間を300月として計算した額となる。 オ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る脱退一時金については、その者の2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に係る被保険者期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有する者に係るものとみなして支給要件を判定する。

    1. A(アとイ)
    2. B(アとウ)
    3. C(イとエ)
    4. D(ウとオ)
    5. E(エとオ)

    正解:D

    解説

    正解はD(ウとオ)。障害厚生年金・障害手当金の要件、申出による支給停止、遺族厚生年金の額、2以上の種別期間がある者の脱退一時金を問う問題である。

    ア:誤り。障害厚生年金には20歳以上という年齢要件がない。障害認定日に3級以上の状態にあれば、20歳未満でもその日に受給権が生じる(厚年法47条1項)。

    イ:誤り。障害手当金は、初診日から5年を経過する日までの間にその傷病が治った日に、政令で定める程度の障害の状態にあることが要件である(同法55条1項)。5年を経過した時点で治療中であれば支給されない。

    ウ:正しい。同法38条の2第1項のとおり。

    エ:誤り。甲は現在被保険者でなく、5年以内に初診日のある傷病による死亡でもないので、短期要件(同法58条1項1号〜3号)にはあたらない。保険料納付済期間は25年以上あるので長期要件(同項4号)で支給され、300月のみなし(同法60条1項1号ただし書)は適用されない。額は実際の被保険者期間60月で計算する。

    オ:正しい。同法附則30条のとおり。

    よって正しいものはウとオで、D。

  61. 問61

    国民年金法

    国民年金法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A被保険者は、出産の予定日(厚生労働省令で定める場合にあっては、出産の日)の属する月の前月(多胎妊娠の場合においては、3か月前)から出産予定月の翌々月までの期間に係る保険料は、納付することを要しない。
    2. B国民年金法第90条の3第1項各号のいずれかに該当する、学生等である被保険者又は学生等であった被保険者から申請があったときは、厚生労働大臣は、その指定する期間に係る保険料につき、既に納付されたものを除き、これを納付することを要しないものとし、申請のあった日以後、当該保険料に係る期間を保険料全額免除期間(国民年金法第94条第1項の規定により追納が行われた場合にあっては、当該追納に係る期間を除く。)に算入することができる。
    3. C国民年金法第93条第1項の規定による保険料の前納は、厚生労働大臣が定める期間につき、月を単位として行うものとし、厚生労働大臣が定める期間のすべての保険料(既に前納されたものを除く。)をまとめて前納する場合においては、6か月又は年を単位として行うことを要する。
    4. D基礎年金拠出金の額は、保険料・拠出金算定対象額に当該年度における被保険者の総数に対する当該年度における当該政府及び実施機関に係る被保険者の総数の比率に相当するものとして毎年度政令で定めるところにより算定した率を乗じて得た額とする。
    5. E国民年金事業の事務の一部は、法律によって組織された共済組合、国家公務員共済組合連合会、全国市町村職員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会又は日本私立学校振興・共済事業団に行わせることができる。

    正解:C

    解説

    正解はC。産前産後期間の免除、学生納付特例、前納の単位、基礎年金拠出金、事務の委託を問う問題である。

    A:正しい。国年法88条の2のとおり。

    B:正しい。同法90条の3第1項のとおり。

    C:誤り。前納は、厚生労働大臣が定める期間につき6か月又は年を単位として行う。その期間のすべての保険料をまとめて前納する場合は、6か月又は年を単位とすることを要しない(国年令7条)。本肢は「月を単位」と「6か月又は年を単位」が逆になっている。

    D:正しい。同法94条の3第1項のとおり。

    E:正しい。同法3条2項のとおり。

  62. 問62

    国民年金法

    国民年金法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。 ア 障害基礎年金を受けることができる者とは、初診日に、被保険者であること又は被保険者であった者であって日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であることのいずれかに該当する者であり、障害認定日に政令で定める障害の状態にある者である。なお、保険料納付要件は満たしているものとする。 イ 国民年金法第30条の4の規定による障害基礎年金は、受給権者の前年の所得が、その者の所得税法に規定する同一生計配偶者及び扶養親族の有無及び数に応じて、政令で定める額を超えるときは、その年の10月から翌年の9月まで、政令で定めるところにより、その全部又は3分の1に相当する部分の支給を停止する。 ウ 障害基礎年金を受けることができる者とは、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、国民年金の保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が3分の2以上である者、あるいは初診日が令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの1年間(当該初診日において被保険者でなかった者については、当該初診日の属する月の前々月以前における直近の被保険者期間に係る月までの1年間)に保険料の未納期間がない者である。なお、障害認定日に政令で定める障害の状態にあるものとする。 エ 国民年金基金の加入の申出をした者は、その申出をした日に、加入員の資格を取得するものとする。 オ 国民年金基金の加入員が、第1号被保険者の資格を喪失したときは、その被保険者の資格を喪失した日の翌日に、加入員の資格を喪失する。

