2027年度(第59回)試験対応2026年11月6日施行法令基準情報の正確さへの取り組み

本試験問題(2025年実施)

令和7年度(第57回)社会保険労務士試験の過去問70問

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70問
収録数
選択式8問(40点・80分)と択一式70問(70点・210分)
本試験

問1労働基準法・労働安全衛生法

解答 0/70・正解 0

労働基準法の総則(第1条~第12条)等に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。 ア 労働基準法第5条に定める「労働者の意思に反して労働を強制」するとは、不当なる手段を用いることによって、使用者が労働者の意識ある意思を抑圧し、その自由な発現を妨げて、労働すべく強要することをいい、必ずしも労働者が現実に労働することを必要としない。 イ 労働基準法第6条に定める「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」の「業として利益を得る」とは、営利を目的として、同種の行為を反復継続することをいい、1回の行為であっても、反復継続して利益を得る意思があれば、これに当たる。 ウ 労働審判員や裁判員としての職務は労働基準法第7条にいう「公の職務」に該当するため、労働者が労働時間中に、これらの職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、使用者はこれを拒んではならないが、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。 エ 労働基準法第9条に定める「労働者」とは、他人との間に使用従属の関係に立って労務に服し、報酬を受けて生活する者をいい、現に就業していると否とを問わないから、失業者をも含む。 オ 労働者が自己を被保険者として生命保険会社等と任意に保険契約を締結したときに企業が保険料の補助を行う場合、その保険料補助金は、労働者の福利厚生のために使用者が負担するものであるから、労働基準法第11条に定める「賃金」とは認められない。

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令和7年度(第57回)の全70問|問題文・正解・解説

収録している70問を、正解と解説つきで通して読めます。上の演習で 間違えた問題を見直すときや、特定の論点がどう問われたかを確かめたいときに使ってください。 問題文と正解番号は全国社会保険労務士会連合会 試験センター(厚生労働大臣の委託)の公表資料に基づきます。各問の解説は合トレ編集部が独自に作成したもので、全国社会保険労務士会連合会 試験センター(厚生労働大臣の委託)が作成・監修したものではありません。

  1. 問1

    労働基準法・労働安全衛生法

    労働基準法の総則(第1条~第12条)等に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。 ア 労働基準法第5条に定める「労働者の意思に反して労働を強制」するとは、不当なる手段を用いることによって、使用者が労働者の意識ある意思を抑圧し、その自由な発現を妨げて、労働すべく強要することをいい、必ずしも労働者が現実に労働することを必要としない。 イ 労働基準法第6条に定める「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」の「業として利益を得る」とは、営利を目的として、同種の行為を反復継続することをいい、1回の行為であっても、反復継続して利益を得る意思があれば、これに当たる。 ウ 労働審判員や裁判員としての職務は労働基準法第7条にいう「公の職務」に該当するため、労働者が労働時間中に、これらの職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、使用者はこれを拒んではならないが、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。 エ 労働基準法第9条に定める「労働者」とは、他人との間に使用従属の関係に立って労務に服し、報酬を受けて生活する者をいい、現に就業していると否とを問わないから、失業者をも含む。 オ 労働者が自己を被保険者として生命保険会社等と任意に保険契約を締結したときに企業が保険料の補助を行う場合、その保険料補助金は、労働者の福利厚生のために使用者が負担するものであるから、労働基準法第11条に定める「賃金」とは認められない。

    1. A一つ
    2. B二つ
    3. C三つ
    4. D四つ
    5. E五つ

    正解:D

    解説

    正解はD。労基法総則の基本概念を問う個数問題で、労基法の「労働者」に失業者は含まれない点が決め手である。

    ア:正しい。5条の「労働者の意思に反して労働を強制」するとは、不当な手段で労働者の意識ある意思を抑圧し、労働すべく強要することをいい、現実に労働したかどうかは問わない(行政解釈)。

    イ:正しい。6条の「業として利益を得る」とは、営利を目的として同種の行為を反復継続することをいい、1回の行為でも反復継続して利益を得る意思があれば該当する(行政解釈)。

    ウ:正しい。労働審判員・裁判員の職務は7条の「公の職務」に当たる(行政解釈)。使用者は必要な時間の請求を拒めないが、権利の行使・公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更できる(労基法7条ただし書)。

    エ:誤り。9条の「労働者」は「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」であり(労基法9条)、現に使用されていない失業者は含まない。失業者を含むのは労組法上の労働者である。

    オ:正しい。労働者が任意に締結した生命保険等の保険料を企業が補助する場合、その補助金は福利厚生のための負担であり、11条の賃金とは認められない(行政解釈)。

    よって正しいものはア・イ・ウ・オの四つで、D。

  2. 問2

    労働基準法・労働安全衛生法

    労働基準法第12条(以下本問において「本条」という。)に定める平均賃金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A令和7年1月1日から、賃金が日給1万円、毎月20日締切、当月25日支払いの条件で雇われている労働者について、同年7月15日に平均賃金を算定すべき事由が発生した。当該労働者に支払われていた賃金は、1月支払分から6月支払分までいずれも労働日数は月10日で支払額は各月10万円であり、本条第3項各号に掲げられている業務上負傷し療養のために休業した期間等の控除期間がなかった。この場合の当該労働者に係る平均賃金の額は6,000円である。
    2. B労働基準法第20条に基づく解雇予告手当を算定する際の平均賃金算定事由発生日は、「労働者に解雇の通告をした日」であり、その後、当該労働者の同意を得て解雇日を変更した場合においても、当初の解雇を通告した日とするものとされている。
    3. C所定労働時間が二暦日にわたる勤務を行う労働者(一昼夜交替勤務のごとく明らかに2日の労働と解することが適当な場合を除く。)について、当該勤務の二暦日目に平均賃金を算定すべき事由が発生した場合においては、当該勤務の始業時刻の属する日に当該事由が発生したものとして取り扱うこととされている。
    4. D雇入れ後3か月未満の労働者について平均賃金を算定すべき事由が発生した場合には、算定事由発生日前に賃金締切日があるか否かにかかわらず、雇入れ後の期間とその期間中の賃金の総額で算定することとされている。
    5. E本条第3項第1号から第4号までに掲げられている業務上負傷し療養のために休業した期間等の控除期間が、平均賃金を算定すべき事由の発生した日以前3か月以上にわたる場合の平均賃金は、都道府県労働局長がこれを定めることとされている。

    正解:D

    解説

    正解はD。平均賃金の算定方法を問う問題で、雇入れ後3か月未満の者でも賃金締切日があれば直前の締切日から起算する点が決め手である。

    A:正しい。算定期間は直前の賃金締切日(6月20日)から遡る3か月、すなわち3月21日〜6月20日の92日間(労基法12条1項・2項)。この期間の賃金は4月・5月・6月支払分の計30万円で、原則の額は30万円÷92日=3,260円86銭。日給制の最低保障額は30万円÷労働日数30日×60%=6,000円(同条1項1号)。原則の額が最低保障額を下回るので、平均賃金は6,000円となる。

    B:正しい。解雇予告手当の算定事由発生日は解雇の通告をした日であり、その後労働者の同意を得て解雇日を変更しても当初の通告日とする(行政解釈)。

    C:正しい。二暦日にわたる勤務の二暦日目に事由が発生した場合は、その勤務の始業時刻の属する日に発生したものとして扱う(行政解釈)。

    D:誤り。雇入れ後3か月未満の者は雇入れ後の期間で算定するが(労基法12条6項)、その期間中に賃金締切日があれば直前の締切日から起算する(同条2項、行政解釈)。「締切日があるか否かにかかわらず」が誤り。

    E:正しい。控除期間が算定事由発生日以前3か月以上にわたる場合の平均賃金は、都道府県労働局長が定める(労基則4条)。

  3. 問3

    労働基準法・労働安全衛生法

    労働基準法に定める労働契約等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A労働基準法第14条第1項第2号は、満60歳以上である労働者との労働契約(同条同項第1号に掲げる労働契約を除く。)は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、5年を超える期間について締結してはならないと定めているが、満60歳以上であるかどうかは当該労働契約締結時の年齢で判断される。
    2. B労働基準法第14条第1項に規定する期間を超える期間を定めた労働契約を締結した場合は、同条同項には使用者とも労働者とも規定されていないことから、使用者と労働者の双方に罰則が適用される。
    3. C労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と相違している場合、労働者は、即時に労働契約を解除することができるにとどまり、明示されたとおりの労働条件の履行を使用者に要求することはできない。
    4. D事業主が同一人でないX社とY社に使用される労働者が、X社の業務により負傷し、その療養のために休業する期間及びその後30日間については、X社もY社も当該労働者を解雇してはならない。
    5. E事業主が犯した経済法令違反を原因として購入した諸機械、資材等を没収され、事業の継続が不可能となったときは、労働基準法第20条第1項にいう「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合」に該当することから、当該事業主が、これを理由として労働者を解雇しようとする場合には、少なくとも30日前にその予告をしなければならない等の同条同項に定める解雇の予告を行う必要はない。

    正解:A

    解説

    正解はA。労働契約の期間・労働条件明示・解雇制限・解雇予告の除外事由を問う問題である。

    A:正しい。満60歳以上の労働者との契約は上限5年とされ(労基法14条1項2号)、60歳以上かどうかは契約締結時の年齢で判断する(行政解釈)。

    B:誤り。14条違反の罰則(労基法120条1号)は使用者に対して科され、労働者には適用されない(行政解釈)。

    C:誤り。明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に契約を解除できる(労基法15条2項)。これは解除権を認めたもので、明示どおりの労働条件の履行を求めることを妨げるものではない。

    D:誤り。19条の解雇制限は、業務上の負傷について療養のため休業する労働者を、その業務の使用者が解雇することを制限するもの(労基法19条1項)。業務災害の起きていないY社は解雇制限を受けない。

    E:誤り。事業主の経済法令違反による資材等の没収で事業継続が不可能になった場合は、事業主の責任によるものであり、20条1項の「やむを得ない事由」には該当しない(行政解釈)。したがって解雇予告等が必要である。

  4. 問4

    労働基準法・労働安全衛生法

    労働基準法に定める賃金等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A使用者は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金を前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と相殺することができる。
    2. B労働基準法第24条第1項は、使用者の意思で労働者本人以外の者に賃金を支払うことを禁止するものであるから、労働者の意思で第三者に賃金受領権限を与えようとする委任、代理等の法律行為は無効となるものではない。
    3. C労働協約によりストライキ中の賃金を支払わないことを定めているX社では日給月給制を採用しており、毎月15日に当月の賃金を前払いする(例えば、8月15日に8月1日から同月末日までの分の賃金を支払う)ことになっているが、所定労働日である8月21日から25日まで5日間ストライキが行われた場合、当該ストライキに参加した労働者の賃金について、使用者が9月15日の賃金支払いにおいて前月のストライキの5日間分を控除して支払うことは、賃金全額払原則に違反する。
    4. D労働者が労働基準法第25条に従い賃金の非常時払を請求する場合には、使用者は、特約のない限り、いまだ労務の提供のない期間に対する賃金も含めて支払期日前に支払う義務を負う。
    5. E使用者の責に帰すべき事由による休業期間中であっても、労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日については、労働基準法第26条に定める休業手当を支払う義務は生じない。

    正解:E

    解説

    正解はE。賃金支払の諸原則と休業手当を問う問題で、休日には休業手当の支払義務がない点が決め手である。

    A:誤り。前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金の相殺は禁止されており(労基法17条)、労使協定があっても認められない。

    B:誤り。直接払の原則(労基法24条1項)により、労働者の親権者その他の法定代理人や労働者の委任を受けた任意代理人に支払うことも違反となり、労働者が第三者に賃金受領権限を与える委任・代理等の法律行為は無効とされる(行政解釈)。

    C:誤り。前月分の過払賃金を翌月分の賃金で清算する程度は、賃金の実態からみて全額払の原則に違反しない(行政解釈)。ストライキ5日間分を翌月の支払で控除することは、この過払分の清算に当たる。

    D:誤り。非常時払で支払義務があるのは「既往の労働に対する賃金」であり(労基法25条)、まだ労務の提供がない期間の賃金まで支払う義務はない。

    E:正しい。休業手当は休業期間中の労働日について支払うもので、労働協約・就業規則・労働契約で休日とされている日については支払義務は生じない(労基法26条、行政解釈)。

  5. 問5

    労働基準法・労働安全衛生法

    労働基準法第36条に定める時間外・休日労働協定(以下本問において「協定」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A労働者数が、本社、X支店及びY支店の合計で180人の企業において、100人の労働者で組織する労働組合があるとき、本社、X支店及びY支店のいずれの事業場においても労働者側の協定当事者は、それぞれの事業場の労働組合員数にかかわらず、その労働組合となる。
    2. B協定当事者である「労働者の過半数を代表する者」が、協定締結後に死亡した場合であっても、当該協定の効力は失われない。
    3. C協定当事者である「労働者の過半数を代表する者」の「労働者」の範囲には、労働基準法第41条第2号の「管理監督者」、同条第3号の「監視、断続的労働従事者で行政官庁の許可を受けた者」、満18歳に満たない者などのような、時間外労働又は休日労働を考える余地のない者を含む全ての労働者と解すべきであるとされている。
    4. D協定当事者である使用者は、労働基準法第10条の「使用者」であるから、各事業場の長ではなく、株式会社の社長自らが協定当事者となることも可能である。
    5. E法人の役員を含む全従業員により構成されており、その目的・活動内容に照らし労働組合とは認められない親睦団体の代表者が自動的に協定を締結したにすぎない場合、当該代表者は、「労働者の過半数を代表する者」に当たらないとされている。

    正解:A

    解説

    正解はA。36協定の当事者を問う問題で、過半数組合かどうかは企業単位ではなく事業場単位で判断する点が決め手である。

    A:誤り。36協定は「当該事業場」の労働者の過半数で組織する労働組合等と締結する(労基法36条1項)。企業全体で過半数の組合であっても、各事業場でその事業場の労働者の過半数を組織していなければ、その事業場の協定当事者にはならない。

    B:正しい。過半数代表者は協定締結時に必要な要件であり、締結後に死亡しても協定の効力は失われない(行政解釈)。

    C:正しい。過半数の算定の基礎となる「労働者」には、管理監督者、監視・断続的労働の許可を受けた者、18歳未満の者など、時間外・休日労働の余地のない者も含む(行政解釈)。

    D:正しい。協定の使用者側当事者は労基法10条の「使用者」であり、事業場の長に限らず、株式会社の社長が当事者となることもできる(行政解釈)。

    E:正しい。役員を含む全従業員で構成される親睦団体の代表者が自動的に協定を締結しただけの場合、その者は過半数代表者に当たらない(判例)。

  6. 問6

    労働基準法・労働安全衛生法

    労働基準法第37条(以下本問において「本条」という。)に定める割増賃金の基礎となる賃金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A通勤手当を、月額1,000円までは距離にかかわらず一律に、1,000円を超える場合は実際距離に応じた額を支給することとしている場合、割増賃金の基礎となる賃金の算定に当たっては、一律に支給される1,000円を含む通勤手当として支給した額全額を、割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくとも差し支えないとされている。
    2. B手術に従事した医師に対して支払われる手術手当は、当該手術手当を支給される医師が手術以外の業務で法定時間外労働を行った場合においても、割増賃金の基礎となる賃金に算入しなければならないとされている。
    3. C通常は事務作業に従事している労働者が、法定労働時間外に特殊作業手当が支払われる現場作業に従事した場合、当該労働者にとって当該現場作業は本条第1項の「通常の労働時間」には該当しないので、当該特殊作業手当は割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくとも差し支えないとされている。
    4. Dいわゆる年俸制の適用を受ける労働者の割増賃金の取扱いについて、賞与の支給額が確定しており、かつ、毎月支払部分と賞与とが明確に区分されている場合には、当該賞与額を割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくとも差し支えない。
    5. E正規の勤務時間による勤務の一部又は全部が午後10時から午前5時までの間において行われる看護業務に従事したときに、その勤務1回につき夜間看護手当として3,000円を支払う場合、当該夜間看護手当は、本条第1項の通常の労働時間又は労働日の賃金とは認められないから、割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくとも差し支えないとされている。

    正解:E

    解説

    正解はE。割増賃金の基礎となる賃金の範囲を問う問題で、深夜の看護業務への手当は算入不要とする行政解釈が決め手である。除外できるのは家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金に限られる(労基法37条5項、労基則21条)。

    A:誤り。距離にかかわらず一律に支給される部分は実際の距離に応じた通勤手当とはいえず、一律の1,000円は割増賃金の基礎に算入しなければならない(行政解釈)。

    B:誤り。手術手当は手術に従事したことに対する手当であり、手術以外の業務で時間外労働をした場合は、その割増賃金の基礎に算入しなくてよい(行政解釈)。

    C:誤り。時間外に特殊作業手当の付く作業に従事した場合、その特殊作業手当はその作業の通常の労働時間の賃金に当たり、割増賃金の基礎に算入しなければならない(行政解釈)。

    D:誤り。年俸制で賞与の額があらかじめ確定している場合、その賞与は「臨時に支払われた賃金」等に当たらず、割増賃金の基礎に算入しなければならない(行政解釈)。

    E:正しい。深夜時間帯の看護業務1回ごとに支払う夜間看護手当は、通常の労働時間・労働日の賃金とは認められず、割増賃金の基礎に算入しなくてよい(行政解釈)。

  7. 問7

    労働基準法・労働安全衛生法

    労働基準法に定める就業規則に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A就業規則を作成した使用者は、当該就業規則を備え付けている場所等を労働者に示すこと等により、労働者が必要なときに容易に確認できる状態にする必要がある。
    2. B使用者がその従業員に対して金品の不正隠匿の摘発・防止のために行う所持品検査は、これを必要とする合理的理由に基づいて、一般的に妥当な方法と程度で、しかも制度として、職場従業員に対して画一的に実施されるものでなければならず、このようなものとしての所持品検査が就業規則その他明示の根拠に基づいて行われるときは、従業員は、個別的な場合にその方法や程度が妥当を欠く等特段の事情がない限り、検査を受忍すべき義務があるとするのが、最高裁判所の判例である。
    3. C労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間(1週間、1か月など)ごとに作成される勤務割や勤務シフトなどにおいて初めて具体的な労働日や労働時間が確定するような形態(シフト制)の労働者に関する労働基準法第89条第1項第1号に係る事項の就業規則への記載に際して、「個別の労働契約による」、「シフトによる」との記載のみにとどめた場合、就業規則の作成義務を果たしたことにならないが、基本となる始業及び終業の時刻や休日を定めた上で、「具体的には個別の労働契約で定める」、「具体的にはシフトによる」旨を定めることは差し支えない。
    4. D労働基準法第90条第2項の規定により就業規則の届出に添付すべき意見を記した書面は、労働者を代表する者の氏名を記載しただけでは足りず、この者の押印もなければならない。
    5. E労働者が、遅刻・早退をした場合、その時間については賃金債権が生じないものであるから、その時間分の減給は、労働基準法第91条に定める減給の制裁に関する規定の適用を受けないが、遅刻・早退の時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみなされ、同条に定める規定の適用を受ける。

    正解:D

    解説

    正解はD。就業規則の周知・記載事項・届出・減給制裁を問う問題で、意見書に押印は不要である点が決め手である。

    A:正しい。就業規則は掲示・備付け・書面交付等の方法で労働者に周知しなければならず(労基法106条1項、労基則52条の2)、労働者が必要なときに容易に確認できる状態にする必要がある(行政解釈)。

    B:正しい。所持品検査は、合理的理由に基づき、一般的に妥当な方法と程度で、制度として画一的に実施されるものでなければならず、就業規則等の明示の根拠に基づいて行われるときは、従業員は特段の事情がない限り検査を受忍すべき義務があるとするのが判例である。

    C:正しい。シフト制の労働者について「シフトによる」等とだけ記載するのでは足りないが、基本となる始業・終業時刻や休日を定めたうえで「具体的にはシフトによる」と定めることは差し支えない(行政解釈)。始業・終業時刻、休日は絶対的必要記載事項である(労基法89条1号)。

    D:誤り。届出に添付する意見書は「労働者を代表する者の氏名を記載したもの」でなければならないと定められているだけで(労基則49条2項)、押印は求められていない。

    E:正しい。遅刻・早退の時間分の賃金を支払わないことは減給の制裁ではないが、その時間に対応する賃金額を超えて減額する部分は制裁とみなされ、労基法91条の制限を受ける(行政解釈)。

  8. 問8

    労働基準法・労働安全衛生法

    労働安全衛生法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 なお、Cにおける「電子情報処理組織」とは、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成14年法律第151号)第6条第1項に規定する電子情報処理組織をいう。

    1. A労働安全衛生法第3条第3項には、仕事を他人に請け負わせる者は、施工方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行を損なうおそれのある条件を付さないように配慮しなければならないとの責務が定められているが、当該規定は、建設工事以外の注文者にも適用される。
    2. B労働安全衛生法第29条第1項には、元方事業者は、関係請負人及び関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、労働安全衛生法又はこれに基づく命令の規定に違反しないよう必要な指導を行わなければならないと定められているが、当該規定は、建設業、造船業及び製造業に限らず全ての事業に適用される。
    3. C労働安全衛生規則第2条第2項は、事業者が労働安全衛生法の定めにより総括安全衛生管理者を選任したときは、遅滞なく、電子情報処理組織を使用して、所定事項を、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない旨定めている。
    4. D労働安全衛生規則第11条第1項には、衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならないとされているが、産業医については、作業場等を定期巡視する義務を課す規定は定められていない。
    5. E労働安全衛生規則第12条の3第1項には、安全衛生推進者は、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタントその他厚生労働大臣が定める者のうちから選任する場合を除きその事業場に専属の者を選任するよう定められているが、専任の者とすることまでは定められていない。

    正解:D

    解説

    正解はD。安衛法の責務規定・元方事業者の義務・管理者の選任報告と巡視を問う問題で、産業医にも定期巡視義務がある点が決め手である。

    A:正しい。3条3項は「建設工事の注文者その他の仕事を他人に請け負わせる者」に配慮義務を課しており(安衛法3条3項)、建設工事以外の注文者にも適用される。

    B:正しい。29条の元方事業者の指導義務は業種を限定しておらず(安衛法29条1項)、全ての事業に適用される。業種が限られるのは特定元方事業者(建設業・造船業)の措置などである。

    C:正しい。総括安全衛生管理者を選任したときは、遅滞なく、電子情報処理組織を使用して所定事項を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない(安衛則2条2項)。

    D:誤り。衛生管理者の毎週1回の巡視(安衛則11条1項)とは別に、産業医も少なくとも毎月1回(一定の情報提供を受け事業者の同意がある場合は2か月に1回)作業場等を巡視しなければならない(安衛則15条)。

    E:正しい。安全衛生推進者等は、コンサルタント等から選任する場合を除き、その事業場に専属の者を選任する(安衛則12条の3第1項2号)。専任であることまでは求められていない。

    法改正:現行の安衛法3条3項は「施工方法、作業方法、工期、納期等」と、29条は「関係請負人及び関係請負人に係る作業従事者」と規定している。A・Bの正誤は変わらない。

  9. 問9

    労働基準法・労働安全衛生法

    労働安全衛生法に定める就業制限に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 なお、選択肢A、C及びDにおける「運転」は、道路交通法(昭和35年法律第105号)第2条第1項第1号に規定する道路を走行させる運転を除くものとする。

    1. A事業者は、つり上げ荷重5トン以上の移動式クレーンの運転の業務については、クレーン・デリック運転士免許を受けた者を就かせることができる。
    2. B事業者は、つり上げ荷重3トンのクレーンを床上で運転し、かつ、当該運転をする者が荷の移動とともに移動する方式のクレーンの運転の業務については、小型移動式クレーン運転技能講習を修了した者を就かせることができる。
    3. C機体重量が3トン未満のパワー・シヨベル(労働安全衛生法施行令別表第7第2号に定めるものをいう。)で、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走することができるものの運転の業務は、労働安全衛生法第61条に定める就業制限業務に該当しない。
    4. D最大荷重が3トン未満のショベルローダー又はフォークローダーの運転の業務は、労働安全衛生法第61条に定める就業制限業務に該当しない。
    5. Eつり上げ荷重5トンのクレーンで重さが1トン未満の荷を吊り上げようとする場合の玉掛けの業務は、労働安全衛生法第61条に定める就業制限業務に該当しない。

    正解:C

    解説

    正解はC。就業制限業務(安衛法61条、安衛令20条)の範囲と資格を問う問題である。就業制限に当たるかは機械の能力(つり上げ荷重・機体重量・最大荷重)で決まる。

    A:誤り。つり上げ荷重1トン以上の移動式クレーンの運転は就業制限業務であり(安衛令20条7号)、5トン以上の移動式クレーンには移動式クレーン運転士免許が必要である(クレーン等安全規則)。クレーン・デリック運転士免許では就かせることができない。

    B:誤り。就業制限の対象となるクレーンはつり上げ荷重5トン以上であり(安衛令20条6号)、3トンのクレーンの運転は特別教育を要する業務である(安衛則36条15号)。小型移動式クレーン運転技能講習は移動式クレーンに係る資格で、これによってクレーンの運転に就かせることはできない。

    C:正しい。機体重量3トン以上の車両系建設機械(整地・運搬・積込み用、掘削用等)の運転が就業制限業務であり(安衛令20条12号)、3トン未満のパワー・ショベルの運転はこれに該当しない(特別教育の対象)。

    D:誤り。就業制限の対象は最大荷重1トン以上のショベルローダー・フォークローダーの運転であり(安衛令20条13号)、1トン以上3トン未満のものも該当する。

    E:誤り。つり上げ荷重1トン以上のクレーン等の玉掛けの業務は就業制限業務であり(安衛令20条16号)、つり上げる荷の重さは関係ない。

  10. 問10

    労働基準法・労働安全衛生法

    労働安全衛生法に定める作業環境測定の実施頻度に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A事業者は、粉じん障害防止規則第25条で定める常時特定粉じん作業が行われる屋内作業場について、6月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における空気中の粉じんの濃度を測定しなければならない。
    2. B事業者は、溶鉱炉により鉱物又は金属を製錬する業務を行う暑熱の屋内作業場について、半月以内ごとに1回、定期に、当該屋内作業場における気温、湿度及びふく射熱を測定しなければならない。
    3. C事業者は、労働安全衛生規則第588条に規定する著しい騒音を発する屋内作業場について、6月以内ごとに1回、定期に、等価騒音レベルを測定しなければならない。
    4. D事業者は、特定化学物質である労働安全衛生法施行令別表第3第2号7の塩素を取り扱う屋内作業場について、6月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における空気中の塩素の濃度を測定しなければならない。
    5. E事業者は、労働安全衛生法施行令第21条第9号で定める酸素欠乏危険場所において作業を行う場合の当該作業場について、半月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における空気中の酸素の濃度を測定しなければならない。

    正解:E

    解説

    正解はE。作業環境測定の実施頻度を問う問題で、酸素欠乏危険場所の測定は「その日の作業を開始する前」に行う点が決め手である。

    A:正しい。常時特定粉じん作業が行われる屋内作業場は、6月以内ごとに1回、定期に空気中の粉じんの濃度を測定する(粉じん障害防止規則)。

    B:正しい。暑熱・寒冷・多湿の屋内作業場は、半月以内ごとに1回、定期に気温・湿度・ふく射熱を測定する(安衛則607条1項)。

    C:正しい。著しい騒音を発する屋内作業場は、6月以内ごとに1回、定期に等価騒音レベルを測定する(安衛則590条1項)。

    D:正しい。塩素などの特定化学物質を取り扱う屋内作業場は、6月以内ごとに1回、定期に空気中の濃度を測定する(特定化学物質障害予防規則)。

    E:誤り。酸素欠乏危険場所(安衛令21条9号)で作業を行う場合は、その日の作業を開始する前に空気中の酸素の濃度を測定しなければならない(酸素欠乏症等防止規則)。「半月以内ごとに1回」ではない。

  11. 問11

    労災保険法

    労災保険法の適用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A出向元事業に雇用される労働者が、その雇用関係を存続したまま、出向元事業主の命により出向先事業の業務に従事する在籍型出向の場合、当該労働者に係る労災保険給付は、常に出向先事業に係る保険関係によるものとされている。
    2. B派遣労働者に係る労災保険給付は、常に派遣元事業に係る保険関係によるものとされている。
    3. C障害者総合支援法に基づく就労継続支援を行う事業場で就労する障害者は、雇用契約の締結の有無にかかわらず、労災保険法が適用される。
    4. Dインターンシップにおいての実習は、見学や体験的なものであることを原則としていることから、当該実習に参加する学生に労災保険法が適用されることはない。
    5. E育児休業を取得する公立小学校教諭の業務を処理するために、当該育児休業請求に係る期間を任期の限度として臨時的任用された者には、その勤務の態様にかかわらず、労災保険法が適用される。

    正解:B

    解説

    正解はB。出向・派遣・障害者就労・インターンシップ・公務員について、労災保険の適用関係を問う問題である。

    A:誤り。在籍型出向の労働者にどちらの保険関係を適用するかは、出向の目的、出向元と出向先の契約内容、出向先での労働の実態等から、労働関係の所在を判断して決める(行政解釈)。「常に出向先」ではない。

    B:正しい。派遣労働者の労災保険給付は、派遣元事業主の事業に係る保険関係による(行政解釈)。

    C:誤り。就労継続支援のうち雇用契約を締結して就労する者(A型)は労働者として適用されるが、雇用契約を締結しない者(B型)は原則として労働者に当たらない(行政解釈)。「雇用契約の締結の有無にかかわらず」が誤り。

    D:誤り。インターンシップの実習が見学・体験的なものであれば労働者に当たらないが、直接生産活動に従事するなど使用従属関係が認められる場合は労働者として労災保険法が適用される(行政解釈)。

    E:誤り。教育の事業は労基法別表第一に掲げる事業なので、公立学校は官公署の事業の適用除外(労災法3条2項)には当たらない。ただし、地方公務員のうち常勤の職員には地方公務員災害補償法が適用され、労災保険法は適用されない。育児休業に伴い臨時的任用された者も、常勤の勤務形態であれば地方公務員災害補償法の対象となる(行政解釈)。「その勤務の態様にかかわらず」労災保険法が適用されるわけではない。

  12. 問12

    労災保険法

    次の記述のうち、業務災害として保険給付の対象となるものはいくつあるか。 ア 鉄道保線作業に従事する労働者が、休日に自己の担当する鉄道沿線で事故があったため、使用者の呼び出しを受けて自宅から現場にかけつける途上で、つまずいて転倒し、負傷した場合 イ 職場から2駅離れた社宅に居住する労働者が、休日に、台風のため社宅付近の大木が倒れたことに伴って切断された高圧電線がショートし、枯木に火が付く様子を社宅から目撃したことから、社宅への延焼を防止しようと作業していたところ、強風にあおられた高圧電線に接触して死亡した場合 ウ 職業能力開発促進法に基づく技能検定であって、職務に関連する職種に係るものを、使用者から出張命令を受けて受検した労働者が、実技試験中に当該実技に起因して負傷した場合 エ 山岳地区であって地理的条件から天候の変化が激しく、雷の発生頻度も高い地域で、山頂より100メートル下方で植生盤の植付作業をしていた労働者が、夕立のような異様な天候になったので、作業を中止し、他に適当な退避場所がなかったことから山頂の休憩小屋に退避しようと移動していたときに、落雷の直撃を受けて死亡した場合 オ 通常は私鉄バスを利用して帰宅する夜勤労働者が、当該私鉄バスのストライキによる運休のため、早朝、電車で帰宅するつもりでバス停とは反対方向の鉄道駅に向かっている途上で自動車にはねられ、負傷した場合

    1. A一つ
    2. B二つ
    3. C三つ
    4. D四つ
    5. E五つ

    正解:C

    解説

    正解はC。業務遂行性と業務起因性の判断を、行政解釈の事例で問う問題である。業務災害に当たるのはア・ウ・エの三つ。

    ア:業務災害に当たる。休日に事故現場へ駆けつけるよう使用者の呼出しを受けて自宅から向かう途上は、使用者の命令による緊急の出勤であり、業務遂行性が認められる(行政解釈)。

    イ:業務災害に当たらない。休日に、職場から離れた社宅で延焼防止の作業をしていたもので、使用者の命令や業務との関連はなく、私的な行為中の災害である。

    ウ:業務災害に当たる。職務に関連する技能検定を、使用者の出張命令を受けて受検しているので業務遂行性があり、実技に起因する負傷には業務起因性が認められる(行政解釈)。

    エ:業務災害に当たる。落雷の危険が高い地理的条件の作業場で、他に適当な退避場所がなく山頂の休憩小屋に退避する途中の被災であり、作業場の危険が現実化したものとして業務起因性が認められる(行政解釈)。

    オ:業務災害に当たらない。夜勤明けの帰宅途中の災害であり、問題になるのは通勤災害である。バスの運休で鉄道駅へ向かう経路は合理的な経路と認められ、通勤災害として扱われる(行政解釈)。

    よって業務災害となるものはア・ウ・エの三つで、C。

  13. 問13

    労災保険法

    厚生労働省労働基準局長通知「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」(令和3年9月14日付け基発0914第1号。以下本問において「認定基準」という。)に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。 ア 認定基準にいう「特に過重な業務」とは、日常業務に比較して特に過重な身体的、精神的負荷を生じさせたと客観的に認められる業務をいうが、ここでいう日常業務には、労働基準法第36条に基づく労使協定により延長することができる労働時間内に行う業務が含まれる。 イ 認定基準において、業務の過重性の具体的な評価を行うに当たって検討すべきとされている負荷要因の1つに勤務時間の不規則性があり、特に長期間の過重業務の判断に当たっては、勤務間インターバルがおおむね9時間未満の勤務の有無、時間数、頻度、連続性等について検討し、評価することとされている。 ウ 認定基準において、業務の過重性の具体的な評価を行うに当たって検討すべきとされている負荷要因の1つである作業環境(温度環境、騒音)は、長期間の過重業務の判断に当たっては付加的に評価するのに対し、短期間の過重業務の判断に当たっては付加的に考慮するのではなく、他の負荷要因と同様に十分検討することとされている。 エ 器質的心疾患(先天性心疾患、弁膜症、高血圧性心疾患、心筋症、心筋炎等)を有する者が、認定基準にいう対象疾病である虚血性心疾患等を発症した場合については、業務と発症との関連が認められることはない。 オ 労災保険法第7条第1項第2号に定める複数業務要因災害による脳・心臓疾患の認定に関しては、認定基準における過重性の評価に際して、二以上の事業の業務による業務の過重性の検討に当たり、異なる事業における労働時間を通算して評価する。

    1. A(アとイ)
    2. B(アとウ)
    3. C(イとエ)
    4. D(ウとオ)
    5. E(エとオ)

    正解:D

    解説

    正解はD(ウとオ)。脳・心臓疾患の認定基準(令和3年9月14日付け基発0914第1号)の内容を問う問題である。

    ア:誤り。認定基準にいう「日常業務」とは、通常の所定労働時間内の所定業務内容をいい、36協定で延長できる労働時間内に行う業務は含まない。

    イ:誤り。勤務時間の不規則性のうち勤務間インターバルについては、おおむね11時間未満の勤務の有無、時間数、頻度、連続性等を検討し評価するとされている。「9時間」ではない。

    ウ:正しい。作業環境(温度環境・騒音)は、長期間の過重業務の判断では付加的に評価し、短期間の過重業務の判断では付加的に考慮するのではなく、他の負荷要因と同様に十分検討するとされている。

    エ:誤り。器質的心疾患を有する者でも、その病態が安定しており、業務による明らかな過重負荷によって自然経過を超えて著しく重篤な状態に至ったと認められる場合には、業務と発症との関連が認められる。

    オ:正しい。複数業務要因災害(労災法7条1項2号)の認定では、二以上の事業の業務による過重性を検討する際、異なる事業における労働時間を通算して評価する。

    よって正しいものの組合せはウとオで、D。

  14. 問14

    労災保険法

    休業補償給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A第1種特別加入者の給付基礎日額として厚生労働大臣が定める額は、その最高額が25,000円であり、その最低額が2,000円である。
    2. B労災保険法第8条の2第2項は、業務災害により休業補償給付を支給すべき事由が生じた日が当該休業補償給付に係る療養を開始した日から起算して3年を経過した日以後の日である場合において、同条同項各号のいずれかに該当するときは、当該休業補償給付を受けるべき者の休業給付基礎日額は、当該者の基準日(当該休業補償給付を受けるべき者の当該休業補償給付を支給すべき事由が生じた日の属する四半期の初日)における年齢の属する年齢階層について厚生労働大臣が定めた額とする旨規定している。
    3. C休業補償給付は、労働者が業務上の傷病により療養のため労働不能の状態にあって賃金を受けることができない場合であっても、出勤停止の懲戒処分を受けたために雇用契約上の賃金請求権を有しない場合には支給されない。
    4. D休業特別支給金の支給対象となる日について休業補償給付を受けることができる者は、当該休業特別支給金の支給申請を、当該休業補償給付の請求後に行わなければならない。
    5. E休業補償給付を受ける労働者が、同一の事由について厚生年金保険法に基づく障害厚生年金又は国民年金法に基づく障害基礎年金を受けることができるときは、当該労働者に支給する休業補償給付の額は、当該障害厚生年金又は当該障害基礎年金と傷病補償年金との調整について定める率を用いて算定されるが、当該算定された額が労災保険法施行令第1条第1項で定める額を下回る場合には、同条同項で定める額となる。

    正解:E

    解説

    正解はE。休業補償給付の額・給付基礎日額・支給要件・特別支給金の申請・年金との調整を問う問題である。

    A:誤り。第1種特別加入者の給付基礎日額は3,500円から25,000円までの16段階から定める(労災則46条の20第1項)。最低額は2,000円ではなく3,500円である。

    B:誤り。年齢階層別の最低・最高限度額が適用されるのは、療養開始から1年6か月を経過した日以後に支給事由が生じた休業補償給付である(労災法8条の2第2項)。「3年」ではない。

    C:誤り。休業補償給付は療養のため労働できず賃金を受けない日に支給される(労災法14条1項)。出勤停止の懲戒処分で賃金請求権がない日であっても、療養のため労働不能であれば支給される(行政解釈)。

    D:誤り。休業特別支給金の支給申請は、休業補償給付の請求と同時に行わなければならない(労災保険特別支給金支給規則3条5項)。

    E:正しい。同一事由で障害厚生年金・障害基礎年金を受けられるときは、傷病補償年金について定める調整率を乗じた額とし、その額が政令で定める額を下回るときはその額とする(労災法14条2項)。政令で定める額は、調整前の額から障害年金の額を365で除した額を減じた額である(労災令1条1項)。

  15. 問15

    労災保険法

    介護補償給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A療養補償給付を受ける権利を有する労働者は、病院又は診療所に入院し、介護を受けている間、介護補償給付を受けることができる。
    2. B障害補償年金を受ける権利を有する労働者は、障害者総合支援法第5条第11項に規定する障害者支援施設に入所し、同法同条第7項が定める生活介護を受けている間、併せて介護補償給付を受けることができる。
    3. C障害補償一時金の支給を受けた労働者が、加齢により介護を要する状態となった場合、介護補償給付を受けることができる。
    4. D業務災害により両眼を失明し、障害等級第1級の障害補償年金を受ける労働者は、他に障害を負っているか否かにかかわらず、常時介護を要する障害の程度にあるとして、介護補償給付を受けることができる。
    5. E介護補償給付の額は、その月において、介護に要する費用を支出して介護を受けた日がない場合であって、親族による介護を受けた日があるときは、障害の程度に応じて定額とされている。

    正解:E

    解説

    正解はE。介護補償給付の支給要件と額を問う問題で、親族の介護だけを受けた月は定額(最低保障額)となる点が決め手である。

    A:誤り。介護補償給付を受けられるのは障害補償年金・傷病補償年金を受ける権利を有する者であり、病院・診療所に入院している間は支給されない(労災法12条の8第4項3号)。療養補償給付の受給だけでは対象とならない。

    B:誤り。障害者支援施設に入所し生活介護を受けている間は支給されない(労災法12条の8第4項1号)。

    C:誤り。対象は障害補償年金・傷病補償年金の受給権者であり、一時金の受給者は対象外である。また、支給事由となる障害によって介護を要することが要件であり、加齢による要介護状態は対象にならない(労災法12条の8第4項)。

    D:誤り。常時介護を要する状態は労災則別表第三で定める程度に限られる。両眼失明で障害等級第1級であっても、他の障害の有無にかかわらず当然に常時介護の状態に当たるわけではない。

    E:正しい。その月に介護費用を支出して介護を受けた日がなく、親族等による介護を受けた日があるときは、常時介護・随時介護の別に応じて定められた定額が支給される(労災則18条の3の4第1項2号・2項)。

  16. 問16

    労災保険法

    二次健康診断等給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A二次健康診断等給付を行う病院又は診療所の指定は、都道府県労働局長が行う。
    2. B二次健康診断等給付として行われる二次健康診断は、対象労働者一人につき、1年度内1回に限り支給される。
    3. C二次健康診断等給付として行われる特定保健指導(二次健康診断の結果に基づき行われる保健指導)は、医師又は保健師による面接によって行われ、栄養指導、運動指導及び生活指導の内容により行われる。
    4. D特別加入者は、二次健康診断等給付の対象とならない。
    5. E二次健康診断等給付は、労働安全衛生法第66条第1項の規定に基づき行われた直近の健康診断において、血圧検査等所定の検査を受けた労働者が、当該検査項目のいずれかに異常の所見があると診断されたときに、当該労働者に対し、その請求に基づき行われる。

    正解:E

    解説

    正解はE。二次健康診断等給付の要件と内容を問う問題で、一次健診の所定の検査の「いずれの項目にも」異常所見があることが要件である点が決め手である。

    A:正しい。二次健康診断等給付は、社会復帰促進等事業として設置された病院等又は都道府県労働局長の指定する病院・診療所で行い、指定は都道府県労働局長が行う(労災則11条の3)。

    B:正しい。二次健康診断は一年度につき一回に限られる(労災法26条2項1号)。

    C:正しい。特定保健指導は、二次健康診断の結果に基づき、面接により行われる医師又は保健師による保健指導であり(労災法26条2項2号)、栄養指導・運動指導・生活指導が行われる。