    1. A(アとイとエ)
    2. B(アとイとオ)
    3. C(アとウとエ)
    4. D(イとウとオ)
    5. E(ウとエとオ)

    正解:C

    解説

    正解はC(アとウとエ)。障害基礎年金の支給要件と所得制限、国民年金基金の加入員の資格を問う問題である。

    ア:正しい。国年法30条1項のとおり。

    イ:誤り。20歳前傷病による障害基礎年金(30条の4)の所得による支給停止は、全部又は「2分の1」である(同法36条の3第1項)。3分の1ではない。停止期間が10月から翌年9月までである点は正しい。

    ウ:正しい。3分の2要件(同法30条1項ただし書)と、直近1年間に未納がなければよいとする特例(昭和60年改正法附則20条1項)のとおり。

    エ:正しい。同法127条2項のとおり。

    オ:誤り。第1号被保険者の資格を喪失したときは、その「日」に加入員の資格を喪失する(同法127条3項1号)。翌日ではない。

    よって正しいものはア・ウ・エで、C。

    法改正:直近1年要件の特例は、現行の昭和60年改正法附則20条で「初診日が令和18年4月1日前」に延長されている。

  63. 問63

    国民年金法

    国民年金法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A国民年金法第101条第1項に規定する処分の取消の訴えは、当該処分についての再審査請求に対する社会保険審査会の裁定を経た後でなければ、提起することができない。
    2. B労働基準法の規定による障害補償を受けることができるときにおける障害基礎年金並びに同法の規定による遺族補償が行われるべきものであるときにおける遺族基礎年金又は寡婦年金については、6年間、その支給を停止する。
    3. C国民年金基金連合会は、厚生労働大臣の認可を受けることによって、国民年金基金が支給する年金及び一時金につき一定額が確保されるよう、国民年金基金の拠出金等を原資として、国民年金基金の積立金の額を付加する事業を行うことができる。
    4. D積立金の運用は、厚生労働大臣が、国民年金法第75条の目的に沿った運用に基づく納付金の納付を目的として、年金積立金管理運用独立行政法人に対し、積立金を寄託することにより行うものとする。
    5. E国民年金事務組合は、その構成員である被保険者の委託を受けて、当該被保険者に係る資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項、氏名及び住所の変更に関する事項の届出をすることができる。

    正解:A

    解説

    正解はA。審査請求と訴訟の関係、労基法の補償との調整、基金連合会の事業、積立金の運用、国民年金事務組合を問う問題である。

    A:誤り。資格又は給付に関する処分の取消しの訴えは、審査請求に対する社会保険審査官の「決定」を経た後に提起できる(国年法101条の2)。社会保険審査会の裁決まで経る必要はない。

    B:正しい。障害基礎年金は労基法の障害補償を受けられるとき6年間、遺族基礎年金は労基法の遺族補償が行われるべきとき死亡日から6年間、支給停止される(同法36条1項・41条1項)。寡婦年金も同様である(同法52条)。