    D:正しい。特別加入者は安衛法の一次健康診断を受ける義務の対象ではないため、二次健康診断等給付の対象とならない(行政解釈)。

    E:誤り。直近の一次健康診断で血圧検査・血液検査等の所定の検査(労災則18条の16第1項)を受け、そのいずれの項目にも異常の所見があると診断されたことが要件である(労災法26条1項)。「いずれかに異常の所見」では足りない。また、既に脳・心臓疾患の症状を有する者は除かれる。

  17. 問17

    労災保険法

    労災保険法施行規則第46条の17第12号にいう特定フリーランス事業に係る特別加入団体(以下本問において「特別加入団体」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A特別加入団体として承認を受けるためには、特定の業種に関わらないフリーランス全般の支援のための活動実績(活動期間が1年以上、100名以上の会員等がいること)を有している必要がある。
    2. B特別加入団体として承認を受けるためには、市町村ごとに加入希望者が訪問可能な事務所を設け、都道府県を単位として団体を運営する必要がある。
    3. C特別加入団体は、少なくとも年に1回以上、加入者に対して災害防止等に関する研修会等を実施する必要がある。
    4. D特別加入団体は、特定フリーランス事業を行う者として特別加入した者の災害発生時の労災給付請求に際し、当該者が提出することとなる請求書等の作成支援を行うことを求められる。
    5. E保険給付に関する事務は、特別加入団体の主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署長が行うこととされている。

    正解:B

    解説

    正解はB。特定フリーランス事業(労災則46条の17第12号)の特別加入団体の承認基準(令和6年4月26日付け基発0426第2号)を問う問題で、事務所の設置単位が決め手である。

    A:正しい。加入申請者たる団体(母体団体を含む)が、特定の業種に関わらないフリーランス全般の支援活動の実績(活動期間1年以上、会員等100名以上)を有していることが基準とされている。

    B:誤り。全国を単位として団体を運営し、その際、都道府県ごとに加入希望者が訪問可能な事務所を設けることが基準とされている。「市町村ごとに事務所」「都道府県を単位として運営」ではない。

    C:正しい。加入者に対し、少なくとも年1回以上、団体が主催する災害防止等に関する研修会等(双方向の質疑応答を含むオンライン形式を含む)への参加の機会を提供することが求められている。

    D:正しい。加入・脱退・災害発生時の労災給付請求等の各種支援を行うことが基準とされ、その例として労災請求の際に提出する請求書等の作成支援が挙げられている。

    E:正しい。保険給付に関する事務は、当該特別加入団体の主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署長が行う(労災則1条3項、同通達)。

  18. 問18

    徴収法

    労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A二以上の有期事業が一括されて一の事業として労働保険徴収法が適用される場合であって、労働保険徴収法施行規則第17条第3項で定める規模の事業のとき、同法第20条に規定するいわゆる有期事業のメリット制の適用対象とされる。
    2. B労働保険徴収法第7条の適用により一括有期事業とみなされた場合、概算保険料申告書、確定保険料申告書は当該一括有期事業に係る労働保険料の納付事務を取り扱う一の事務所の所在地を管轄する都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならないが、一括有期事業報告書は一括された事業ごとに作成し、各事業の所在地を管轄する都道府県労働局歳入徴収官にそれぞれ提出しなければならない。
    3. C労働保険徴収法第7条の適用による一括有期事業を開始したときには、初めに保険関係成立届を提出することとなるが、この届を一度提出しておけば、以後何年でもこの一括有期事業が継続している限り、当該一括有期事業に含まれる個々の事業については、その都度保険関係成立届を提出する必要はない。
    4. D労働保険徴収法第7条の適用により一括された個々の有期事業について、その後、事業の規模の変更等があった場合には、当初の一括の扱いとされず、新たに独立の有期事業として取り扱われる。
    5. E労働保険徴収法第7条の適用により一括有期事業とみなされるための要件として、立木の伐採の事業以外の事業にあっては請負金額の上限が定められているが、当該請負金額を計算するに当たって、事業主が注文者からその事業に使用する機械器具等の貸与を受けた場合には、厚生労働大臣が定める事業の種類に該当する事業を除き、当該機械器具等の損料に相当する額(消費税等相当額を除く。)を請負代金の額(消費税等相当額を除く。)から控除することとされている。

    正解:C

    解説

    正解はC。有期事業の一括(徴収法7条)の効果と手続を問う問題である。一括された事業は全体が一の事業とみなされ、継続事業と同様に扱われる。

    A:誤り。一括有期事業は継続事業として扱われ、メリット制も継続事業のメリット制(徴収法12条3項)が適用される。徴収則17条3項は継続事業のメリット制の対象となる一括有期事業の規模(確定保険料40万円以上)を定めたものであり、有期事業のメリット制(徴収法20条)の対象になるのではない。

    B:誤り。一括有期事業報告書は、一括された事業についてまとめて、所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出する(徴収則34条)。所轄は納付事務を取り扱う一の事務所の所在地により定まる(徴収則6条3項)。事業ごとに各所在地の歳入徴収官に提出するのではない。

    C:正しい。保険関係成立届は一括有期事業の開始時に一度提出すればよく、その後一括される個々の事業ごとに提出する必要はない(行政解釈)。

    D:誤り。一括された個々の事業について、その後事業の規模の変更等があっても、当初の一括の扱いは変わらない(行政解釈)。

    E:誤り。事業主が注文者から機械器具等の貸与を受けた場合は、その損料相当額を請負代金の額に加算する(徴収則13条2項1号)。「控除」ではない。

  19. 問19

    徴収法

    次に示す業態をとる事業についての労働保険料に関する記述のうち、誤っているものはどれか。 保険関係成立年月日:令和3年8月5日 事業の種類:小売業 労働保険関係の概要:・保険料の滞納はない。 ・一般保険料以外の対象となる者はいない。 ・社会保険適用事業所である。 ・令和7年度の概算保険料の額は875,000円である。 令和6年度及び7年度の労災保険率:1000分の3令和6年度の雇用保険率:1000分の15.5令和7年度の雇用保険率:1000分の14.5令和7年度の雇用保険二事業の保険率:1000分の3.5令和6年度の確定賃金総額:5,000万円令和7年度に支払いが見込まれる賃金総額:6,000万円

    1. A令和6年度中に請負契約を締結し、使用従属関係が認められない労務提供を行った請負人に対して支払った報酬額は、令和6年度の確定賃金総額に含まれていない。
    2. B令和7年度の概算保険料のうち、労災保険の保険料の額は150,000円であり、当該事業主がすべて負担しなければならない。
    3. C当該事業主は令和7年度の概算保険料の納付に当たって、口座振替による場合を除き、概算保険料を概算保険料申告書に添えて令和7年7月10日までに納付しなければならない。
    4. D当該事業主が令和7年度の概算保険料の延納を申請して認められた場合、第2期分として納付する概算保険料の額は291,667円となる。
    5. E令和7年度の確定賃金総額が6,000万円となった場合の確定保険料のうち、当該事業主が負担することとなる一般保険料の額は総額720,000円となる。

    正解:D

    解説

    正解はD。継続事業の概算保険料の計算・負担・納期限・延納を、具体的な数値で問う問題である。

    A:正しい。使用従属関係のない請負人への報酬は賃金ではなく、賃金総額に含まれない。

    B:正しい。令和7年度の賃金総額の見込額6,000万円は前年度確定賃金総額5,000万円の100分の50以上100分の200以下なので、概算保険料は前年度の確定賃金総額で算定する(徴収法15条1項1号、徴収則24条1項)。労災保険分は5,000万円×1000分の3=150,000円で、全額事業主負担である。なお全体は5,000万円×1000分の17.5=875,000円で、問題の概算保険料額と一致する。

    C:正しい。継続事業の概算保険料は、保険年度の6月1日から40日以内、すなわち7月10日までに納付する(徴収法15条1項)。

    D:誤り。概算保険料40万円以上なので3期に分けて延納できる(徴収則27条1項)。875,000円÷3=291,666.66…円なので、各期を291,666円とし、割り切れずに残る2円は第1期分に加える取扱いのため、第1期は291,668円、第2期・第3期は各291,666円となる。第2期を291,667円とするのは誤り。

    E:正しい。確定保険料は6,000万円×1000分の17.5=1,050,000円。事業主負担は、労災分6,000万円×1000分の3=180,000円と、雇用保険分(1000分の14.5のうち二事業1000分の3.5を除いた1000分の11を労使折半し、事業主は1000分の5.5に二事業分を加えた1000分の9)6,000万円×1000分の9=540,000円の合計720,000円である。

  20. 問20

    徴収法

    労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A事業主は、労災保険の特別加入の申請、変更届、脱退申請等に関する手続について、労働保険事務組合に処理を委託することができない。
    2. B事業主が処理すべき労働保険事務を代理して処理できる労働保険事務組合とは、労働保険徴収法第33条に規定する団体等であって法人でなければならない。
    3. C政府が労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に対してすべき労働保険料等についての督促状による督促を、直接当該事業主に対してすることなく当該労働保険事務組合に対して行った場合、その効果は当該事業主に対して及ばない。
    4. D督促状による督促があった旨の通知を労働保険事務組合から受けた滞納事業主が、労働保険事務処理規約等に規定する期限までに労働保険料の納付のための金銭を当該労働保険事務組合に交付しなかったために延滞金を徴収される場合、当該労働保険事務組合は延滞金の納付責任を負う。
    5. E労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に使用されていた者が、前年に当該労働保険事務組合の虚偽の届出により労災保険の保険給付を不正に受給していた場合、政府は当該労働保険事務組合に対して、当該不正受給者と連帯し、受給金額の全部又は一部を返還すべきことを命ずることができる。

    正解:E

    解説

    正解はE。労働保険事務組合の業務範囲・資格・通知の効果・責任を問う問題である。

    A:誤り。事務組合が処理できる労働保険事務は、印紙保険料に関する事項を除く労働保険に関する事項であり(徴収法33条1項)、特別加入の申請・変更・脱退の手続も委託できる。

    B:誤り。事務組合になれる団体には、法人でない団体であっても代表者の定めがあるものを含む(徴収法33条1項)。法人に限られない。

    C:誤り。委託事業主に対してすべき労働保険料の納入の告知その他の通知は事務組合に対してすることができ、事務組合に対してした通知は事業主に対してしたものとみなされる(徴収法34条)。督促の効果は事業主に及ぶ。

    D:誤り。事務組合が延滞金の納付責任を負うのは、その徴収について事務組合の責めに帰すべき理由がある場合に限られる(徴収法35条2項)。事業主が期限までに金銭を交付しなかったために生じた延滞金は、事務組合の責任ではない。

    E:正しい。事務組合は労災法12条の3第2項の適用について事業主とみなされる(徴収法35条4項)。事務組合の虚偽の届出等によって不正受給が行われたときは、政府は事務組合に対し、受給者と連帯して徴収金を納付すべきことを命ずることができる(労災法12条の3第2項)。

  21. 問21

    雇用保険法

    任意適用事業に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A公益財団法人(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号)に基づき公益認定を受けた一般財団法人)である事業主の事務所は、雇用保険法第5条第1項の規定にかかわらず任意適用事業であり、厚生労働大臣の認可を受けて適用事業所となることができる。
    2. B年間のうちごく短期間のみ陸上で行われる水産養殖業を営む個人経営事業所が8人の労働者を雇用している場合、雇用保険法第5条第1項の規定にかかわらず当該事業所は任意適用事業であり、厚生労働大臣の認可を受けて適用事業所となることができる。
    3. C雇用保険法附則第2条第1項に定める任意適用事業については、事業主が任意加入の申請をし、厚生労働大臣の認可があった場合、当該認可の翌日にその事業の雇用保険に係る保険関係が成立する。
    4. D常時10人の労働者を雇用する動物の飼育の事業を行う個人経営事業所が、労働者の退職により労働者数が5人未満となった場合、事業の性質上速やかに補充を要し、事業の規模からみて5人未満の状態が一時的であっても、雇用保険法附則第2条第1項に定める任意適用事業となる。
    5. E1週間の所定労働時間が20時間以上である3人の労働者及び1週間の所定労働時間が20時間未満である5人の労働者を雇用する植物の植栽の事業を行う個人経営事業所は、雇用保険法第5条第1項の規定にかかわらず任意適用事業であり、厚生労働大臣の認可を受けて適用事業所となることができる。

    正解:B

    解説

    正解はB。雇用保険の暫定任意適用事業の範囲と保険関係の成立を問う問題である。暫定任意適用事業は、個人経営の農林・畜産・養蚕・水産の事業(船員が雇用される事業を除く)のうち、常時5人以上の労働者を雇用する事業以外のものである(雇保法附則2条1項、雇保令附則2条)。

    A:誤り。法人である事業主の事業は暫定任意適用事業から除かれる(雇保法附則2条1項、雇保令附則2条)。公益財団法人の事務所は当然に適用事業となる。

    B:正しい。年間のうちごく短期間しか行われない事業は、その間に8人を雇用していても「常時5人以上」の労働者を雇用する事業とは扱われず、個人経営の水産養殖業として暫定任意適用事業となる(行政解釈)。

    C:誤り。暫定任意適用事業の保険関係は、厚生労働大臣の認可があった日に成立する(徴収法附則2条1項)。「認可の翌日」ではない。

    D:誤り。労働者数が一時的に5人未満となっても、事業の性質上速やかに補充を要し5人未満の状態が一時的であれば、引き続き当然適用事業として扱われる(行政解釈)。

    E:誤り。「常時5人以上」の判断では、週所定労働時間20時間未満で被保険者とならない者も含めて労働者数を数えるとされ(行政解釈)、この事業所は8人を雇用するので暫定任意適用事業に当たらない。

  22. 問22

    雇用保険法

    雇用保険適用事業所に係る届出に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 なお、本問における事業主は、労働保険事務組合に雇用保険事務を委託しない者である。

    1. A事業の種類を変更した事業所の事業主は、その変更があった事項及び変更の年月日を記載した届書を、その変更があった日の翌日から起算して10日以内に、その事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に提出しなければならない。
    2. B会社の合併を理由として事業所を廃止する事業主は、当該事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に対し、当該事業所の合併に係る契約書等必要な書類を添付して事業所廃止届を提出しなければならない。
    3. C製造販売の事業を行う事業所から製造部門が分離され、それぞれ独立した事業所となって事業所が2つに分割された場合、分割された事業所のうち従たる事業所について、その事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に、事業所の設置を届け出なければならない。
    4. D事業主が行わなければならない事項を行わせる代理人を選任していた事業主が、当該事業所を廃止したことに伴い当該代理人を解任したときは、当該廃止した事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に対して雇用保険代理人解任届を提出しなければならない。
    5. E事業主は、雇用保険事業所非該当承認を受けていた施設が事業拡大により一の事業所と認められるに至った場合、当該事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に事業所設置届を提出しなければならない。

    正解:D

    解説

    正解はD。雇用保険の事業所に関する届出を問う問題で、事業所廃止に伴う代理人の解任では解任届は不要とされる点が決め手である。

    A:正しい。事業主の氏名・住所、事業所の名称・所在地、事業の種類に変更があったときは、変更があった日の翌日から起算して10日以内に所轄公共職業安定所長に届け出る(雇保則142条1項)。

    B:正しい。事業所を廃止したときは、廃止の日の翌日から起算して10日以内に、廃止を証明する書類を添えて事業所廃止届を提出する(雇保則141条1項)。会社の合併による廃止では合併に係る契約書等を添付する(行政解釈)。

    C:正しい。一の事業所が分割されて二つの事業所となった場合は、従たる事業所について事業所設置届を提出する(雇保則141条1項、行政解釈)。

    D:誤り。代理人を選任・解任したときは届書を提出するのが原則だが(雇保則145条2項)、事業所の廃止に伴って代理人を解任する場合は、代理人解任届の提出を要しないとされている(行政解釈)。

    E:正しい。非該当承認を受けていた施設が独立した一の事業所と認められるに至ったときは、事業所設置届を提出する(雇保則141条1項、行政解釈)。

  23. 問23

    雇用保険法

    教育訓練給付金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A一般教育訓練を受け、修了した者に支給される教育訓練給付金の額は、20万円を上限とする。
    2. B特定一般教育訓練を受け、修了した一般被保険者が、当該訓練の受講料と別に支出した検定試験の受験料は、特定一般教育訓練給付金の支給対象である教育訓練経費に含まれない。
    3. C雇用保険法第60条の2に規定する支給要件期間が3年以上である者であって、離職後1年以内に特定一般教育訓練の受講を開始し、修了し、当該教育訓練に係る資格を取得し、かつ、一般被保険者として当該教育訓練を修了した日の翌日から起算して1年以内に雇用された者は、当該教育訓練の受講のために支払った費用の額に100分の80を乗じて得た額の教育訓練給付金を受給することができる。
    4. D専門実践教育訓練を開始した日前において高年齢被保険者の資格を喪失した者は、教育訓練給付金を受給することができない。
    5. E基本手当を受給している期間であっても、他の要件を満たす限り教育訓練支援給付金を受給することができる。

    正解:B

    解説

    正解はB。教育訓練給付金と教育訓練支援給付金の支給率・対象経費・対象者を問う問題である。

    A:誤り。一般教育訓練給付金は受講費用の100分の20で(雇保則101条の2の7第1号)、上限は10万円である。20万円ではない。

    B:正しい。給付の対象となる費用は入学料・受講料(及び一般教育訓練の受講前のキャリアコンサルティング費用)に限られ(雇保則101条の2の6)、検定試験の受験料は含まれない。

    C:誤り。特定一般教育訓練で資格を取得し修了後1年以内に雇用された場合の率は100分の50である(雇保則101条の2の7第3号)。100分の80は、専門実践教育訓練で資格取得・就職し、さらに賃金が一定以上上昇した場合の率である(同条6号)。

    D:誤り。教育訓練給付金の対象者には、一般被保険者又は高年齢被保険者でなくなった日から厚生労働省令で定める期間内に教育訓練を開始した者が含まれる(雇保法60条の2第1項2号)。高年齢被保険者の資格を喪失した者も受給できる。

    E:誤り。基本手当が支給される期間については、教育訓練支援給付金は支給されない(雇保法附則11条の2第4項)。

  24. 問24

    雇用保険法

    次の①から⑤の過程を経た者の⑤の離職時における基本手当に係る受給期間の限度として正しいものはどれか。 なお、当該者は適用事業所X及び適用事業所Yでその他欠勤・休職がなかったものとする。 ① 20歳0月で適用事業所Xに雇用され、初めて一般被保険者となった。 ②育児休業給付金の支給に係る休業を31歳0月から12月間取得し、更に34歳0月から12月間取得し、その後職場復帰した。 ③ 39歳0月で適用事業所Xを離職した。 ④失業等給付を受給せず39歳2月で一般被保険者として適用事業所Yに雇用された。 ⑤適用事業所Yの移転により、通勤することが困難になったため45歳8月で離職した。なお、適用事業所Yの離職時、その者は雇用保険法第22条第2項が定める就職が困難な者でなく、職業に就くことができる状態にあった。

    1. A1年
    2. B1年と30日
    3. C1年と60日
    4. D4年
    5. E4年と30日

    正解:B

    解説

    正解はB。算定基礎期間・特定受給資格者・所定給付日数・受給期間を順に判断する計算問題である。

    算定基礎期間:Xの被保険者期間は20歳0月から39歳0月までの19年。このうち育児休業給付金の支給に係る休業期間(12月×2回=2年)は除かれ(雇保法22条3項4号)、17年となる。X離職からY就職までは2か月で1年以内であり、基本手当も受給していないので通算する(同項1号・2号)。Yは39歳2月から45歳8月までの6年6か月。合計23年6か月で、20年以上となる。

    離職理由:事業所の移転により通勤困難となって離職した者は特定受給資格者である(雇保法23条2項、雇保則35条4号)。就職困難者には当たらない。

    所定給付日数:基準日に45歳以上60歳未満、算定基礎期間20年以上の特定受給資格者は330日である(雇保法23条1項2号イ)。

    受給期間:23条1項2号イに該当する特定受給資格者の受給期間は、基準日の翌日から起算して1年に30日を加えた期間となる(雇保法20条1項3号)。

    よって受給期間の限度は1年と30日で、B。1年と60日は算定基礎期間1年以上で45歳以上65歳未満の就職困難者(所定給付日数360日)の場合である(雇保法20条1項2号)。

  25. 問25

    雇用保険法

    定年退職者等の基本手当に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A60歳の定年に達した後、1年更新の再雇用制度により65歳まで引き続き雇用されることとなった場合に、63歳の更新時に更新を希望せずに退職したときは、受給期間の延長が認められない。
    2. B船員であった被保険者が、労働協約、就業規則等により制度的に勤務延長又は再雇用制度が設けられていない事業所を55歳の定年により離職した場合、当該離職により受給資格を取得したときは、受給期間の延長が認められない。
    3. C定年退職者が離職後一定期間求職の申込みをしないことを希望する場合の受給期間延長の申出は、やむを得ない理由がない限り、当該申出に係る離職の日の翌日から起算して1か月以内にしなければならない。
    4. D定年退職者等の受給期間の延長を5か月認められた者が、当該5か月の延長期間内に負傷により職業に就くことができない期間が連続して90日間ある場合、当該負傷により職業に就くことができない期間に係る受給期間は延長されない。
    5. E受給期間の延長の措置を受けようとする者は、当該延長の申出を郵送により行うことができず、当該者が管轄公共職業安定所に出頭し当該延長を申し出なければならない。