    C:正しい。同法137条の15第2項1号のとおり。

    D:正しい。同法76条1項のとおり。

    E:正しい。国民年金事務組合は、構成員である被保険者の委託を受けて、12条1項の届出をすることができる(同法109条1項)。

  64. 問64

    国民年金法

    国民年金の適用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A技能実習の在留資格で日本に在留する外国人は、実習実施者が厚生年金保険の適用事業所の場合、講習期間及び実習期間は厚生年金保険の対象となるため、国民年金には加入する必要がない。
    2. B日本から外国に留学する20歳以上65歳未満の日本国籍を有する留学生は、留学前に居住していた市町村(特別区を含む。)の窓口に、海外への転出届を提出して住民票を消除している場合であっても、国民年金の被保険者になることができる。
    3. C留学の在留資格で中長期在留者として日本に在留する20歳以上60歳未満の留学生は、住民基本台帳法第30条の46の規定による届出をした年月日に第1号被保険者の資格を取得する。
    4. D第3号被保険者が配偶者を伴わずに単身で日本から外国に留学すると、日本国内居住要件を満たさなくなるため、第3号被保険者の資格を喪失する。
    5. E第2号被保険者は、原則として70歳に到達して厚生年金保険の被保険者の資格を喪失した時に第2号被保険者の資格を喪失するため、当該第2号被保険者の配偶者である第3号被保険者は、それに連動してその資格を喪失することになる。

    正解:B

    解説

    正解はB。外国人・留学生・海外居住者などの国民年金の適用を問う問題である。

    A:誤り。厚生年金保険の被保険者は国民年金の第2号被保険者になる(国年法7条1項2号)ので、国民年金に加入しないということにはならない。また行政解釈では、技能実習の講習期間は実習実施者との雇用関係がないため、厚生年金保険の対象にならない。

    B:正しい。日本国籍があり、日本国内に住所がない20歳以上65歳未満の者は、任意加入被保険者になることができる(同法附則5条1項3号)。

    C:誤り。20歳以上60歳未満の者は、日本国内に住所を有するに至った日に第1号被保険者の資格を取得する(同法8条2号)。転入の届出をした日ではない。

    D:誤り。第3号被保険者には国内居住要件があるが、外国で留学をする学生は例外とされている(同法7条1項3号、国年則1条の3第1号)。単身で留学しても資格は失わない。

    E:誤り。65歳以上で老齢給付等の受給権がある厚生年金保険の被保険者は、第2号被保険者とならない(同法附則3条)。第2号被保険者の資格は原則65歳で失われ、その配偶者の第3号被保険者の資格もその時に失われる。

  65. 問65

    国民年金法

    国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A第1号被保険者が国民年金法第88条の2の規定による産前産後期間の保険料免除制度を利用するには、同期間終了日以降に年金事務所又は市町村(特別区を含む。以下本問において同じ。)の窓口に申出書を提出しなければならない。
    2. B学生納付特例制度を利用することができる学生には高等学校に在籍する生徒も含まれるが、定時制及び通信制課程の生徒は、学生納付特例制度を利用することができない。
    3. C矯正施設の収容者は、市町村に住民登録がなく、所得に係る税の申告が行えないため、保険料免除制度を利用できない。
    4. D第1号被保険者が国民年金法第88条の2の規定による産前産後期間の保険料免除制度を利用すると、将来、受給する年金額を計算する時に当該制度を利用した期間も保険料を納付した期間とするため、産前産後期間については保険料納付済期間として老齢基礎年金が支給される。
    5. E配偶者から暴力を受けて避難している被保険者が、配偶者の前年所得を免除の審査対象としない特例免除を利用するには、配偶者と住民票上の住居が異ならなければならないことに加えて、女性相談支援センター等が発行する配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書によって配偶者から暴力があった事実を証明しなければならない。

    正解:D

    解説

    正解はD。産前産後期間の免除、学生納付特例、矯正施設の収容者、配偶者からの暴力による特例免除を問う問題である。

    A:誤り。産前産後期間の免除の届出は出産前にもできる。出産予定日を明らかにする書類を添えて市町村長に提出する(国年則73条の7)。期間の終了日以降でなければならないのではない。

    B:誤り。学生納付特例の対象となる学生等には高等学校に在学する生徒が含まれ(国年法90条の3第1項・90条1項、国年令6条の6第2号)、定時制課程・通信制課程の生徒も除かれていない。

    C:誤り。矯正施設の収容者であることを理由に免除が受けられなくなるわけではない。所得などの要件を満たせば、申請による免除を利用できる。

    D:正しい。88条の2により納付を要しないとされた期間は、保険料納付済期間に含まれる(同法5条1項)。

    E:誤り。配偶者からの暴力による特例免除は、暴力を受けて配偶者と住居が異なることを、配偶者暴力相談支援センター等の証明書などで示して利用する。住民票上の住所が異なることまでは求められていない。