    正解:A

    解説

    正解はA。定年退職者等の受給期間延長(雇保法20条2項)の対象・申出期限・方法を問う問題である。

    A:正しい。延長の対象となる理由は、60歳以上の定年に達したこと、又は60歳以上の定年後に再雇用等で一定期限まで雇用されることとなっている場合にその期限が到来したことである(雇保法20条2項、雇保則31条の2)。期限の途中の63歳で更新を希望せず退職した場合は該当しない。

    B:誤り。船員については、定年の年齢「60歳」が「50歳」と読み替えられる(雇保則144条の2)。55歳の定年による離職は延長の対象となる。

    C:誤り。申出は、離職の日の翌日から起算して2か月以内にしなければならない(雇保則31条の3第2項)。1か月ではない。

    D:誤り。定年退職者等の延長が認められた場合、20条1項の「当該期間内」は「当該合算した期間内」と読み替えられる(雇保法20条2項)。合算した期間内に負傷で引き続き30日以上職業に就けない期間があれば、その日数がさらに加算される。

    E:誤り。申出は受給期間延長等申請書に離職票を添えて管轄公共職業安定所長に提出して行い(雇保則31条の3第1項)、本人の出頭は要件とされていない。郵送や代理人による申出もできる(行政解釈)。

  26. 問26

    雇用保険法

    一般被保険者に係る基本手当の給付制限に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。 ア 基本手当の受給資格者が、公共職業安定所に紹介された事業主の面接を受けて採用通知を受けた直後において、正当な理由がなく就職することを拒否した場合、当該受給資格者はこれを理由に給付制限を受ける。 イ 建築、配線、潜水作業等の専門の知識、技能を有しない基本手当の受給資格者が、公共職業安定所にそれら専門の知識、技能を必要とする職業を紹介され、当該職業に就くことを拒んだ場合、当該受給資格者はこれを理由とした給付制限を受けない。 ウ 公共職業安定所が、離職時より住所又は居所を変更していない基本手当の受給資格者に対し、その者の受けることができる基本手当の額のおおむね100分の100よりも低くなる賃金の手取額である就職先を離職直後に紹介した場合、当該受給資格者が、当該手取額を理由として当該職業に就くことを拒んだとき、当該受給資格者はこれを理由とした給付制限を受けない。 エ 基本手当の受給資格者が、公共職業安定所に紹介された事業所の労働時間が不当であるとして当該職業に就くことを拒んだ場合であって、公共職業安定所が当該事業所の労働時間につき、法令には反しないがその地域の同種の業務において行われるものに比べて不当であると判定したとき、当該受給資格者はこれを理由とした給付制限を受けない。 オ 一時的に2か月間賃金の2分の1が不払いとなったことがある事業所を公共職業安定所から紹介された基本手当の受給資格者が当該事業所の職業に就くことを拒んだ場合、紹介された時点では当該事業所の賃金不払いが解消しており、今後は正当な時期に賃金が支払われることが確実であっても、当該受給資格者はこれを理由とした給付制限を受けない。

    1. A一つ
    2. B二つ
    3. C三つ
    4. D四つ
    5. E五つ

    正解:A

    解説

    正解はA。職業紹介拒否による給付制限(雇保法32条1項)の正当な理由の有無を問う個数問題である。誤っているものはオの一つ。

    ア:正しい。公共職業安定所の紹介により採用通知を受けた直後に、正当な理由なく就職を拒否した場合は、紹介された職業に就くことを拒んだものとして給付制限を受ける(雇保法32条1項、行政解釈)。

    イ:正しい。専門の知識・技能を持たない者に、それを必要とする職業を紹介した場合は、受給資格者の能力からみて不適当と認められ(雇保法32条1項1号)、拒否しても給付制限を受けない。

    ウ:正しい。住所・居所の変更を要しない就職先の賃金の手取額が、基本手当の額のおおむね100分の100より低い場合は、賃金が不当に低いとき(雇保法32条1項3号)に当たるとされ(行政解釈)、拒否しても給付制限を受けない。

    エ:正しい。法令に反しないが地域の同種の業務に比べて労働時間が不当と公共職業安定所が判定した場合は、拒否に正当な理由があるものとされ(雇保法32条1項5号、行政解釈)、給付制限を受けない。

    オ:誤り。過去に一時的な賃金不払いがあっても、紹介時点で解消しており今後確実に支払われる場合は、拒否する正当な理由とはならず(行政解釈)、給付制限を受ける。

    よって誤っているものはオの一つで、A。

  27. 問27

    雇用保険法

    解雇の効力について争いがある場合の基本手当に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A離職を認めず解雇の効力について争っているものの基本手当を受給している受給資格者が、事業所との間で雇用関係は継続するがその間賃金は支払わない旨の裁判上の和解が成立したときは、当該賃金を支払わないとされた間に支給を受けた基本手当を返還しないことができる。
    2. B基本手当を受給している者に対し賃金支払いの仮処分命令により解雇時に遡及して賃金が支払われた場合、当該者は支給を受けた基本手当を返還しなければならない。
    3. C解雇の効力について係争中に事業所が廃止となり、解雇無効の判決が確定しても原状回復の実現が不可能と認められる場合には、判決に先立って行われた資格喪失の確認処分は取り消されない。
    4. DX社を解雇された基本手当の受給資格者が、X社における解雇の効力について係争中に適用事業所であるY社に就職し一般被保険者の資格を取得した。その後、X社に係る解雇無効の判決が確定し、Y社就職中の収入を控除してX社の賃金が支払われた。この場合、Y社就職中の収入の額がX社から支払われた賃金の額以上である期間については、当該者の希望により、いずれか一方の事業主との雇用関係について被保険者資格を取得する。
    5. E労働者が事業主の行った解雇について労働組合法第7条に違反するから無効であると主張し、当該労働者が加入する労働組合が労働委員会に対して不当労働行為の申立てをしその効力を争っている場合においては、救済命令が確定するまでは、他の要件を満たす限り当該労働者は基本手当の支給を受けることができる。

    正解:A

    解説

    正解はA。解雇の効力を争っている者への基本手当(いわゆる条件付給付)の扱いを問う問題である。係争中も他の要件を満たせば基本手当は支給されるが、後に雇用関係が継続していたことになれば原則として返還を要する。

    A:誤り。裁判上の和解で雇用関係が継続することになった場合は、離職がなかったことになり、その間に支給を受けた基本手当は返還しなければならない(行政解釈)。賃金を支払わない旨の和解であっても、返還しないことができるわけではない。

    B:正しい。賃金支払いの仮処分命令により解雇時に遡って賃金が支払われた場合は、支給を受けた基本手当を返還しなければならない(行政解釈)。

    C:正しい。係争中に事業所が廃止され、解雇無効の判決が確定しても原状回復が不可能と認められる場合は、資格喪失の確認処分は取り消されない(行政解釈)。

    D:正しい。他の適用事業に就職して被保険者となった後に解雇無効が確定し、その間の収入を控除してX社の賃金が支払われた場合、Y社での収入額がX社の賃金額以上の期間は、本人の希望によりいずれか一方の事業主との雇用関係について被保険者資格を取得する(行政解釈)。

    E:正しい。不当労働行為として労働委員会で解雇の効力を争っている場合も、救済命令が確定するまでは、他の要件を満たす限り基本手当を受けられる(行政解釈)。

  28. 問28

    徴収法

    労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A継続事業を営む事業主が、当該事業に係る労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託している場合、令和6年11月1日に保険関係が成立した事業について当該保険年度の概算保険料を延納することができる。
    2. B令和7年8月1日に保険関係が成立した一括有期事業について、納付すべき当該保険年度の概算保険料の額が50万円のとき、事業主は当該概算保険料を延納することができない。
    3. C一般保険料の算定基礎となる賃金総額の見込額を500万円として算定し納期限までに概算保険料を納付した後、賃金総額の見込額が1,200万円に増加し、増加後の賃金総額の見込額に基づき算定した概算保険料の額と既に納付した概算保険料との差額が122,500円であるとき、事業主はその差額を所定の期限までに納付書を添えて納付しなければならない。
    4. D事業主が所定の納期限までに概算保険料申告書を提出しなかったため、政府が納付すべき概算保険料の額を決定し、これを当該事業主に対して令和7年8月20日に通知を発した場合、当該事業主の未納額の納期限は同年9月19日となる。
    5. E政府が保険年度の中途で保険料率の改定を行い、雇用保険率が引き上げられた場合、事業主が既に概算保険料の延納を認められているとき、当該事業主は所轄都道府県労働局歳入徴収官が発する追加徴収の通知により指定された納期限までに延納の申請をすることで追加徴収される概算保険料についても延納することができ、その最初の期分の追加徴収される概算保険料の納期限は、当該通知を発した日が令和7年10月20日であった場合、同年11月19日となる。

    正解:E

    解説

    正解はE。概算保険料の延納・増加概算保険料・認定決定・追加徴収の要件と納期限を問う問題である。

    A:誤り。継続事業の延納は、概算保険料40万円以上か事務組合への委託がある場合に認められるが、保険年度の10月1日以降に保険関係が成立した事業は除かれる(徴収則27条1項)。11月1日成立の事業は延納できない。

    B:誤り。一括有期事業は継続事業として扱われる。8月1日成立の事業は成立日から11月30日までを最初の期として延納でき、概算保険料50万円は延納の基準額(40万円。労災保険に係る保険関係のみが成立している事業は20万円)以上なので延納できる(徴収則27条1項)。

    C:誤り。増加概算保険料の納付が必要なのは、増加後の見込額が増加前の100分の200を超え、かつ差額が13万円以上の場合である(徴収法16条、徴収則25条1項)。500万円から1,200万円は100分の200を超えるが、差額122,500円は13万円未満なので納付義務はない。

    D:誤り。認定決定の通知を受けた事業主は、通知を受けた日から15日以内に納付しなければならない(徴収法15条4項)。9月19日(通知の発送から30日後)ではない。

    E:正しい。追加徴収の納期限は、通知を発する日から起算して30日を経過した日である(徴収則26条)。10月20日から起算して30日は11月18日までなので、納期限は11月19日となる。延納が認められている事業主は、通知で指定された期限までに申請すれば追加徴収分も延納でき(徴収則31条)、最初の期分の納期限も11月19日となる。

  29. 問29

    徴収法

    労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 なお、本問において「特例対象者」とは、雇用保険法第22条第5項に規定する者をいう。

    1. A特例納付保険料を納付することができる事業主は、2年以内の算定基礎期間を遡及して計算することが可能な特例対象者を雇用していた事業主である。
    2. B特例納付保険料の納付手続については、労働保険徴収法第15条及び同法第19条に定める概算・確定保険料の納付手続に係る規定は適用されない。
    3. C特例納付保険料の納付の申出は、事業主の氏名又は名称及び住所又は所在地、労働保険番号並びに特例納付保険料の額を記載した書面を都道府県労働局長に提出することによって行わなければならない。
    4. D特例納付保険料の対象事業主が労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している場合、当該労働保険事務組合は特例納付保険料の納付等に係る事務を処理することができる。
    5. E特例納付保険料の納付の申出を行った対象事業主が、特例納付保険料を納付する場合の納付先は、日本銀行又は都道府県労働局収入官吏とされている。

    正解:A

    解説

    正解はA。特例納付保険料(徴収法26条)の対象・手続・納付先を問う問題である。特例納付保険料は、被保険者資格の届出漏れがあり、賃金から雇用保険料が控除されていたことが明らかな者(特例対象者、雇保法22条5項)について、時効で徴収できなくなった保険料を事業主が任意に納付する仕組みである。

    A:誤り。特例対象者は、被保険者となったことの確認があった日の2年前の日より前から保険料控除が明らかな者であり(雇保法22条5項)、2年を超えて遡って算定基礎期間に算入される。特例納付保険料の対象は、徴収権が時効で消滅した一般保険料である(徴収法26条1項)。「2年以内」が誤り。

    B:正しい。特例納付保険料は、勧奨・申出・政府の決定・通知を経て、通知で指定された期限までに納付するもので(徴収法26条2項〜5項)、概算・確定保険料の申告納付の規定(15条・19条)による手続ではない。

    C:正しい。納付の申出は、事業主の氏名又は名称及び住所又は所在地、労働保険番号並びに特例納付保険料の額を記載した書面を都道府県労働局長に提出して行う(徴収則58条)。

    D:正しい。特例納付保険料の納付も労働保険料の納付に関する事項であり、事務組合が処理できる労働保険事務に含まれる(徴収法33条1項)。

    E:正しい。特例納付保険料の納付先は、日本銀行又は都道府県労働局収入官吏とされている(徴収則38条)。

  30. 問30

    徴収法

    労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A概算保険料額の認定決定の処分がなされ、当該処分について不服がある者は、所轄都道府県労働局の労働保険審査官に対して審査請求をすることができる。
    2. B概算保険料額の認定決定の処分がなされ、当該処分に不服がある場合、当該処分があったことを知った日から3か月以内かつ処分の日から1年以内でなければ、取消訴訟を提起することができない。
    3. C概算保険料額の認定決定の処分がなされ、当該処分に不服がある場合、審査請求の裁決を経た後でなければ、当該処分の取消しの訴えを提起することができない。
    4. D当該保険年度の概算保険料を期限内に申告納付したが、誤って当該概算保険料を同一期限内に再度納付したため誤納金が生じた場合、再度納付した日の翌日から起算して2年を経過したとき、当該誤納金の還付を受ける権利は時効によって消滅する。
    5. E概算保険料の確定精算に基づき納付すべき不足額が時効で消滅している場合、納付義務者がその時効による利益を放棄して納付する意思を示したときは、政府はその徴収権を行使できる。

    正解:D

    解説

    正解はD。徴収法上の処分に対する不服申立て・訴訟と、時効を問う問題である。

    A:誤り。労働保険審査官への審査請求は労災保険・雇用保険の保険給付等に関する処分が対象であり、徴収法上の概算保険料の認定決定は対象ではない。認定決定に不服がある者は、行政不服審査法に基づいて審査請求をする。

    B:誤り。取消訴訟の出訴期間は、処分があったことを知った日から6か月以内、かつ処分の日から1年以内である(行政事件訴訟法14条)。3か月ではない。

    C:誤り。徴収法には審査請求前置の定めがなく、審査請求を経ずに直ちに取消訴訟を提起できる(行政事件訴訟法8条1項)。

    D:正しい。労働保険料の還付を受ける権利は、行使することができる時から2年で時効により消滅する(徴収法41条1項)。誤納金の還付請求権は誤納の日の翌日から起算する(行政解釈)。

    E:誤り。国の金銭債権の時効は援用を要せず、また時効の利益を放棄できない(会計法31条1項)。時効で消滅した不足額について、納付義務者が時効の利益を放棄する意思を示しても、政府は徴収できない。

  31. 問31

    労務管理その他の労働に関する一般常識

    我が国の外国人雇用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 なお、本問は、「令和5年外国人雇用実態調査(厚生労働省)」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。

    1. A外国人常用労働者(雇用保険被保険者数5人以上事業所)は約160万人となっており、産業別にみると、「製造業」が最も多くなっている。
    2. B外国人常用労働者の国籍・地域をみると、「中国(香港、マカオ含む)」が最も多く、次いで「ベトナム」、「フィリピン」の順となっている。
    3. C外国人常用労働者の職業をみると、「専門的・技術的職業従事者」が最も多く、次いで「生産工程従事者」、「サービス職業従事者」の順となっている。
    4. D外国人労働者を雇用する理由(事業所計)をみると、「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して」が最も多く、次いで「労働力不足の解消・緩和のため」、「事業所の国際化、多様性の向上を図るため」、「日本人にはない知識、技術の活用を期待して」の順となっている。
    5. E外国人労働者の雇用に関する課題(事業所計)をみると、「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑」が最も多く、次いで「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」、「在留資格によっては在留期間の上限がある」、「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」の順となっている。

    正解:A

    解説

    正解はA。「令和5年外国人雇用実態調査」(厚生労働省)の結果を問う問題である。調査の概況による順位は次のとおり。

    A:正しい。外国人常用労働者(雇用保険被保険者5人以上事業所)は約160万人で、産業別では「製造業」が最も多い。

    B:誤り。国籍・地域別で最も多いのは「ベトナム」であり、次いで「中国(香港、マカオ含む)」、「フィリピン」の順である。中国が最も多いのではない。

    C:誤り。職業別で最も多いのは「生産工程従事者」であり、次いで「専門的・技術的職業従事者」、「サービス職業従事者」の順である。

    D:誤り。雇用する理由で最も多いのは「労働力不足の解消・緩和のため」であり、次いで「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して」、「事業所の国際化、多様性の向上を図るため」、「日本人にはない知識、技術の活用を期待して」の順である。1位と2位が入れ替わっている。

    E:誤り。雇用に関する課題で最も多いのは「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」であり、次いで「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑」、「在留資格によっては在留期間の上限がある」、「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」の順である。1位と2位が入れ替わっている。

  32. 問32

    労務管理その他の労働に関する一般常識

    我が国の障害者雇用に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問は、「令和5年度障害者雇用実態調査(厚生労働省)」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。

    1. A産業別に身体障害者の雇用者数の割合をみると、「製造業」で最も多く雇用され、次いで「卸売業、小売業」となっている。
    2. B企業規模別に身体障害者の雇用者数の割合をみると、「100~499人規模」で最も多く、次いで「1,000人以上規模」、「30~99人規模」、「5~29人規模」の順となっている。
    3. C身体障害者の雇用上の課題がある事業所の割合は6割を超えている。このうち、課題として回答されたものの中では、「会社内に適当な仕事があるか」が最も多く、次いで「職場の安全面の配慮が適切にできるか」、「障害者を雇用するイメージやノウハウがない」の順となっている。
    4. D身体障害者の雇用上の配慮をしている事業所の割合は5割を超えている。このうち、配慮していることとして回答されたものの中では、「休暇を取得しやすくする、勤務中の休憩を認める等休養への配慮」が最も多く、次いで「通院・服薬管理等雇用管理上の配慮」、「短時間勤務等勤務時間の配慮」の順となっている。
    5. E身体障害者を雇用する上で関係機関に期待する取組としては、「具体的な労働条件、職務内容、環境整備などが相談できる窓口の設置」が最も多く、次いで「障害者雇用支援設備・施設・機器の設置のための助成・援助」、「障害者雇用に関する広報・啓発」の順となっている。

    正解:B

    解説

    正解はB。「令和5年度障害者雇用実態調査」(厚生労働省)のうち、身体障害者に関する結果を問う問題である。

    A:正しい。産業別の雇用者数の割合は「製造業」が最も多く、次いで「卸売業、小売業」となっている。

    B:誤り。企業規模別の雇用者数の割合は「1,000人以上規模」が最も多く、次いで「100~499人規模」、「30~99人規模」の順である。「100~499人規模」が最も多いのではない。

    C:正しい。雇用上の課題が「ある」事業所は6割を超え、課題では「会社内に適当な仕事があるか」が最も多く、次いで「職場の安全面の配慮が適切にできるか」、「障害者を雇用するイメージやノウハウがない」の順である。

    D:正しい。雇用上の配慮をしている事業所は5割を超え、配慮の内容では「休暇を取得しやすくする、勤務中の休憩を認める等休養への配慮」が最も多く、次いで「通院・服薬管理等雇用管理上の配慮」、「短時間勤務等勤務時間の配慮」の順である。

    E:正しい。関係機関に期待する取組みは「具体的な労働条件、職務内容、環境整備などが相談できる窓口の設置」が最も多く、次いで「障害者雇用支援設備・施設・機器の設置のための助成・援助」、「障害者雇用に関する広報・啓発」の順である。

  33. 問33

    労務管理その他の労働に関する一般常識

    労働者派遣に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 なお、本問は、「令和4年派遣労働者実態調査(事業所調査)(厚生労働省)」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。

    1. A派遣労働者が就業している事業所について、全労働者数に対する派遣労働者の割合を産業別にみると、「宿泊業、飲食サービス業」の割合が最も高くなっている。
    2. B派遣労働者が就業している事業所について、派遣労働者を就業させる理由(複数回答3つまで)をみると、「雇用管理の負担が軽減されるため」の割合が最も高く、次いで「一時的・季節的な業務量の変動に対処するため」、「欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため」の順となっている。
    3. C派遣労働者が就業している事業所について、全労働者数に対する派遣労働者の割合を事業所規模別にみると、事業所規模が小さいほど高くなっている。
    4. D派遣労働者が就業している事業所について、過去1年間(令和3年10月1日から令和4年9月30日)における派遣労働者に対する教育訓練・能力開発の実施の有無をみると、「実施した」が約3割となっている。
    5. E派遣労働者が就業している事業所について、派遣労働者の不合理な待遇格差の解消に向けた派遣先労働者の待遇情報及び派遣労働者の派遣先における職務の評価情報の提供について、派遣元事業所から情報の提供が求められ、実際に提供したことがある事業所を提供した情報の種類別にみると、「福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)」の割合が最も高く、次いで「派遣先が行った派遣労働者の職務の評価情報(働きぶりや勤務態度)」、「業務に必要な能力を付与するための教育訓練」の順となっている。