    法改正:現行法では、第1号被保険者の育児期間の保険料免除(国年法88条の3)が設けられ、この期間も保険料納付済期間に含まれる(同法5条1項)。

  66. 問66

    国民年金法

    国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A障害基礎年金を受給している者に、更に障害基礎年金を支給すべき事由が生じた時は、前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金の受給権を取得するが、後発の障害に基づく障害基礎年金が、労働基準法の規定による障害補償を受けることができるために支給停止される場合は、当該期間は先発の障害に基づく障害基礎年金も併合認定された障害基礎年金も支給停止される。
    2. B障害基礎年金の受給権者は、障害の程度が増進した場合に障害基礎年金の額の改定を請求することができるが、それは、当該障害基礎年金の受給権を取得した日から起算して1年6か月を経過した日より後でなければ行うことができない。
    3. C障害基礎年金の受給権者であった者が死亡した時には、その者の保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が25年未満である場合でも、その者の18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子のいない配偶者に対して遺族基礎年金が支給される。
    4. D老齢基礎年金の受給権者であった者が死亡した時には、その者の保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が10年以上ある場合(保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算して10年以上ある場合を含む。)は、死亡した者の配偶者又は子に遺族基礎年金が支給される。
    5. E国民年金の被保険者である者が死亡した時には、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が、当該被保険者期間の3分の2以上ある場合は、死亡した者の配偶者又は子に遺族基礎年金が支給される。

    正解:E

    解説

    正解はE。障害基礎年金の併合認定と額の改定、遺族基礎年金の支給要件を問う問題である。

    A:誤り。後発の障害による障害基礎年金が労基法の障害補償で停止されるときは、その停止期間、従前の(先発の)障害基礎年金を支給する(国年法32条2項)。両方が停止されるのではない。

    B:誤り。額の改定の請求は、受給権を取得した日又は厚生労働大臣の診査を受けた日から「1年」を経過した日後に行える(同法34条3項)。障害の程度の増進が明らかな場合として省令で定める場合は、1年を待たずに請求できる。

    C:誤り。遺族基礎年金を受けられる配偶者は、子と生計を同じくしていることが要件である(同法37条の2第1項1号)。子のいない配偶者には支給されない。障害基礎年金の受給権者であったことも、それだけでは37条の支給要件にあたらない。

    D:誤り。老齢基礎年金の受給権者であった者が死亡したとき遺族基礎年金が支給されるには、保険料納付済期間・保険料免除期間・合算対象期間の合計が25年以上であることが要る(同法37条)。10年ではない。

    E:正しい。同法37条1号とただし書(3分の2要件)のとおり。

  67. 問67

    国民年金法

    国民年金法に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。 ア 65歳に達するまでの間は、遺族厚生年金を受給している者が老齢基礎年金を繰り上げて受給することを選択した場合、遺族厚生年金の支給は停止される。 イ 繰り上げた老齢基礎年金を受給している者が、20歳に達する日より前に初診日がある傷病(障害認定日に政令で定める障害の状態に該当しないものとする。)が悪化したことにより、繰り上げた老齢基礎年金の受給開始後、65歳に達する日より前に障害等級に該当する程度の障害の状態になった場合であっても、障害基礎年金を請求することはできない。 ウ 繰り上げた老齢基礎年金を受給している者が、20歳に達した日より後に初診日がある傷病(障害認定日に政令で定める障害の状態に該当しないものとする。)が悪化したことにより、繰り上げた老齢基礎年金の受給開始後、65歳に達する日より前に障害等級に該当する程度の障害の状態になった場合には、障害基礎年金を請求することができる。 エ 昭和27年4月2日以後生まれの者が、70歳に達した日より後に老齢基礎年金を請求し、かつ請求時点における繰下げ受給を選択しない時は、請求の5年前に繰下げの申出があったものとみなして算定された老齢基礎年金を支給する。 オ 老齢基礎年金の受給権を有する者が65歳以後の繰下げ待機期間中に死亡した時に支給される未支給年金は、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹以外は請求できない。

    1. A(アとイ)
    2. B(アとウ)
    3. C(イとエ)
    4. D(ウとオ)
    5. E(エとオ)

    正解:D

    解説

    正解はD(ウとオ)。誤っているものの組合せを選ぶ問題である。繰上げ受給と併給調整・障害基礎年金、特例的な繰下げ、未支給年金を問う。

    ア:正しい。65歳未満の間は、老齢基礎年金と遺族厚生年金は併給されず、いずれかを選択する(厚年法38条1項・附則17条)。繰り上げた老齢基礎年金を選べば、遺族厚生年金は支給停止される。