    正解:E

    解説

    正解はE。「令和4年派遣労働者実態調査(事業所調査)」(厚生労働省)の結果を問う問題である。

    A:誤り。全労働者数に対する派遣労働者の割合を産業別にみると、最も高いのは「サービス業(他に分類されないもの)」であり、「宿泊業,飲食サービス業」はむしろ最も低い。

    B:誤り。派遣労働者を就業させる理由(複数回答3つまで)で最も高いのは「欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため」であり、次いで「一時的・季節的な業務量の変動に対処するため」、「軽作業、補助的業務等を行うため」の順である。

    C:誤り。全労働者数に対する派遣労働者の割合を事業所規模別にみると、規模が大きいほど高い傾向にあり、「1,000人以上」が最も高い。

    D:誤り。過去1年間に派遣労働者に対する教育訓練・能力開発を「実施した」事業所は約7割であり、約3割ではない。

    E:正しい。派遣元から求められて実際に提供した情報の種類は「福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)」が最も高く、次いで「派遣先が行った派遣労働者の職務の評価情報(働きぶりや勤務態度)」、「業務に必要な能力を付与するための教育訓練」の順である。

  34. 問34

    労務管理その他の労働に関する一般常識

    労働契約法等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A「労働者と使用者との間に当該労働者の職種や業務内容を特定のものに限定する旨の合意がある場合には、使用者は、当該労働者に対し、その個別的同意なしに当該合意に反する配置転換を命ずる権限を有しないと解される。」とするのが、最高裁判所の判例である。
    2. B労働契約法第3条第2項は、労働契約の締結又は変更に当たり、均衡を考慮することが重要であることから、労働契約の締結当事者である労働者及び使用者が、労働契約を締結し、又は変更する場合には、就業の実態に応じて、均衡を考慮すべきものとするという「均衡考慮の原則」を規定しているが、この考慮すべき均衡には、異なる雇用形態間の均衡も含まれる。
    3. C労働契約法第4条第1項は、「使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。」と定めているが、これには労働契約の締結前において使用者が提示した労働条件について説明等をする場面や、労働契約が締結又は変更されて継続している間の各場面が広く含まれるものであり、労働基準法第15条第1項により労働条件の明示が義務付けられている労働契約の締結時より広いものである。
    4. D「労働者が使用者(出向元)との間の雇用契約に基づく従業員たる身分を保有しながら第三者(出向先)の指揮監督の下に労務を提供するという形態の出向(いわゆる在籍出向)が命じられた場合において、その後出向元が、出向先の同意を得た上、右出向関係を解消して労働者に対し復帰を命ずるについては、原則として当該労働者の同意を得る必要があるものと解すべきである。」とするのが、最高裁判所の判例である。
    5. E労働契約法第18条第1項に基づき、有期契約労働者が無期労働契約への転換を申し込むことができる権利(以下本肢において「無期転換申込権」という。)が生じている有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に無期転換申込権を行使しなかった場合であっても、引き続き有期労働契約が更新された場合は、新たに無期転換申込権が発生し、有期契約労働者は、更新後の有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、無期転換申込権を行使することが可能である。

    正解:D

    解説

    正解はD。労働契約法の原則規定・無期転換と、配転・出向に関する最高裁判例を問う問題で、在籍出向からの復帰命令に労働者の同意は不要とする判例が決め手である。

    A:正しい。職種や業務内容を特定のものに限定する合意がある場合、使用者は労働者の個別的同意なしに当該合意に反する配置転換を命ずる権限を有しないとするのが最高裁判所の判例である。

    B:正しい。労働契約は就業の実態に応じて均衡を考慮しつつ締結・変更すべきものとされ(労契法3条2項)、ここでいう均衡には異なる雇用形態間の均衡も含まれる(行政解釈)。

    C:正しい。使用者は労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について労働者の理解を深めるようにするものとされ(労契法4条1項)、締結前の説明の場面や契約継続中の各場面も含まれ、労基法15条1項の明示義務がある締結時より広い(行政解釈)。

    D:誤り。在籍出向において、出向元が出向先の同意を得て出向関係を解消し労働者に復帰を命ずるについては、特段の事由のない限り、当該労働者の同意を得る必要はないとするのが最高裁判所の判例である。

    E:正しい。無期転換申込権は、現に締結している有期労働契約の期間満了日までに申し込むものであり(労契法18条1項)、行使しないまま契約が更新されれば、更新後の契約期間中に新たに申込権が発生し行使できる(行政解釈)。

  35. 問35

    労務管理その他の労働に関する一般常識

    社会保険労務士法令に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A社会保険労務士法第2条第1項第1号の2にいう「提出に関する手続を代わつてする」は、法律行為の代理のことをいい、本来事業主が意思決定すべき事項にも及ぶため、代理業務、即ち申告、申請、不服申立等について事業主その他の本人から委任を受けて代理人として事務を処理することが含まれる。
    2. B特定社会保険労務士は、男女雇用機会均等法に定める調停手続において紛争当事者の代理人としての業務を行うことができ、調停委員や相手方の当事者への説明、主張、陳述、答弁等のほか、調停案の受諾、拒否もその業務に含まれる。
    3. C社会保険労務士について、社会保険労務士法第25条の2(不正行為の指示等を行った場合の懲戒)や同法第25条の3(一般の懲戒)に規定する行為又は事実があると認めたときは、社会保険労務士会の会員、社会保険労務士会又は全国社会保険労務士会連合会に限り、厚生労働大臣に対し、当該社会保険労務士の氏名及びその行為又は事実を通知し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。
    4. D社会保険労務士法人の社員には、社会保険労務士でない者もなることができる。
    5. E社会保険労務士法人の社員は、第三者のためにその属する社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行ってはならないが、自己のためにこれを行うことはできる。

    正解:B

    解説

    正解はB。社会保険労務士の業務範囲・懲戒事由の通知・社会保険労務士法人を問う問題である。

    A:誤り。2条1項1号の2の「提出に関する手続を代わつてする」(提出代行)は事実行為であり、本来事業主が意思決定すべき事項には及ばない(行政解釈)。申請・不服申立て等について本人から委任を受け代理人として処理するのは、同項1号の3の事務代理である(社労士法2条1項1号の3)。

    B:正しい。男女雇用機会均等法の調停手続で紛争当事者を代理することは紛争解決手続代理業務であり(社労士法2条1項1号の4)、特定社会保険労務士に限り行うことができる(同条2項)。調停委員等への説明・主張・陳述のほか、調停案の受諾・拒否も含まれる(行政解釈)。

    C:誤り。懲戒事由に当たる行為又は事実があると認めたときは、「何人も」厚生労働大臣に通知し、適当な措置をとるべきことを求めることができる(社労士法25条の3の2第2項)。会員・社労士会・連合会に限られない。

    D:誤り。社会保険労務士法人の社員は、社会保険労務士でなければならない(社労士法25条の8第1項)。

    E:誤り。社員は、自己若しくは第三者のためにその社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行ってはならない(社労士法25条の18第1項)。自己のためであっても禁止される。

  36. 問36

    社会保険に関する一般常識

    社会保険制度の被保険者及び給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A国民健康保険において、国民健康保険法第54条の4第1項によると、市町村(特別区を含む。以下本問において同じ。)及び国民健康保険組合は、被保険者が療養の給付(保険外併用療養費に係る療養及び特別療養費に係る療養を含む。)を受けるため病院又は診療所に移送されたとき、当該被保険者の属する世帯の世帯主又は組合員に対する移送費は、支給しない。
    2. B後期高齢者医療制度において、高齢者医療確保法第54条第1項によると、被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格の取得及び喪失に関する事項その他必要な事項を市町村に届け出なければならない。
    3. C介護保険において、65歳以上の被保険者に関しては、介護保険法第9条によると、市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者(生活保護法による保護を受けている世帯(その保護を停止されている世帯を除く。)に属する者を除く。)は、当該市町村が行う介護保険の被保険者とする。
    4. D船員保険において、船員保険法第94条によると、行方不明手当金の額は、1日につき、被保険者が行方不明となった当時の標準報酬日額の100分の80に相当する金額とする。
    5. E国民健康保険において、国民健康保険法第58条第1項及び第2項によると、市町村及び国民健康保険組合は、被保険者の出産及び死亡に関しては、条例又は規約の定めるところにより、出産育児一時金の支給又は葬祭費の支給若しくは葬祭の給付を行うものとする。これらの保険給付のほか、条例又は規約の定めるところにより、傷病手当金の支給も行うことができる。

    正解:E

    解説

    正解はE。国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険・船員保険の被保険者と給付を条文どおりに問う問題で、国保の出産育児一時金・葬祭費(必須の給付)と傷病手当金(任意給付)の区別が決め手。

    A:誤り。市町村及び組合は、被保険者が療養の給付を受けるため病院又は診療所に移送されたときは、世帯主又は組合員に対し移送費を支給する(国保法54条の4第1項)。「支給しない」が誤り。

    B:誤り。届出先は市町村ではなく後期高齢者医療広域連合である(高齢者医療確保法54条1項)。

    C:誤り。第1号被保険者は「市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者」であり、生活保護を受けている世帯に属する者を除く定めは無い(介護保険法9条1号)。医療保険加入者であることを要件とするのは第2号被保険者である(同条2号)。

    D:誤り。行方不明手当金の額は、1日につき、行方不明となった当時の標準報酬日額に相当する金額である(船員保険法94条)。100分の80ではない。

    E:正しい。出産育児一時金の支給と葬祭費の支給又は葬祭の給付は条例・規約の定めにより行うものとされ(国保法58条1項)、これらのほか傷病手当金の支給等を行うことができる(同条2項)。

  37. 問37

    社会保険に関する一般常識

    確定拠出年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A確定拠出年金法第62条第2項によると、個人型年金の老齢給付金の受給権を有する者であった者は、個人型年金加入者となることができる。
    2. B国民年金基金連合会(以下本問において「連合会」という。)は、少なくとも10年ごとに、個人型年金加入者数の動向、企業型年金の実施の状況、国民生活の動向等を勘案し、個人型年金規約の内容について再検討を加え、必要があると認めるときは、個人型年金規約を変更しなければならない。
    3. C個人型年金の給付は、老齢給付金、遺族給付金及び死亡一時金とする。
    4. D確定拠出年金法第60条第1項及び第3項によると、連合会は、政令で定めるところにより、運営管理業務を確定拠出年金運営管理機関に委託することができる。また、確定拠出年金運営管理機関は、政令で定めるところにより、当該委託を受けた運営管理業務の一部を他の確定拠出年金運営管理機関に再委託することができる。
    5. E個人型年金加入者期間を計算する場合には、月によるものとし、個人型年金加入者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。

    正解:E

    解説

    正解はE。個人型年金の加入資格・規約の見直し・給付の種類・運営管理業務の委託・加入者期間を確定拠出年金法の条文で問う問題。加入者期間の計算方法(63条)が決め手。

    A:誤り。個人型年金の老齢給付金の受給権を有する者「又はその受給権を有する者であった者」は、個人型年金加入者としない(確定拠出年金法62条2項1号)。

    B:誤り。連合会が個人型年金規約に再検討を加えるのは「少なくとも5年ごと」である(同法59条)。

    C:誤り。個人型年金の給付には企業型年金の給付の規定が準用され(同法73条、28条)、老齢給付金・障害給付金・死亡一時金である。遺族給付金という給付は無い。

    D:誤り。連合会は運営管理業務を確定拠出年金運営管理機関に「委託しなければならない」(同法60条1項)。「委託することができる」は企業型年金の事業主の規定(同法7条1項)である。後半の再委託(同法60条3項)は正しい。

    E:正しい。個人型年金加入者期間は月によって計算し、資格を取得した月から喪失した月の前月までを算入する(同法63条1項)。

  38. 問38

    社会保険に関する一般常識

    高齢者医療確保法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A後期高齢者医療広域連合、都道府県及び市町村(特別区を含む。)は、後期高齢者医療に関する収入及び支出について、政令で定めるところにより、特別会計を設けなければならない。
    2. B後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者は、後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する75歳以上の者のみとされる。
    3. C高齢者医療確保法第109条によると、普通徴収の方法によって徴収する保険料の納期は、後期高齢者医療広域連合の条例で定める。
    4. D高齢者医療確保法第111条によると、後期高齢者医療広域連合は、条例で定めるところにより、特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができる。
    5. E後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者は、当該後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有しなくなった日に他の後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有するに至ったときは、その日の翌日から、その資格を喪失する。

    正解:D

    解説

    正解はD。後期高齢者医療の特別会計・被保険者の範囲・普通徴収の納期・保険料の減免・資格喪失の時期を問う問題。保険料の減免・徴収猶予は広域連合の条例で定める点(111条)が決め手。

    A:誤り。特別会計を設けなければならないのは後期高齢者医療広域連合及び市町村であり、都道府県は含まれない(高齢者医療確保法49条)。

    B:誤り。75歳以上の者のほか、区域内に住所を有する65歳以上75歳未満の者で、政令で定める程度の障害の状態にある旨の広域連合の認定を受けたものも被保険者となる(同法50条2号)。

    C:誤り。普通徴収の方法によって徴収する保険料の納期は「市町村の条例」で定める(同法109条)。

    D:正しい。広域連合は、条例で定めるところにより、特別の理由がある者に対し保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができる(同法111条)。

    E:誤り。区域内に住所を有しなくなった日に他の広域連合の区域内に住所を有するに至ったときは、「その日」から資格を喪失する(同法53条1項ただし書)。翌日からとなるのは原則(同項本文)の場合である。

  39. 問39

    社会保険に関する一般常識

    社会保険審査官及び社会保険審査会法に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。 ア 社会保険審査官及び社会保険審査会法第4条第2項によると、被保険者若しくは加入員の資格、標準報酬又は標準給与に関する処分に対する審査請求は、原処分があった日の翌日から起算して3年を経過したときは、することができない。 イ 審査請求人は、決定があるまでは、いつでも審査請求を取り下げることができる。審査請求の取下げは、文書でしなければならない。 ウ 審査請求人が、審査請求の決定前に死亡したときは、承継人が、審査請求の手続を受け継ぐものとする。 エ 社会保険審査会(以下本問において「審査会」という。)の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。審査会は、委員長及び委員5人をもって組織される。 オ 審査会の審理は、公開しなければならない。ただし、当事者の申立があったときは、公開しないことができる。

    1. A一つ
    2. B二つ
    3. C三つ
    4. D四つ
    5. E五つ

    正解:A

    解説

    正解はA。社会保険審査官及び社会保険審査会法の審査請求期間・取下げ・手続の受継・審査会の組織・審理の公開を問う個数問題。資格・標準報酬に関する処分の審査請求ができなくなる期間が「2年」である点が決め手。

    ア:誤り。被保険者若しくは加入員の資格、標準報酬又は標準給与に関する処分に対する審査請求は、原処分があった日の翌日から起算して「2年」を経過したときはすることができない(社審法4条2項)。3年ではない。

    イ:正しい。審査請求人は決定があるまではいつでも審査請求を取り下げることができ、取下げは文書でしなければならない(同法12条の2)。

    ウ:正しい。審査請求人が決定前に死亡したときは、承継人が審査請求の手続を受け継ぐ(同法12条)。

    エ:正しい。委員長及び委員は独立してその職権を行い(同法20条)、審査会は委員長及び委員5人をもって組織する(同法21条)。

    オ:正しい。審理は公開しなければならないが、当事者の申立てがあったときは公開しないことができる(同法37条)。なお、審査会の合議は公開しない(同法42条)。

    よって誤っているものはアの一つで、A。

  40. 問40

    社会保険に関する一般常識

    社会保険制度に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。 ア いわゆる団塊ジュニア世代の全員が65歳以上となる令和22(2040)年頃を見通すと、85歳以上人口が急増し、認知機能が低下した高齢者や要介護高齢者が更に増加する一方、生産年齢人口が急減することが見込まれている。さらに、都市部と地方では高齢化の進み方が大きく異なるなど、これまで以上にそれぞれの地域の特性や実情に応じた対応が必要となる中で、このような社会構造の変化や高齢者のニーズに応えるために、「地域包括ケアシステム」の深化・推進を目指している。 イ 「地域包括ケアシステム」とは、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制のことをいい、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要となる。なお、介護保険法の規定により、要介護認定を受けようとする被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、申請書に被保険者証を添付して市町村に申請をしなければならないが、この場合において、当該被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、地域包括支援センターに当該申請に関する手続を代わって行わせることができるとされている。 ウ ケアマネジャー(介護支援専門員)とは、厚生労働省令で定める実務の経験を有する者であって、厚生労働大臣が行う試験に合格し、かつ、都道府県知事が厚生労働省令で定めるところにより行う研修の課程を修了したものであって、厚生労働省令で定めるところにより介護保険事業を行う市町村及び特別区の登録を受け、介護支援専門員証の交付を受けたものである。なお、介護支援専門員証の有効期間は、原則5年とされている。 エ 出産育児一時金に要する費用は、原則として現役世代の被保険者が自ら支払う保険料で負担することとされているが、後期高齢者医療制度の創設前は、高齢者世代も、出産育児一時金を含め、こどもの医療費について負担していた。また、生産年齢人口が急激に減少していく中で、少子化をめぐって、これまで様々な対策を講じてきたが、未だに少子化の流れを変えるには至っていない状況にある。このため、今般、子育てを社会全体で支援する観点から、後期高齢者医療制度が出産育児一時金に要する費用の一部を支援する仕組みを令和6(2024)年度から導入することとした。 オ 核家族化の進行や人口の都市集中、将来の高齢化社会への展望等を背景に、全国民を対象とした老後の所得保障の必要性が高まり、昭和34(1959)年に国民年金法が制定された。これに基づき、無拠出制の福祉年金制度は昭和34(1959)年11月から、拠出制の国民年金制度は昭和36(1961)年4月から実施され、「国民皆年金」が実現することとなった。さらに平成元(1989)年改正における基礎年金の導入により、財政基盤の安定化のほか、基礎年金部分についての給付と負担の公平化、重複した給付の整理が図られた。

    1. A(アとイ)
    2. B(アとウ)
    3. C(イとエ)
    4. D(ウとオ)
    5. E(エとオ)

    正解:D

    解説

    正解はD。地域包括ケアシステム・要介護認定の申請代行・介護支援専門員・出産育児一時金への支援・国民皆年金の沿革を問う問題。介護支援専門員の試験と登録の主体、基礎年金を導入した改正の年を見抜けるかが決め手。

    ア:正しい。2040年頃を見通した人口構造の変化と地域包括ケアシステムの深化・推進は、政府の政策資料で示されている方向であり、公式正答でも正しい記述とされる。

    イ:正しい。後半の要介護認定の申請と、地域包括支援センターに申請手続を代わって行わせることができる点は介護保険法27条1項のとおりである。

    ウ:誤り。介護支援専門員実務研修受講試験は都道府県知事が行い、登録も都道府県知事が行う(介護保険法69条の2第1項)。「厚生労働大臣が行う試験」「市町村及び特別区の登録」が誤り。介護支援専門員証の有効期間が5年である点(同法69条の7第3項)は正しい。

    エ:正しい。後期高齢者医療制度が出産育児一時金に要する費用の一部を支援する仕組み(出産育児支援金)は令和6年度から導入された。

    オ:誤り。国民年金法の制定(昭和34年)、無拠出制の福祉年金(昭和34年11月)と拠出制年金(昭和36年4月)の実施は正しいが、基礎年金を導入したのは昭和60年改正(昭和61年4月施行)であり、平成元年改正ではない。

    よって誤っているものはウとオで、D。

  41. 問41

    健康保険法

    健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A健康保険組合は、議決機関として組合会が置かれている。組合会議員の定数は偶数で、その半数は設立事業所の事業主及び設立事業所に使用される者のうちから選定し、他の半数は、被保険者である組合員において互選する。組合会議員の任期は5年とし、補欠の組合会議員の任期は、前任者の残任期間とする。
    2. B被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した日後6か月以内に出産したときは、出産した日の翌日から起算して5年を経過する日までの間、被保険者として受けることができるはずであった出産育児一時金の支給を最後の保険者から受けることができる。
    3. C日本年金機構の理事長は、収納職員が交替するときは、年金事務所ごとに機構の職員のうちから検査員を命じて、当該収納職員の帳簿金庫を検査させなければならない。また、前任の収納職員は、交替の日をもって、その月分の保険料等収納簿の締切りをし、健康保険法の規定による検査を受けた上、引継ぎの年月日を記入し、後任の収納職員とともに記名して認印を押さなければならない。
    4. D日雇特例被保険者は、介護保険第2号被保険者に該当しなくなったとき又は該当することになったときは、5日以内に、厚生労働大臣又は指定市町村長に日雇特例被保険者手帳を提出して、その交換を申請しなければならない。なお、介護保険適用除外に該当、非該当の届出は、当該申請と同時に行うものとされている。
    5. E日雇拠出金の規定により日雇関係組合から徴収する日雇拠出金の額は、当該年度の概算日雇拠出金の額とする。ただし、前年度の概算日雇拠出金の額が前年度の確定日雇拠出金の額を超えるときは、当該年度の概算日雇拠出金の額からその超える額を控除して得た額とするものとし、前年度の概算日雇拠出金の額が前年度の確定日雇拠出金の額に満たないときは、当該年度の概算日雇拠出金の額にその満たない額を加算して得た額とする。

    正解:E

    解説

    正解はE。健康保険組合の組合会議員の任期、資格喪失後の出産育児一時金、収納職員の交替、日雇特例被保険者手帳の交換、日雇拠出金の額を問う問題。日雇拠出金の精算方法(174条)が条文どおりである点が決め手。

    A:誤り。組合会議員の任期は「3年を超えない範囲内で規約で定める期間」である(健保令6条)。5年ではない。補欠の組合会議員の任期が前任者の残任期間である点は正しい。

    B:誤り。資格喪失日の前日まで引き続き1年以上被保険者であった者が資格喪失後6月以内に出産したときは、最後の保険者から出産育児一時金を受けられる(健保法106条、104条)。しかし「出産日の翌日から5年」という期間の定めは無く、保険給付を受ける権利は行使できる時から2年で時効消滅する(同法193条1項)。

    C:誤り。前任の収納職員は「交替の日の前日」をもってその月分の保険料等収納簿の締切りをする(健保則158条の27第1項)。前半の帳簿金庫の検査は同則158条の26第1項のとおりである。

    D:誤り。介護保険第2号被保険者に該当しなくなったとき(健保則116条1項)も、該当することとなったとき(同条3項で準用)も、手帳の交換の申請は「直ちに」しなければならない。「5日以内」が誤り。届出を申請と同時に行う点は正しい。

    E:正しい。日雇関係組合から徴収する日雇拠出金の額は、当該年度の概算額に、前年度の概算額と確定額の差額を加減した額とする(健保法174条)。

  42. 問42

    健康保険法

    健康保険法に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。 ア 高齢受給者証の交付を受けた被保険者が任意継続被保険者又は特例退職被保険者であるときは、当該被保険者は、高齢受給者証の有効期限に至ったときは、14日以内にこれを保険者に返納しなければならない。 イ 健康保険組合は、被保険者が介護保険第2号被保険者に該当していない場合であっても、規約で定めるところにより、当該被保険者に介護保険第2号被保険者である被扶養者がある場合には、当該被保険者(「特定被保険者」という。)に関する保険料額を一般保険料額と介護保険料額との合算額とすることができる。 ウ 厚生労働大臣は、保険給付に関して必要があると認めるときは、事業主に対して検査等を行うことができる。この検査等の権限に係る事務は、日本年金機構に行わせるものとされており、全国健康保険協会(以下「協会」という。)には行わせるものとされていない。 エ 初めて公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律に規定する「特定適用事業所」となった適用事業所の事業主は、当該事実があった日から5日以内に、①適用事業所の名称及び所在地、②特定適用事業所となった年月日、③事業主が法人であるときは法人番号を記載した届書を厚生労働大臣又は健康保険組合に提出しなければならない。 オ 患者申出療養とは、高度の医療技術を用いた療養であって、当該療養を受けようとする者の申出に基づき、評価療養の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるものをいう。

    1. A(アとイ)
    2. B(アとウ)
    3. C(イとエ)
    4. D(ウとエ)
    5. E(エとオ)

    正解:B

    解説

    正解はB。高齢受給者証の返納、特定被保険者、事業主に対する検査の事務の委任先、特定適用事業所の届出、患者申出療養の定義を問う問題。返納期限と、保険給付に関する検査の事務が協会に委任されている点が決め手。

    ア:誤り。任意継続被保険者が高齢受給者証を保険者に返納する期限は「5日以内」である(健保則52条3項)。14日以内ではない。

    イ:正しい。健康保険組合は、規約で定めるところにより、介護保険第2号被保険者である被扶養者がある被保険者(特定被保険者)の保険料額を一般保険料額等と介護保険料額との合算額とすることができる(健保法附則7条1項)。

    ウ:誤り。198条1項の命令・質問・検査の権限に係る事務のうち、保険給付に関するもの(健康保険組合に係る場合を除く)は協会に行わせる(同法204条の7第1項)。協会には行わせないとする点が誤り。

    エ:正しい。初めて特定適用事業所となった事業主は、当該事実があった日から5日以内に、名称及び所在地、特定適用事業所となった年月日、法人番号を記載した届書を提出する(健保則23条の2)。

    オ:正しい(公式正答による)。患者申出療養は、高度の医療技術を用いた療養で、患者の申出に基づき、給付の対象とすべきか否かについて評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるものである(健保法63条2項4号)。なお条文は「前項の給付(療養の給付)の対象とすべきもの」としており、本肢の「評価療養の給付」という表現は条文と異なる。

    よって誤っているものはアとウで、B。

  43. 問43

    健康保険法

    健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A日雇特例被保険者又はその被扶養者は、保険者より交付された特別療養費受給票を保険医療機関等に提出して、特別療養費の支給を受けることができる。特別療養費受給票は、特別療養費の支給を受けることのできる日雇特例被保険者で、初めて特別療養費の支給に係る日雇特例被保険者手帳の交付を受けた日の属する月の初日から起算して3か月(月の初日に日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者については、2か月)を経過していない者等の申請により、保険者が交付する。
    2. B偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者から保険者がその保険給付の価額の全部又は一部を徴収する場合において、事業主が虚偽の報告若しくは証明をし、又は保険医療機関において診療に従事する保険医若しくは主治の医師が、保険者に提出されるべき診断書に虚偽の記載をしたため、その保険給付が行われたものであるときは、保険者は、当該事業主、保険医又は主治の医師に対し、保険給付を受けた者に連帯して徴収金を納付すべきことを命ずることができる。
    3. C日雇特例被保険者を使用する事業主(日雇特例被保険者が1日において2以上の事業所に使用される場合においては、その者を使用するそれぞれの事業主)は、日雇特例被保険者を使用する日ごとに、その者及び自己の負担すべきその日の標準賃金日額に係る保険料を納付する義務を負う。事業主は、この規定により保険料を納付したときは、日雇特例被保険者の負担すべき保険料額に相当する額をその者に支払う賃金から控除することができる。この場合においては、事業主は、その旨を日雇特例被保険者に告げなければならない。
    4. D事業主は、被保険者の資格の取得及び喪失の確認又は標準報酬(標準報酬月額及び標準賞与額をいう。)の決定若しくは改定の通知があったときは、速やかに、これを被保険者又は被保険者であった者に通知しなければならない。
    5. E保険料等の賦課若しくは徴収の処分又は滞納処分に不服のある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。この不服申立てに対する審査は一審制で行われる。

    正解:C

    解説

    正解はC。日雇特例被保険者の特別療養費・保険料の納付義務、不正利得の連帯納付、資格得喪の通知、保険料等の処分に対する不服申立てを問う問題。1日に2以上の事業所に使用される日雇特例被保険者の保険料を納付するのは「初めにその者を使用する事業主」である点が決め手。

    A:正しい。初めて日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者で、その月の初日から起算して3月(月の初日に交付を受けた者は2月)を経過しないもの等は特別療養費の対象となり(健保法145条1項)、受給票はこれらの者の申請により保険者が交付する(同条5項)。

    B:正しい。事業主の虚偽の報告・証明、又は保険医・主治の医師の診断書への虚偽記載により保険給付が行われたときは、保険者はこれらの者に連帯納付を命ずることができる(同法58条2項)。

    C:誤り。1日において2以上の事業所に使用される場合に保険料を納付する義務を負うのは「初めにその者を使用する事業主」である(同法169条2項)。「それぞれの事業主」ではない。賃金からの控除とその告知(同条6項)は正しい。

    D:正しい。事業主は、資格の得喪の確認又は標準報酬の決定・改定の通知があったときは、速やかに被保険者又は被保険者であった者に通知しなければならない(同法49条2項)。

    E:正しい。保険料等の賦課・徴収の処分又は滞納処分に不服がある者は社会保険審査会に審査請求をすることができ(同法190条)、社会保険審査官を経ない一審制である。

  44. 問44

    健康保険法

    健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A被保険者は、介護保険第2号被保険者に該当しない被保険者又はその被扶養者が介護保険第2号被保険者に該当するに至ったときは、遅滞なく、所定の事項を記載した届書を事業主を経由して厚生労働大臣又は健康保険組合に届け出なければならない。ただし、被保険者又はその被扶養者が40歳に達したときは、この限りでない。
    2. B保険者等は、被保険者の報酬月額が、定時決定、資格取得時決定、育児休業等終了時改定若しくは産前産後休業終了時改定の規定によって算定することが困難であるとき、又は定時決定、資格取得時決定、随時改定、育児休業等終了時改定若しくは産前産後休業終了時改定の規定によって算定した額が著しく不当であると認めるときは、これらの規定にかかわらず、その算定する額を当該被保険者の報酬月額とする。上記の場合において、保険者が健康保険組合であるときは、算定方法は規約で定めなければならない。
    3. C事業主は、健康保険法の規定に基づいて事業主がしなければならない事項につき代理人に処理させるとき、又は代理人を解任したときは、速やかに、文書でその旨を厚生労働大臣又は健康保険組合に届け出なければならない。
    4. D政府は、当該年度の健康勘定に前年度の決算上の剰余金が繰り入れられたときは、遅滞なく、協会に対し、当該繰り入れられた額(保険料等に係るもの以外のものとして厚生労働大臣が定めるものを除く。)を保険料等交付金として交付する。
    5. E訪問看護療養費の額は、当該指定訪問看護につき指定訪問看護に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定めるところにより算定した費用の額から、その額に健康保険法第74条第1項各号に掲げる場合の区分に応じ、同項各号に定める割合を乗じて得た額(療養の給付に係る同項の一部負担金について第75条の2第1項各号の措置が採られるべきときは、当該措置が採られたものとした場合の額)を控除した額とする。

    正解:C

    解説

    正解はC。介護保険第2号被保険者に該当した場合の届出、報酬月額の算定の特例、事業主の代理人の届出、保険料等交付金、訪問看護療養費の額を問う問題。代理人選任の届出が「あらかじめ」である点が決め手。

    A:正しい。介護保険第2号被保険者に該当するに至ったときは遅滞なく届け出るが、40歳に達したときは届出を要しない(健保則41条1項)。

    B:正しい。算定が困難な場合(定時決定・資格取得時決定・育児休業等終了時改定・産前産後休業終了時改定)と、算定額が著しく不当な場合(これらに随時改定を加えたもの)は保険者等が算定する額を報酬月額とし、保険者が健康保険組合であるときは算定方法を規約で定める(健保法44条1項・2項)。

    C:誤り。事業主は、代理人に処理させようとするとき又は代理人を解任したときは、「あらかじめ」文書でその旨を届け出なければならない(健保則35条)。「速やかに」ではない。

    D:正しい。健康勘定に前年度の決算上の剰余金が繰り入れられたときは、政府は遅滞なく協会に対し、その額を保険料等交付金として交付する(健保令44条の7第2項)。

    E:正しい。訪問看護療養費の額は、厚生労働大臣が定める費用の額から、74条1項各号の割合を乗じた額(災害等による一部負担金の措置が採られるべきときは措置後の額)を控除した額である(健保法88条4項)。

  45. 問45

    健康保険法

    健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A資格確認書の交付を受けている任意継続被保険者が資格を喪失したときは、事業主は遅滞なく資格確認書を回収して、5日以内にこれを保険者に返納しなければならない。
    2. B療養費の支給対象となる柔道整復師の施術において、脱臼又は骨折(不全骨折を含む。)に対する施術については、医師の同意を得たものでなければならない。また、応急手当をする場合はこの限りではないが、応急手当後の施術は医師の同意が必要である。医師の同意は個々の患者が医師から得てもよく、また、施術者が直接医師から得てもよいが、いずれの場合であっても医師の同意は、患者を診察した上で書面により与えられることを要する。
    3. C保険医療機関等である病院又は診療所は、食事療養に要した費用についてその支払を受ける際、当該支払をした被保険者が請求した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、領収証を交付しなければならない。この領収証には、入院時食事療養費に係る療養について被保険者から支払を受けた費用の額のうち食事療養標準負担額とその他の費用の額とを区分して記載しなければならない。
    4. D厚生労働大臣は、保険医療機関の指定の申請があった場合において、当該申請に係る病床の種別に応じ、医療法第7条の2第1項に規定する地域における保険医療機関の病床数が、その指定により同法第30条の4第1項に規定する医療計画において定める基準病床数を勘案して厚生労働大臣が定めるところにより算定した数を超えることになると認める場合(その数を既に超えている場合を含む。)であって、当該病院又は診療所の開設者又は管理者が同法第30条の11の規定による都道府県知事の勧告を受け、これに従わないときは、その申請に係る病床の全部又は一部を除いて、その指定を行うことができる。
    5. E被扶養者が肺癌により療養の給付を受けている間に被保険者が死亡した場合、被扶養者の概念を死亡当時そのものによって生計を維持していたものと解釈して、被保険者の死亡後も療養の給付は認められる。

    正解:D

    解説

    正解はD。資格確認書の返納、柔道整復の施術と医師の同意、食事療養の領収証、保険医療機関の指定における病床の除外、被保険者死亡後の被扶養者を問う問題。病床の全部又は一部を除いて指定できる場合(65条4項)が決め手。

    A:誤り。任意継続被保険者が資格を喪失したときは、事業主ではなく被保険者本人が5日以内に資格確認書を保険者に返納する(健保則51条2項)。

    B:誤り。脱臼・骨折の施術に医師の同意が必要であること、同意は患者・施術者のどちらが得てもよいことは行政解釈のとおりだが、同意は書面に限らず口頭でもよいとされている。「書面により」が誤り。

    C:誤り。病院又は診療所は、食事療養に要した費用の支払を受ける際、被保険者の請求の有無にかかわらず領収証を交付しなければならない(健保法85条8項)。食事療養標準負担額とその他の費用の額を区分して記載する点(健保則62条)は正しい。

    D:正しい。病床数が基準病床数を勘案して算定した数を超えることになる場合で、開設者又は管理者が医療法30条の11の都道府県知事の勧告に従わないときは、病床の全部又は一部を除いて指定を行うことができる(健保法65条4項2号)。

    E:誤り。被保険者が死亡すると、その者により生計を維持されていた者は被扶養者でなくなるため、死亡後の療養について保険給付は認められないとするのが行政解釈である。

  46. 問46

    健康保険法

    健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A国庫は、予算の範囲内において、健康保険事業の執行に要する費用のうち、特定健康診査等の実施に要する費用の全部を補助することができる。
    2. B健康保険法における被扶養者とは、日本国内に住所を有するもの又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者その他健康保険法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者はこの限りではない。厚生労働省令で定める者とは、日本の国籍を有しない者であって、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)第7条第1項第2号の規定に基づく入管法別表第1の5の表の下欄に掲げる活動として法務大臣が定める活動のうち、本邦において2年を超えない期間滞在し、観光、保養その他これらに類似する活動を行うものをいう。
    3. C被保険者が、事業主夫婦の寝室に侵入し、就寝中の両人及び使用人に傷害を与えて、現場にて自殺した場合、被保険者の自殺による死亡は故意に基づく事故であり、自殺による埋葬料は支給されない。
    4. D自動車事故による被害を受けた場合の医療保険の給付と自動車損害賠償保障法に基づく自動車損害賠償責任保険(以下「自賠責保険」という。)による給付の関係について、加害者が不明のひき逃げ等の場合や自賠責保険の補償の範囲を超える賠償義務が発生した場合には、被害者の加入する医療保険の保険者が給付を行ったとしても、その保険者は求償する相手先がないケースや結果的に求償が困難なケースが生じるので、医療保険の保険者は、求償する相手先がないことや結果的に求償が困難であることから医療保険の給付を行わない。
    5. E高額療養費制度において、自己負担限度額を超える一部負担金の支払いの免除については、限度額適用認定証等を提示した場合だけではなく、健康保険証としての利用登録を行ったマイナンバーカード(以下「マイナ保険証」という。)により保険資格の確認を行う場合についても対象となっており、マイナ保険証を利用する場合には、医療機関等の窓口において、限度額適用認定証等を提示せずとも、自己負担限度額を超える一部負担金の支払いが免除される。

    正解:E

    解説

    正解はE。特定健康診査等への国庫補助、被扶養者の国内居住要件の例外、自殺と埋葬料、交通事故と医療保険の給付、マイナ保険証と高額療養費の現物給付を問う問題。マイナ保険証で資格確認をすれば限度額適用認定証等の提示が不要になる点が決め手。

    A:誤り。国庫は予算の範囲内で、特定健康診査等の実施に要する費用の「一部」を補助することができる(健保法154条の2)。全部ではない。

    B:誤り。国内居住要件の本文(同法3条7項)は正しいが、除外される観光・保養等の外国人は本邦において「1年」を超えない期間滞在するものである(健保則37条の3第2号)。2年ではない。

    C:誤り。埋葬料は被保険者の死亡という事実に対して支給されるものであり、本肢のような事案でも自殺による埋葬料は支給されるとするのが行政解釈である。

    D:誤り。ひき逃げ等で求償先が無い場合や自賠責保険の補償範囲を超える場合でも、医療保険の保険者は通常どおり給付を行うべきであるとするのが行政解釈である。求償が困難であることを理由に給付を行わないのは誤り。

    E:正しい。マイナ保険証により資格確認を行う場合も、限度額適用認定証等を提示したときと同様に、窓口で自己負担限度額を超える一部負担金の支払が免除される。

  47. 問47

    健康保険法

    健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A保険者は、社会保険診療報酬支払基金等に健康保険法第205条の4第1項第2号又は第3号に掲げる事務を委託する場合は、厚生労働大臣若しくは健康保険組合が被保険者の資格の得喪の確認を行った日(事業主の届出による場合には、当該届出を受けた日)、当該保険者が任意継続被保険者の資格取得の申出を受けた日又は資格喪失の申出を受けた日の属する月の末日から5日以内に、当該確認、届出又は申出に係る被保険者の資格に係る情報を、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会に提供するものとする。
    2. B出産育児一時金等(出産育児一時金及び家族出産育児一時金をいう。)の医療機関等(病院、診療所又は助産所をいう。)への直接支払制度は、被保険者等が医療機関等との間に、出産育児一時金等の支給申請及び受取に係る代理契約を締結の上、出産育児一時金等の額を限度として、医療機関等が被保険者等に代わって出産育児一時金等の支給申請及び受取を直接保険者と行うことにより、被保険者等があらかじめまとまった現金を用意した上で医療機関等の窓口において出産費用を支払う経済的負担の軽減を図るものである。
    3. C資格確認書の書面による交付又は電磁的方法による提供を求める被保険者(以下本肢において「申請者」という。)は、申請者の氏名及び被保険者等記号・番号又は個人番号等を記載した申請書を保険者に提出して、その交付又は提供を申請しなければならない。この場合において、当該申請書の提出は、申請者が任意継続被保険者である場合を除き、事業主を経由して行うが、災害その他やむを得ない事情により、事業主を経由して行うことが困難であると保険者が認めるときは、事業主を経由することを要しない。
    4. D短時間労働者の被保険者資格の取得要件について、常時50人を超えると見込んで特定適用事業所該当届を提出して適用された後、実際には常時50人を超えなかった場合は遡及取消となる。
    5. E入院時生活療養費の額は、当該生活療養につき生活療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該生活療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に生活療養に要した費用の額)から、平均的な家計における食費及び光熱水費の状況並びに病院及び診療所における生活療養に要する費用について介護保険法第51条の3第2項第1号に規定する食費の基準費用額及び同項第2号に規定する居住費の基準費用額に相当する費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める額(所得の状況、病状の程度、治療の内容その他の事情をしん酌して厚生労働省令で定める者については、別に定める額)を控除した額である。

    正解:D

    解説

    正解はD。資格情報の提供期限、出産育児一時金等の直接支払制度、資格確認書の申請、特定適用事業所の適用、入院時生活療養費の額を問う問題。特定適用事業所として適用された後に人数が見込みどおりでなかった場合の扱いが決め手。

    A:正しい。保険者は、資格の得喪の確認を行った日等の属する月の末日から5日以内に、被保険者の資格に係る情報を電子的方法で提供する(健保則24条の4)。

    B:正しい。直接支払制度は、被保険者等と医療機関等との代理契約に基づき、医療機関等が出産育児一時金等の申請・受取を保険者と直接行うことで、窓口でまとまった現金を用意する負担を軽くする仕組みである。

    C:正しい。資格確認書の申請書の提出は、任意継続被保険者である場合を除き事業主を経由し、災害等で困難と保険者が認めるときは経由を要しない(健保則47条1項)。

    D:誤り。常時50人を超えると見込んで特定適用事業所として適用された後、実際には50人を超えなかった場合でも、遡って適用を取り消すことはしないとするのが行政解釈である。

    E:正しい。入院時生活療養費の額は、基準により算定した費用の額から生活療養標準負担額を控除した額である(健保法85条の2第2項)。

    法改正:現行の健保則24条の4では、提供先が「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構又は国民健康保険団体連合会」と規定され、社会保険診療報酬支払基金の名称が改められている。