    イ:正しい。繰上げ受給者には、20歳前傷病の事後重症による障害基礎年金(国年法30条の4第2項)の規定が適用されない(同法附則9条の2の3)。

    ウ:誤り。20歳以後に初診日がある傷病の事後重症による障害基礎年金(同法30条の2)も、繰上げ受給者には適用されない(同法附則9条の2の3)。請求できない。

    エ:正しい。70歳に達した日後に請求し、繰下げの申出をしないときは、請求日の5年前に繰下げの申出があったものとみなす(同法28条5項)。昭和27年4月2日以後生まれの者が対象である。

    オ:誤り。未支給年金は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹に加え、これら以外の3親等内の親族で死亡当時生計を同じくしていた者も請求できる(同法19条1項)。

    よって誤っているものはウとオで、D。

  68. 問68

    国民年金法

    国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。 ア 国民年金法第4条の3第1項の規定により、政府は、少なくとも5年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びにこの法律による給付に要する費用の額その他の国民年金事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通しを作成しなければならない。 イ 年金の給付は、毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の6期に、それぞれの前月までの分が支払われることになっており、前支払期月に支払われるべきであった年金又は権利が消滅した場合若しくは年金の支給を停止した場合におけるその期の年金であっても、その支払期月でない月に支払われることはない。 ウ 付加保険料の納付は、国民年金法第88条の2の規定により保険料を納付することを要しないものとされた第1号被保険者の産前産後期間の各月については行うことができないとされている。 エ 年金給付の支給は、これを支給すべき事由が生じた日の属する月の翌月から始め、権利が消滅した日の属する月で終わるものとする。一方、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた日の属する月の翌月からその事由が消滅した日の属する月までの分の支給を停止するが、これらの日が同じ月に属する場合は、支給を停止しない。 オ 国民年金法第20条第1項の併給の調整の規定により、支給停止された年金給付については、同条第2項の支給停止の解除申請により選択受給することができるが、申請時期は、毎年、厚生労働大臣が受給権者に係る現況の確認を行う際に限られる。

    1. A一つ
    2. B二つ
    3. C三つ
    4. D四つ
    5. E五つ

    正解:B

    解説

    正解はB(二つ)。財政の現況及び見通し、年金の支払期月、付加保険料、支給停止の期間、支給停止の解除申請を問う問題である。正しいのはア・エである。

    ア:正しい。国年法4条の3第1項のとおり。

    イ:誤り。前支払期月に支払うべきだった年金や、権利が消滅した場合・支給を停止した場合のその期の年金は、支払期月でない月でも支払う(同法18条3項ただし書)。

    ウ:誤り。付加保険料は、88条の2により納付を要しないとされた産前産後期間の各月についても納付できる(同法87条の2第2項)。

    エ:正しい。同法18条1項・2項のとおり。

    オ:誤り。支給停止の解除の申請(選択)は、時期の限定なくいつでもできる(同法20条2項)。申請は将来に向かっていつでも撤回できる(同条4項)。

    よって正しいものは二つで、B。

    法改正:現行の87条の2第2項は、新設された育児期間の保険料免除(88条の3)の各月についても、付加保険料を納付できるとしている。

  69. 問69

    国民年金法

    国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A甲(昭和34年4月20日生まれ)は、20歳以後の学生であった期間は国民年金の加入が任意であったため加入していない。大学卒業後7年間は厚生年金保険の被保険者であったが、30歳で結婚してから15年間は第3号被保険者であった。その後、45歳から20年間、再び厚生年金保険の被保険者となっていたが65歳の誕生日で退職した。甲の老齢基礎年金は満額にならないため、65歳以降国民年金に任意加入して保険料を納付することができる。
    2. B老齢基礎年金の受給権を有する者であって66歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかった者が、65歳に達した日から66歳に達した日までの間において遺族厚生年金の受給権者となったが、実際には遺族厚生年金は受給せず老齢厚生年金を受給する場合は、老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる。
    3. C政府は、国民年金事業に要する費用に充てるため、被保険者期間の計算の基礎となる各月につき保険料を徴収することとなっているが、被保険者は、将来の一定期間の保険料を前納することができる。その場合、国民年金法第87条第3項の表に定める額に保険料改定率を乗じて得た額となり、前納による控除は適用されない。
    4. D積立金の運用は、積立金が国民年金の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら国民年金の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって、国民年金事業の運営の安定に資することを目的として行うものとされている。
    5. E国民年金基金は、加入員又は加入員であった者に対し、年金の支給を行い、あわせて加入員又は加入員であった者の死亡に関しても、年金の支給を行うものとする。