  48. 問48

    健康保険法

    健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A被保険者が資格喪失後何らの手続をとることなく相当期間を経過したため、受給資格期間は満たしているが、資格喪失後の継続給付を受ける権利の一部が既に時効により消滅している場合、時効未完成の期間については同一の保険者から傷病手当金の給付を受けることができる。
    2. B日本年金機構は、保険料の滞納処分等を行う場合には、あらかじめ財務大臣の認可を受けるとともに、滞納処分等実施規程に従い、税務署職員に行わせなければならない。
    3. C健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者に関する一般保険料率は、1,000分の30から1,000分の130までの範囲内において決定する。健康保険組合が一般保険料率を変更しようとするときは、理事長は、社会保障審議会の議を経てその変更について厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
    4. D保険者は、被保険者又は被保険者であった者の被扶養者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、当該被扶養者に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる。療養に関する指示に従わないときとは、保険者又は療養担当者の療養の指揮に関する明白な意志表示があったにもかかわらず、これに従わない者(作為又は不作為の場合を含む。)等をいう。
    5. E選定療養において、後発医薬品(ジェネリック医薬品)のある先発医薬品(長期収載品)の処方を希望する場合、後発医薬品のある先発医薬品の薬価から当該先発医薬品の後発医薬品の薬価を控除して得た価格に4分の1を乗じて得た価格を用いて診療報酬の算定方法の例により算定した点数に10円を乗じて得た額を支払わなければならない。なお、後発医薬品がいくつか存在する場合は、薬価が一番高い後発医薬品との価格差により計算する。

    正解:E

    解説

    正解はE。資格喪失後の継続給付と時効、機構が行う滞納処分、健康保険組合の保険料率の変更、療養の指示違反による給付制限、長期収載品の選定療養を問う問題。長期収載品を希望した場合の負担額の計算方法が決め手。

    A:誤り(公式正答による)。資格喪失後の継続給付は、資格喪失日の前日まで引き続き1年以上被保険者であった者で、資格喪失の際に傷病手当金の支給を受けているものが、同一の保険者から受けるものである(健保法104条)。時効が一部完成している場合の取扱いを示す行政解釈は、ここでは確かめられなかった。

    B:誤り。機構は、あらかじめ「厚生労働大臣」の認可を受けるとともに、滞納処分等実施規程に従い「徴収職員」に行わせなければならない(同法204条の3第1項)。財務大臣・税務署職員ではない。

    C:誤り。健康保険組合の一般保険料率も1000分の30から1000分の130の範囲で決定し、変更には厚生労働大臣の認可を受ける(同法160条13項で同条1項・8項を準用)が、社会保障審議会の議を経る手続は無い。

    D:誤り。正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときに行わないことができるのは、保険給付の「一部」である(同法119条、被扶養者への準用は同法122条)。全部ではない。

    E:正しい。長期収載品を希望した場合は、先発医薬品と後発医薬品の薬価の差額に4分の1を乗じた価格をもとに算定した額を選定療養として負担する。後発医薬品が複数あるときは、薬価が最も高い後発医薬品との差で計算する。

  49. 問49

    健康保険法

    健康保険法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものはいくつあるか。 ア 被保険者が令和7年3月15日に出産した場合、令和7年3月分から健康保険法第159条に規定される育児休業期間中の保険料免除の対象となり、当該被保険者に関する保険料は徴収されない。 イ 被保険者が令和7年2月3日の就業時間内において私傷病により救急搬送され、そのまま入院した場合、傷病手当金の待期期間の起算日はその翌日である同年2月4日となり、当該起算日以後の3日間連続して労務不能であれば待期期間を満たすことになる。 ウ 被保険者が、介護休業期間中に私傷病により傷病手当金を受給する場合には、その期間内に事業主から介護休業手当等で報酬と認められるものが支給されているときは、傷病手当金の支給額について介護休業手当等との調整が行われる。なお、傷病手当金との調整の対象とされる報酬には、就業規則に基づき報酬支払の目的をもって支給された見舞金は含まれない。 エ 被保険者の資格を喪失した後も引き続き傷病手当金を受給していた者が、当該傷病手当金を受けなくなった日後3か月以内に死亡したときは、被保険者であった者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものは埋葬料の支給を受けることができるが、当該埋葬料の支給を受けるべき者がない場合においては、埋葬を行った者が、埋葬料の金額の範囲内においてその埋葬に要した費用に相当する金額を受けることができる。 オ 被保険者が令和7年1月1日に職場復帰し、育児休業等終了時改定に該当した場合は、改定後の標準報酬月額がその年の8月までの各月の標準報酬月額となる。なお、標準報酬月額の随時改定には該当しないものとする。

    1. A一つ
    2. B二つ
    3. C三つ
    4. D四つ
    5. E五つ

    正解:B

    解説

    正解はB。育児休業と産前産後休業の保険料免除、傷病手当金の待期と報酬との調整、資格喪失後の埋葬料、育児休業等終了時改定の適用期間を問う個数問題。正しいのはエとオ。

    ア:誤り。出産日を含む産後の期間は産前産後休業であり、3月分の保険料は産前産後休業期間中の免除(健保法159条の3)の対象となる。育児休業期間中の免除(同法159条)は、159条の3の適用を受けている被保険者を除くとされている。

    イ:誤り。就業時間中に労務不能となった場合は、その日を待期期間の起算日とするのが行政解釈である。本肢では2月3日が起算日となり、同日から3日間連続して労務不能であれば待期が完成する(同法99条1項)。

    ウ:誤り。介護休業期間中に支給される介護休業手当等で報酬と認められるものとは調整が行われる(同法108条1項)。就業規則に基づき報酬支払の目的をもって支給された見舞金は報酬に当たり、調整の対象に含まれる。「含まれない」が誤り。

    エ:正しい。資格喪失後の継続給付を受けていた者がその給付を受けなくなった日後3月以内に死亡したときは、生計維持者で埋葬を行うものに埋葬料が支給され(同法105条1項)、該当者が無いときは埋葬を行った者に費用相当額が支給される(同条2項で100条を準用)。

    オ:正しい。1月1日に職場復帰した場合、育児休業等終了日(前年12月31日)の翌日から起算して2月を経過した日の属する月の翌月、すなわち4月から改定され、その年の8月までの各月の標準報酬月額となる(同法43条の2第2項)。

    よって正しいものはエ・オの二つで、B。

  50. 問50

    健康保険法

    健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A保険者は、震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、住宅、家財又はその他の財産について著しい損害を受けた被保険者であって、保険医療機関又は保険薬局に一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、一部負担金を減額することや一部負担金の支払を免除すること、保険医療機関又は保険薬局に対する支払に代えて一部負担金を直接に徴収することとし、その徴収を猶予することができるが、一部負担金等の徴収猶予については当該被保険者の申請により、6か月以内の期間を限って行うものとされている。
    2. B同一の月に同一の保険医療機関において、入院中に脳神経外科で手術し、退院後に外来で脳神経内科を受診した場合、高額療養費の算定上、同一の保険医療機関で受けた療養とみなされる。
    3. C不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、近年高額の医療費がかかる不妊治療に要する費用に対する助成や支援が拡充され、令和4年度からは一般不妊治療や生殖補助医療が新たに保険適用されたところであるが、医療上必要があると認められない、患者の都合による精子の凍結又は融解を行った場合には健康保険法における選定療養の対象とされる。
    4. D被保険者(年収300万円)と同居している母(58歳、障害者ではない。)は、年額100万円の遺族年金を受給しながらパートタイム労働者として勤務しているが、健康保険の被保険者にはなっていない。このとき、母のパートタイム労働者としての給与の年間収入額が120万円であった場合、母は当該被保険者の被扶養者になることができない。
    5. E被保険者(年収500万円)と別居している単身世帯の父(68歳、障害者ではない。)が、日本国内に住所を有するものであって、年額130万円の老齢年金を受給しながら被保険者から年額150万円の援助を受けている場合には、父は当該被保険者の被扶養者になることができる。なお、父は老齢年金以外の収入はないものとする。

    正解:B

    解説

    正解はB。災害時の一部負担金の減免・徴収猶予、高額療養費の算定単位、不妊治療と選定療養、被扶養者の収入要件を問う問題。同一の医療機関でも入院と外来は別々に算定する点が決め手。

    A:正しい。災害により住宅・家財等に著しい損害を受けた被保険者に対し、一部負担金の減額・免除・徴収猶予を行うことができ(健保法75条の2第1項、健保則56条の2)、徴収猶予は申請により6か月以内の期間に限って行う取扱いである(行政解釈)。

    B:誤り。高額療養費の算定では、同一の月に同一の医療機関で受けた療養であっても、入院と外来(通院)はそれぞれ別の医療機関で受けた療養として扱う(行政解釈)。

    C:正しい。令和4年度から一般不妊治療・生殖補助医療が保険適用となり、医療上の必要が無い患者都合の精子の凍結・融解は選定療養の対象とされている。

    D:正しい。60歳未満で障害者でない母の収入要件は年間130万円未満である。遺族年金100万円とパートの給与120万円の合計220万円はこれを超えるため、被扶養者になれない。

    E:正しい。60歳以上の者の収入要件は年間180万円未満であり、別居の場合は被保険者からの援助額より少ないことも要件となる。父の収入130万円は180万円未満で、援助額150万円より少ないため、被扶養者になれる。

  51. 問51

    厚生年金保険法

    厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A年金の支給は、年金を支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、権利が消滅した月で終わる。
    2. B適用事業所である甲に使用されていた被保険者乙は、令和7年4月1日に甲に使用されなくなったが、同日、別の適用事業所である丙に使用されるに至り、被保険者資格の得喪が生じた。この場合、乙の甲での被保険者資格は令和7年4月1日に喪失し、乙は同日に丙での被保険者資格を取得する。
    3. C厚生労働大臣は、被保険者の資格に関する決定に関し、必要があると認めるときは、適用事業所の事業主又は被保険者に対して、文書その他の物件を提出すべきことを命じることができる。
    4. D老齢厚生年金の受給権者が、その受給権を取得した当時、加給年金額の加算の対象となる配偶者及び1人の子がいたが、受給権を取得した2年後に第2子が誕生した。この場合、当該第2子(受給権者によって生計を維持しているものとする。)については加給年金額の加算の対象とはならない。
    5. E障害等級2級に該当する障害厚生年金の受給権者が、更に障害厚生年金の受給権を取得した。この場合、新たに取得した障害厚生年金が厚生年金保険法第54条第1項(障害補償による支給停止)の規定によりその支給を停止すべきものであるときは、その停止すべき期間、その者に対して従前の障害厚生年金が支給される。

    正解:C

    解説

    正解はC。年金の支給期間、同日得喪、立入検査等で文書の提出を命じる相手方、加給年金額の対象となる子、障害厚生年金の併合の特例を問う問題。提出命令の相手方は事業主に限られる点が決め手。

    A:正しい。年金の支給は、支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、権利が消滅した月で終わる(厚年法36条1項)。

    B:正しい。資格喪失は使用されなくなった日の翌日が原則だが、その日に更に被保険者となったときはその日に喪失する(同法14条)。よって甲での資格は4月1日に喪失し、同日に丙で取得する。

    C:誤り。資格・標準報酬・保険料・保険給付に関する決定に関して文書その他の物件の提出を命じることができる相手は、適用事業所等の「事業主」である(同法100条1項)。被保険者は含まれない。

    D:正しい。加給年金額の対象となる子は、受給権を取得した当時その者によって生計を維持していた子(取得当時の胎児を含む)に限られる(同法44条1項・3項)。取得後に生まれた子は対象とならない。

    E:正しい。障害厚生年金の受給権者が更に障害厚生年金の受給権を取得し、新たな年金が労基法の障害補償による支給停止(同法54条1項)の対象となるときは、その停止期間、従前の障害厚生年金を支給する(同法49条2項)。

  52. 問52

    厚生年金保険法

    合意分割(厚生年金保険法第78条の2に規定する離婚等をした場合における標準報酬の改定の特例をいう。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A甲と乙は離婚したが、合意分割の請求前に甲が死亡した。その後、乙は、甲の死亡した日から起算して15日目に、所定の事項が記載された公正証書を添えて合意分割の請求を行った。この場合、甲が死亡した日の前日に当該請求があったものとみなされる。
    2. B合意分割の按分割合について当事者の合意のための協議が調わないとき、又は協議をすることができないときには、当事者の申立てにより、家庭裁判所が請求すべき按分割合を定めることができるが、この申立ては当事者の一方のみによってすることができる。
    3. C当事者又はその一方は、原則として、実施機関に対し、標準報酬改定請求を行うために必要な情報の提供を請求することができるが、標準報酬改定請求後にはこの請求を行うことができない。
    4. D対象期間標準報酬総額の算定において、対象期間の全部又は一部が平成15年4月1日前であるときは、同日前の対象期間に係る被保険者期間の各月の標準報酬月額に1.3を乗じて得た額並びに同日以後の対象期間に係る被保険者期間の各月の標準報酬月額(厚生年金保険法第26条第1項の規定により同項に規定する従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月にあっては、当該従前標準報酬月額)及び標準賞与額に、それぞれ当事者を受給権者とみなして対象期間の末日において適用される再評価率を乗じて得た額の総額が当該対象期間標準報酬総額とされる。
    5. E老齢厚生年金の受給権者について、合意分割の標準報酬の改定又は決定が行われたときは、当該標準報酬の改定又は決定が行われた日の属する月の翌月から、年金の額が改定される。

    正解:E

    解説

    正解はE。合意分割の当事者死亡時の特例、家庭裁判所による按分割合、情報提供の請求、対象期間標準報酬総額の計算、年金額の改定時期を問う問題。年金額は「標準報酬改定請求のあった日」の属する月の翌月から改定する点が決め手。

    A:正しい。当事者の一方が死亡した日から起算して1月以内に所定の方法で他方が請求したときは、死亡した日の前日に請求があったものとみなす(厚年令3条の12の7)。15日目の請求はこれに当たる。

    B:正しい。協議が調わないとき等は、当事者の一方の申立てにより家庭裁判所が按分割合を定めることができる(厚年法78条の2第2項)。

    C:正しい。情報提供の請求は当事者又はその一方ができるが、標準報酬改定請求後に行われた場合はできない(同法78条の4第1項)。

    D:正しい。平成15年4月1日前の期間は標準報酬月額に1.3を乗じ、同日以後は標準報酬月額及び標準賞与額に、それぞれ対象期間の末日に適用される再評価率を乗じて総額を計算する(厚年令3条の12の5)。

    E:誤り。老齢厚生年金の額は「当該標準報酬改定請求のあった日」の属する月の翌月から改定する(厚年法78条の10第1項)。改定又は決定が行われた日の属する月の翌月ではない。

    法改正:現行の厚年法78条の2第1項ただし書は、請求できない場合として「離婚等をしたときから5年を経過したとき」を規定しており、請求できる期間が延びている。

  53. 問53

    厚生年金保険法

    事後重症の障害厚生年金(厚生年金保険法第47条の2第1項による障害厚生年金)及び基準障害の障害厚生年金(厚生年金保険法第47条の3第1項による障害厚生年金)に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。 ア 事後重症の障害厚生年金は、65歳に達する日の前日までに請求しなければならない。 イ 基準障害の障害厚生年金の支給は、当該年金を支給すべき事由が生じた月から始められる。 ウ 事後重症の障害厚生年金の対象は、障害等級1級及び2級のみである。 エ 基準障害の障害厚生年金の対象は、障害等級1級、2級及び3級である。 オ 繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者は、事後重症の障害厚生年金及び基準障害の障害厚生年金、いずれも請求することができない。

    1. A(アとイ)
    2. B(アとオ)
    3. C(イとエ)
    4. D(ウとエ)
    5. E(エとオ)

    正解:B

    解説

    正解はB。事後重症と基準障害の障害厚生年金について、請求期限・支給開始月・対象等級・繰上げ受給者の扱いを問う問題。基準障害は1級・2級に限られ、請求月の翌月から支給される点が決め手。

    ア:正しい。事後重症の障害厚生年金は、障害認定日後65歳に達する日の前日までの間に障害等級に該当するに至ったとき、その期間内に請求できる(厚年法47条の2第1項)。

    イ:誤り。基準障害の障害厚生年金の支給は、請求があった月の翌月から始める(同法47条の3第3項)。

    ウ:誤り。事後重症の対象は「障害等級に該当する程度の障害の状態」であり、3級も含まれる(同法47条の2第1項)。

    エ:誤り。基準障害の対象は、基準障害と他の障害を併合して1級又は2級に該当するに至ったときに限られる(同法47条の3第1項)。

    オ:正しい。繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者には、47条の2及び47条の3の規定は当分の間適用しない(同法附則16条の3第1項)。

    よって正しいものはアとオで、B。

  54. 問54

    厚生年金保険法

    厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A保険給付の受給権者が死亡した場合の未支給の保険給付の支給を請求できる遺族の範囲については、厚生年金保険法第37条第1項に規定されているが、これには受給権者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた受給権者の配偶者の甥は含まれない。
    2. B事業主は、その厚生年金保険に関する書類を、その完結の日から3年間、保存しなければならない。
    3. C老齢厚生年金の額に加算する加給年金の額の計算において、その額に50円未満の端数が生じたときはこれを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときはこれを100円に切り上げるものとされている。
    4. D第3号厚生年金被保険者に係る事務を担当する実施機関としては地方公務員共済組合、全国市町村職員共済組合連合会及び地方公務員共済組合連合会があるが、厚生年金保険法第84条の5第1項の規定による拠出金の納付に関する事務は、地方公務員共済組合が行う。
    5. E事故が第三者の行為によって生じた場合において、受給権者が、当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府等は、その価額の限度で、保険給付をしないことができるとされているが、受給権者が当該第三者から損害賠償を受ける前に保険給付を受けたときは、政府が、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得することはない。

    正解:C

    解説

    正解はC。未支給の保険給付を請求できる遺族の範囲、書類の保存期間、加給年金額の端数処理、第3号厚生年金被保険者に係る事務、第三者行為と損害賠償請求権の取得を問う問題。加給年金額の端数処理が決め手。

    A:誤り。未支給の保険給付を請求できるのは、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹「又はこれらの者以外の三親等内の親族」で、死亡の当時生計を同じくしていた者である(厚年法37条1項)。甥は三親等の親族なので含まれる。

    B:誤り。事業主の書類の保存期間は、完結の日から「2年間」である(厚年則28条)。

    C:正しい。加給年金額に50円未満の端数が生じたときは切り捨て、50円以上100円未満の端数は100円に切り上げる(厚年法44条2項)。

    D:誤り。84条の5第1項の拠出金の納付に関する事務は、地方公務員共済組合連合会が行う(同法2条の5第2項)。地方公務員共済組合ではない。

    E:誤り。政府等は、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する(同法40条1項)。損害賠償を受ける前に保険給付をした場合こそ、この請求権の取得が生じる。

  55. 問55

    厚生年金保険法

    厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A65歳未満で特別支給の老齢厚生年金の受給権を有する者が、厚生年金保険の被保険者である月に高年齢雇用継続給付を受給できるときは、在職による年金の支給停止に加えて、年金の一部が支給停止される。これにより支給停止される年金額は、高年齢雇用継続給付の支給率の変更にあわせて、令和7年度より、最大で標準報酬月額の6%となった。
    2. B厚生年金保険の適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の者で、高齢任意加入被保険者となっている者は、保険料の全額を負担する義務を負う。ただし、事業主の同意があるときは、被保険者と事業主の半額ずつの負担になる。
    3. C2以上の船舶の船舶所有者が同一である場合には、当該2以上の船舶を1つの適用事業所とすることができるが、その際は、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。
    4. D障害基礎年金の支給を受けている者に子の加算が行われているとき(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給停止されているときを除く。)に、当該子に係る加給年金額が加算された老齢厚生年金が併給されることとなった場合は、当該老齢厚生年金については、その間、当該子について加算する額に相当する部分の支給が停止される。
    5. E国家公務員であった者が、令和7年7月21日に退職し、その翌日に厚生年金保険の被保険者資格を喪失した。その後、同年7月28日に民間企業に就職し、厚生年金保険の被保険者資格を取得した。この場合、同年7月は、第2号厚生年金被保険者であった月とみなされる。

    正解:D

    解説

    正解はD。高年齢雇用継続給付との調整、適用事業所以外の高齢任意加入被保険者の保険料負担、船舶の一括、障害基礎年金の子の加算と加給年金額、同月内の種別変更を問う問題。子の加算が重なる場合は老齢厚生年金の加給年金額が停止される点が決め手。

    A:誤り。高年齢雇用継続給付の支給率の見直しに合わせ、令和7年度から年金の支給停止は最大で標準報酬月額の「4%」となった(厚年法附則11条の6第1項1号)。6%は見直し前の率である。

    B:誤り。適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の者は、事業主の同意を得て厚生労働大臣の認可を受けて被保険者となる(同法附則4条の5第1項で10条2項を準用)。保険料の全額負担の規定(附則4条の3第7項)は準用されておらず、被保険者と事業主が半額ずつ負担する(同法82条1項)。

    C:誤り。2以上の船舶の船舶所有者が同一である場合は、当然に一の適用事業所とされ(同法8条の3)、厚生労働大臣の承認は要しない。

    D:正しい。障害基礎年金で子の加算が行われているときは、その間、老齢厚生年金のその子について加算する額に相当する部分の支給を停止する(同法44条1項ただし書)。

    E:誤り。同一の月に被保険者の種別に変更があったときは、その月は変更後(最後)の種別の被保険者であった月とみなす(同法19条5項)。7月は第1号厚生年金被保険者であった月となる。