    正解:D

    解説

    正解はD。任意加入、繰下げ、前納、積立金の運用の目的、国民年金基金の給付を問う問題である。

    A:誤り。甲の20歳〜60歳の保険料納付済期間は、厚生年金保険7年、第3号被保険者15年、厚生年金保険15年(45〜60歳)の計37年で、老齢基礎年金は満額にならない。しかし65歳以後に任意加入できるのは、昭和40年4月1日以前生まれで受給資格期間を満たしていない者に限られる(平成16年改正法附則による特例任意加入)。甲は受給資格期間を満たしているので、任意加入できない。

    B:誤り。65歳に達した日から66歳に達した日までの間に遺族厚生年金の受給権者となったときは、繰下げの申出ができない(国年法28条1項ただし書)。実際に遺族厚生年金を受給しているかどうかは関係ない。

    C:誤り。前納するときの額は、各月の保険料の額から政令で定める額を控除した額である(同法93条2項)。前納による割引はある。

    D:正しい。同法75条のとおり。

    E:誤り。国民年金基金は、加入員等の死亡に関しては「一時金」を支給する(同法128条1項)。年金ではない。

  70. 問70

    国民年金法

    国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していた配偶者は、遺族基礎年金を受けることができる子と生計を同じくし、かつ、その当時日本国内に住所を有していなければ遺族基礎年金を受けることができない。なお、死亡した被保険者又は被保険者であった者は保険料の納付要件を満たしているものとする。
    2. B第2号被保険者である50歳の妻が死亡し、その妻により生計を維持されていた50歳の夫に遺族基礎年金の受給権が発生し、16歳の子に遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権が発生した。この場合、子が遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給し、その間は夫の遺族基礎年金は支給停止される。
    3. C死亡日の前日において死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料半額免除期間を48月有し、かつ、4分の1免除期間を12月有している者で、所定の要件を満たす被保険者が死亡した場合に、その被保険者の死亡によって遺族基礎年金又は寡婦年金を受給できる者はいないが、死亡一時金を受給できる遺族がいるときは、その遺族に死亡一時金が支給される。
    4. D国民年金法第30条の3に規定するいわゆる基準障害による障害基礎年金は、65歳に達する日の前日までに、基準障害と他の障害とを併合して初めて障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態となった場合に支給される。ただし、請求によって受給権が発生し、支給は請求のあった月からとなる。
    5. E保険料その他この法律の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は、督促状により期限を指定して督促することができるが、この期限については、督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日でなければならない。

    正解:E

    解説

    正解はE。遺族基礎年金の要件と支給停止、死亡一時金、基準障害による障害基礎年金、督促を問う問題である。

    A:誤り。配偶者の要件は、死亡した者に生計を維持されていたことと、遺族基礎年金を受けられる子と生計を同じくすることである(国年法37条の2第1項1号)。日本国内に住所があることは要件ではない。

    B:誤り。夫は遺族基礎年金の受給権者となり、子に対する遺族基礎年金は配偶者が受給権を有する間、支給停止される(同法41条2項)。一方、夫は50歳で55歳未満なので遺族厚生年金の受給権がない(厚年法59条1項1号)。このため子の遺族厚生年金は停止されない(同法66条1項)。夫が遺族基礎年金、子が遺族厚生年金を受給することになる。

    C:誤り。死亡一時金の月数を計算すると、半額免除48月×2分の1=24月、4分の1免除12月×4分の3=9月で、合計33月である。36月に満たないので支給されない(国年法52条の2第1項)。寡婦年金も、保険料納付済期間と免除期間の合計が60月で10年に満たないため支給されない(同法49条1項)。

    D:誤り。基準障害による障害基礎年金は、要件に該当したときに受給権が生じる(同法30条の3第1項)。支給は請求があった月の「翌月」から始まる(同条3項)。

    E:正しい。同法96条1項・3項のとおり。

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