  56. 問56

    厚生年金保険法

    厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A被保険者期間が6月以上である日本国籍を有しない者(国民年金の被保険者でないものに限る。)であって、老齢厚生年金の受給資格期間を満たさない等の支給要件を満たした者は、脱退一時金の支給を請求することができる。ただし、その者が日本の永住資格を有するときは、この限りでない。
    2. B脱退一時金の支給を受けた者は、その後、再び脱退一時金の支給要件を満たすことがあったとしても、脱退一時金の支給を請求することはできない。
    3. C政府は、国民年金事業に関する財政の現況及び見通し又は厚生年金保険事業に関する財政の現況及び見通しの作成にあたり、その作成年のおおむね100年後に、国民年金法等の一部を改正する法律(平成16年法律第104号)附則第2条第1項の規定によって算出するいわゆるモデル年金の所得代替率が50%を下回ることが見込まれる場合、調整期間の終了について検討を行い、その結果に基づいて調整期間の終了その他の措置を講じなければならない。
    4. D初診日は、原則として初めて治療目的で医療機関を受診した日とし、健康診断を受けた日(以下本肢において「健診日」という。)は初診日として取り扱わないこととされている。ただし、初めて治療目的で医療機関を受診した日の医証(医療機関による初診日の証明)を得られない場合であって、医学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である場合については、請求者から健診日を初診日とするよう申立てがあれば、健診日を初診日とし、健診日を証明する資料を求めた上で、初診日を認めることができるとされている。
    5. E障害等級2級の障害厚生年金を受給する夫が死亡し、子のいない妻が遺族厚生年金を受給する場合、夫死亡時の妻の年齢によっては、中高齢寡婦加算が行われることがある。ただし、当該死亡した夫の厚生年金保険の被保険者期間の月数が240未満である場合は、中高齢寡婦加算は行われない。

    正解:D

    解説

    正解はD。脱退一時金の要件、所得代替率と調整期間の終了、初診日の取扱い、中高齢寡婦加算の要件を問う問題。健康診断日を初診日として認める例外の取扱いが決め手。

    A:誤り。脱退一時金を請求できないのは、日本国内に住所を有するとき、障害厚生年金等の受給権を有したことがあるとき、最後に国民年金の資格を喪失した日等から2年を経過しているときであり(厚年法附則29条1項)、永住資格の有無は要件ではない。

    B:誤り。脱退一時金の計算の基礎となった期間は被保険者でなかったものとみなされる(同条5項)が、再度の請求を禁止する規定は無い。その後改めて要件を満たせば再び請求できる。

    C:誤り。調整期間の終了について検討を行うのは、所得代替率が「次の財政の現況及び見通しが作成されるまでの間に」50%を下回ることが見込まれる場合である(平成16年改正法附則2条)。おおむね100年後ではない。

    D:正しい。初診日は初めて治療目的で受診した日とし、健診日は原則として初診日としないが、治療目的の受診日の医証が得られず、健診結果が直ちに治療を要するものであるときは、申立てにより健診日を初診日と認めることができるとする取扱いである。

    E:誤り。障害等級1級・2級の障害厚生年金の受給権者の死亡は短期要件(同法58条1項3号)である。中高齢寡婦加算で被保険者期間の月数240以上を要するのは長期要件(同項4号)の場合だけである(同法62条1項)。

  57. 問57

    厚生年金保険法

    厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A地方公共団体の議会の議員が老齢厚生年金の受給権者であるときは、当該議員が厚生年金保険の被保険者ではないとしても、議員報酬の月額及び期末手当の額と老齢厚生年金の額に応じて、老齢厚生年金の一部又は全額が支給停止となる。
    2. B特定適用事業所以外の適用事業所(国又は地方公共団体の適用事業所を除く。)は、労使合意により、任意特定適用事業所の申出をすることができる。この労使合意を行う上での同意の対象となる者には、厚生年金保険法第27条に規定する70歳以上の使用される者は含まれない。
    3. C障害等級2級の障害厚生年金の額は、老齢厚生年金の報酬比例部分の算定式により計算した額となる。ただし、年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300として計算する。また、生年月日に応じた給付乗率の引上げは行われない。
    4. D厚生年金保険の被保険者が70歳に到達した場合は、被保険者資格を喪失する。その後、同一の事業所で同一の労働条件で勤務を継続したとしても、被保険者ではないため、厚生年金保険料を納付する必要はない。ただし、在職老齢年金の仕組みによる支給停止の対象となることがある。
    5. E厚生年金保険法第42条に規定する老齢厚生年金を繰上げ受給している者で65歳に達していない場合は、在職定時改定が適用されない。

    正解:B

    解説

    正解はB。議員の在職老齢年金、任意特定適用事業所の労使合意、障害厚生年金の額、70歳到達後の扱い、繰上げ受給者と在職定時改定を問う問題。任意特定適用事業所の申出に必要な同意の対象者の範囲が決め手。

    A:正しい。地方公共団体の議会の議員である日が属する月は、被保険者でなくても、議員報酬等と年金額に応じて支給停止の対象となる(厚年法46条1項)。

    B:誤り。任意特定適用事業所の申出(年金機能強化法附則17条5項)に必要な同意の対象者には、厚生年金保険の被保険者、短時間労働者のほか、70歳以上の使用される者も含まれるとする取扱いである。

    C:正しい。障害厚生年金の額は報酬比例部分の計算の例により計算し、被保険者期間の月数が300に満たないときは300とする(同法50条1項)。生年月日による給付乗率の読替えは行われない。

    D:正しい。70歳に達すると資格を喪失し(同法14条5号)保険料の負担は無くなるが、70歳以上の使用される者として在職老齢年金の支給停止の対象となりうる(同法46条1項)。

    E:正しい。在職定時改定(同法43条2項)は65歳以上の老齢厚生年金を対象とする仕組みであり、繰上げ受給者でも65歳に達するまでは適用されない。

  58. 問58

    厚生年金保険法

    厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A理美容の事業で、常時5人以上の従業員を使用する個人事業所は、厚生年金保険の強制適用事業所となる。
    2. B被保険者が自殺により保険事故を自ら生じさせたときは、被保険者の遺族に対して、当該死亡を支給事由とする遺族厚生年金は支給しない。
    3. C偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるときは、実施機関は、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収しなければならない。
    4. D受給権者が、正当な理由がなく、厚生労働省令に定める事項の届出、又は書類その他の物件を提出しないときは、保険給付の支払いを差し止めることができる。その後、当該差止事由が消滅したときでも、差し止められた分の支給は行われない。
    5. E被保険者に対する情報の提供として、実施機関は、被保険者に対し、保険料納付の実績及び将来の給付に関する必要な情報を通知している。厚生年金保険法施行規則は、この通知(厚生労働大臣が行うものに限る。)に記載する事項を規定しているが、その1つに、被保険者期間における標準報酬月額及び標準賞与額に応じた保険料(被保険者の負担するものに限る。)の総額がある。

    正解:E

    解説

    正解はE。適用事業所の範囲、自殺と遺族厚生年金、不正利得の徴収、支払の一時差止め、被保険者への情報提供の記載事項を問う問題。通知の記載事項に被保険者負担分の保険料の総額が含まれる点が決め手。

    A:誤り。個人の事業所が強制適用となるのは、厚年法6条1項1号に列挙された事業で常時5人以上の従業員を使用するものであり、理美容の事業はこれに含まれない。

    B:誤り。故意による給付制限は、障害厚生年金・障害手当金(同法73条)と、被保険者等を故意に死亡させた者(同法76条)について定められている。被保険者の自殺を理由に遺族厚生年金を支給しないとする規定は無い。

    C:誤り。実施機関は、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から「徴収することができる」(同法40条の2)。徴収は義務ではない。

    D:誤り。届出等をしないときにできるのは保険給付の支払の「一時差止め」であり(同法78条1項)、差止事由が消滅すれば差し止められた分も支払われる。

    E:正しい。厚生労働大臣が行う通知の記載事項の1つに、被保険者期間における標準報酬月額及び標準賞与額に応じた保険料(被保険者負担分)の総額がある(厚年則12条の2第1項3号)。

  59. 問59

    厚生年金保険法

    厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A厚生年金保険法第81条の2第1項に規定される育児休業期間中の厚生年金保険料の免除の規定について、育児休業等の期間が1か月以下の場合は、その月の標準報酬月額に係る保険料は免除されるが、その月の標準賞与額に係る保険料についても免除される。
    2. B厚生労働大臣は、納入の告知をした保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額を超えていることを知ったとき、又は納付した保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額を超えていることを知ったときは、その超えている部分に関する納入の告知又は納付を、その納入の告知又は納付の日の翌日から1年以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰り上げてしたものとみなすことができる。
    3. C事業主は、被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。なお、保険料を控除したときは、事業主は、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。
    4. D前月から引き続き厚生年金保険の被保険者の資格を有する65歳以後の老齢厚生年金の受給権者の総報酬月額相当額が改定された場合は、新たな総報酬月額相当額に基づいて支給停止額が再計算され、当該総報酬月額相当額の改定が行われた月の翌月から支給される年金額が改定される。
    5. E60歳台前半において、障害等級2級の障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が、雇用保険法の規定による基本手当を受けることができるときは、障害厚生年金については、基本手当との間で調整が行われるため、支給停止の対象となる。

    正解:C

    解説

    正解はC。育児休業期間中の保険料免除、保険料の納期繰上げ、賞与からの保険料控除、在職老齢年金の改定時期、障害厚生年金と基本手当の関係を問う問題。賞与からの控除と計算書の作成・通知(84条)が条文どおりである点が決め手。

    A:誤り。育児休業等の期間が1月以下である者は、標準報酬月額に係る保険料に限って免除され、標準賞与額に係る保険料は免除されない(厚年法81条の2第1項)。

    B:誤り。納期を繰り上げてしたものとみなせるのは、納入の告知又は納付の日の翌日から「6か月以内」の期日に納付されるべき保険料である(同法83条2項)。

    C:正しい。事業主は賞与から被保険者負担分の保険料を控除でき(同法84条2項)、控除したときは計算書を作成し、控除額を被保険者に通知しなければならない(同条3項)。

    D:誤り。在職老齢年金は、その月の総報酬月額相当額をもとに月ごとに支給停止額を計算するため(同法46条1項)、総報酬月額相当額が改定された月から支給停止額が変わる。翌月からではない。

    E:誤り。基本手当との調整は65歳未満の老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金など)について定められたものであり、障害厚生年金は基本手当との調整の対象とならない。

  60. 問60

    厚生年金保険法

    厚生年金保険法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。 ア 障害手当金の受給権者であって、当該障害に係る障害認定日において2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る当該障害手当金の支給に関する事務は、当該障害に係る障害認定日における被保険者の種別に応じて、厚生年金保険法第2条の5第1項各号に定める実施機関が行う。 イ 実施機関は、必要があると認めるときは、障害等級に該当する程度の障害の状態にあることにより、年金たる保険給付の受給権を有し、又は厚生年金保険法第44条第1項の規定によりその者について加給年金額の加算が行われている子に対して、その指定する医師の診断を受けるべきことを命じ又は当該職員をしてこれらの者の障害の状態を診断させることができる。 ウ 遺族厚生年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る。)は、その受給権者が老齢厚生年金の受給権を有するとき、当該老齢厚生年金の額に相当する部分の支給が停止される。なお、加給年金額が加算された老齢厚生年金についてもこの規定が適用されるため、加給年金額に相当する部分も含めて、当該遺族厚生年金は支給が停止される。 エ 遺族厚生年金の受給権を取得した当時30歳未満の妻が、当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得しない場合、当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から起算して3年を経過したときに遺族厚生年金の受給権は消滅する。 オ 事業主が、正当な理由がなく、厚生年金保険法第27条の規定に違反して、被保険者(70歳以上の使用される者を含む。)の資格の取得及び喪失(70歳以上の使用される者にあっては、厚生労働省令で定める要件に該当するに至った日及び当該要件に該当しなくなった日)並びに報酬月額及び賞与額に関する事項について、厚生労働大臣に届け出なければならないにもかかわらず、これを届出せず又は虚偽の届出をした場合は、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる。

    1. A(アとウ)
    2. B(アとオ)
    3. C(イとエ)
    4. D(イとオ)
    5. E(ウとエ)

    正解:D

    解説

    正解はD。2以上の種別の期間を有する者の障害手当金の事務、障害の状態の診断、遺族厚生年金と老齢厚生年金の調整、30歳未満の妻の失権、事業主の罰則を問う問題。正しいのはイとオ。

    ア:誤り。2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の障害手当金の支給事務は、障害認定日ではなく「初診日」における被保険者の種別に応じた実施機関が行う(厚年法78条の33第1項)。

    イ:正しい。実施機関は、障害の状態にあることにより年金たる保険給付の受給権を有する者や加給年金額の加算対象の子に対し、指定する医師の診断を命じ、又は職員に診断させることができる(同法97条1項)。

    ウ:誤り。65歳以上の遺族厚生年金の受給権者が老齢厚生年金の受給権を有するときは、老齢厚生年金の額に相当する部分の支給を停止する(同法64条の2)。この老齢厚生年金の額に加給年金額は含めない取扱いであり、加給年金額に相当する部分まで遺族厚生年金が停止されるわけではない。

    エ:誤り。受給権取得当時30歳未満で遺族基礎年金の受給権を取得しない妻の遺族厚生年金は、受給権を取得した日から起算して「5年」を経過したときに消滅する(同法63条1項5号イ)。

    オ:正しい。事業主が正当な理由なく27条の届出をせず、又は虚偽の届出をしたときは、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する(同法102条1項1号。令和7年度試験の法令基準日時点)。

    よって正しいものはイとオで、D。

    法改正:刑法等の改正により、現行の厚年法102条1項は「6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」となっている。

  61. 問61

    国民年金法

    国民年金法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A給付を受ける権利は、その権利を有する者の請求に基づいて、厚生労働大臣が裁定する。また、脱退一時金についての裁定の請求は、国民年金法施行規則に定める事項を記載した請求書を日本年金機構に提出することによって行わなければならない。
    2. B被保険者の資格に関する処分、給付に関する処分(共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分を除く。)又は保険料その他この法律の規定による徴収金に関する処分の取消の訴えは、当該処分についての審査請求に対する社会保険審査官の決定を経た後でなければ提起することができない。
    3. C市町村長(特別区の区長を含む。)は、国民年金法第16条に規定する給付を受ける権利の裁定(国民年金法施行令第1条の2第3号イからトまでに掲げる給付を受ける権利の裁定に限る。)の請求の受理及びその請求に係る事実についての審査に関する事務に関して、請求書、申請書又は届書を受理したときは、必要な審査を行い、これを日本年金機構に送付しなければならない。
    4. D厚生労働大臣は、国民年金法による年金たる給付の受給権の裁定をしたときは、原則として、国民年金法施行規則第65条第2項各号に掲げる事項を記載したその年金の年金証書を作成し、これを同条第1項で規定される通知書に添えて、その受給権者に交付しなければならない。
    5. E老齢基礎年金の受給権者は、その個人番号を変更したときは、氏名、生年月日及び住所、変更前及び変更後の個人番号、個人番号の変更年月日を記載した届書を、速やかに、日本年金機構に提出しなければならない。

    正解:B

    解説

    正解はB。給付の裁定、審査請求前置、市町村長の事務、年金証書の交付、個人番号の変更の届出を問う問題。取消訴訟の審査請求前置の対象から保険料その他徴収金に関する処分が外れている点が決め手。

    A:正しい。給付を受ける権利は、受給権者の請求に基づいて厚生労働大臣が裁定する(国年法16条)。脱退一時金の裁定の請求は、所定の事項を記載した請求書を機構に提出して行う。

    B:誤り。社会保険審査官の決定を経た後でなければ取消しの訴えを提起できないのは、被保険者の資格に関する処分と給付に関する処分に限られる(同法101条の2)。保険料その他徴収金に関する処分は含まれない。審査請求・再審査請求ができる処分の範囲(同法101条1項)と混同させる肢である。

    C:正しい。市町村長は、所定の給付の裁定請求の受理と審査に関する事務(国年令1条の2第3号)として、請求書等を受理したときは必要な審査を行い、機構に送付しなければならない(国年則64条1項)。

    D:正しい。厚生労働大臣は年金たる給付の受給権の裁定をしたときは、原則として年金証書を作成し、通知書に添えて受給権者に交付する(国年則65条)。

    E:正しい。老齢基礎年金の受給権者は、個人番号を変更したときは、氏名・生年月日・住所、変更前後の個人番号、変更年月日を記載した届書を速やかに機構に提出する(国年則20条の2第1項)。

  62. 問62

    国民年金法

    国民年金法に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。 ア 被保険者(第3号被保険者を除く。)は、厚生労働省令の定めるところにより、その資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。 イ 第3号被保険者は、厚生労働省令の定めるところにより、その資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。ただし、氏名及び住所の変更に関する事項であって厚生労働省令で定めるものについては、この限りでない。 ウ 国民年金法において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。 エ 主として第2号被保険者の収入により生計を維持することの認定は、健康保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法及び私立学校教職員共済法における被扶養者の認定の取扱いを勘案して日本年金機構が行う。 オ 20歳未満の者又は60歳以上の者は、厚生年金保険の被保険者の資格を取得するに至った日の翌日に、国民年金第2号被保険者の資格を取得する。

    1. A一つ
    2. B二つ
    3. C三つ
    4. D四つ
    5. E五つ

    正解:B

    解説

    正解はB。被保険者の届出先、配偶者の定義、被扶養配偶者の認定の主体、第2号被保険者の資格取得の時期を問う個数問題。誤っているのはアとオ。

    ア:誤り。第3号被保険者を除く被保険者の資格の取得・喪失、種別の変更、氏名・住所の変更の届出先は「市町村長」である(国年法12条1項)。厚生労働大臣ではない。

    イ:正しい。第3号被保険者の届出先は厚生労働大臣であり、氏名及び住所の変更で省令で定めるものは届出を要しない(同条5項)。

    ウ:正しい。「配偶者」「夫」「妻」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む(同法5条7項)。

    エ:正しい。主として第2号被保険者の収入により生計を維持することの認定は、健保法等における被扶養者の認定の取扱いを勘案して日本年金機構が行う(国年令4条)。

    オ:誤り。20歳未満の者又は60歳以上の者は、厚生年金保険の被保険者の資格を取得するに至った「日」に第2号被保険者の資格を取得する(国年法8条)。翌日ではない。

    よって誤っているものはア・オの二つで、B。

  63. 問63

    国民年金法

    国民年金法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

    1. A国民年金法第30条の4の規定による障害基礎年金は、当該障害基礎年金の受給権者の前年の所得が政令で定める額を超えた場合に、その全部又は2分の1に相当する部分が支給停止される。
    2. B「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」によると、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害等の発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるために日常生活への適応にあたって援助が必要である障害の状態のものは、知的障害等の他の障害を併発していなくても、当該発達障害のみで障害基礎年金の認定の対象となる。
    3. C疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病(以下「基準傷病」という。)に係る初診日において、被保険者(被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ60歳以上65歳未満であるものを含む。)であって、基準傷病以外の傷病により障害の状態にあるものが、基準傷病に係る障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間において、初めて、基準傷病による障害(以下「基準障害」という。)と他の障害とを併合して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったとき(基準傷病の初診日が、基準傷病以外の傷病(基準傷病以外の傷病が2以上ある場合は、基準傷病以外のすべての傷病)の初診日以降であるときに限る。)は、その者に基準障害と他の障害とを併合した障害の程度による障害基礎年金を支給する。
    4. D国民年金法第30条の4の規定による障害基礎年金は、受給権者が、恩給法に基づく年金たる給付、労災保険法の規定による年金たる給付その他の年金たる給付であって政令で定めるものを受けることができるとき、刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき、少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき又は日本国内に住所を有しないときは、その該当する期間、その支給を停止する。
    5. E国民年金法において、老齢基礎年金、障害基礎年金及び遺族基礎年金には失権が規定されているが、付加年金及び寡婦年金には失権が規定されていない。

    正解:E

    解説

    正解はE。20歳前傷病による障害基礎年金の支給停止、発達障害の認定、基準障害の障害基礎年金、各給付の失権規定を問う問題。付加年金にも寡婦年金にも失権の規定がある点が決め手。

    A:正しい。20歳前傷病による障害基礎年金は、前年の所得が政令で定める額を超えるときは、その全部又は2分の1に相当する部分の支給を停止する(国年法36条の3第1項)。

    B:正しい。障害認定基準では、発達障害は知的障害等を併発していなくても、発達障害のみで認定の対象となる。

    C:正しい。基準障害による障害基礎年金の要件は、国年法30条の3第1項のとおりである。

    D:正しい。20歳前傷病による障害基礎年金は、恩給法・労災保険法の年金たる給付等を受けることができるとき、刑事施設等に拘禁・収容されているとき、日本国内に住所を有しないときは、その期間支給を停止する(同法36条の2第1項)。

    E:誤り。付加年金の受給権は受給権者の死亡により消滅し(同法48条)、寡婦年金の受給権も65歳に達したときや死亡・婚姻等により消滅する(同法51条)。いずれにも失権の規定がある。

  64. 問64

    国民年金法

    国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A国民年金の被保険者期間を計算する場合には、被保険者資格を取得した日の属する月からその資格を喪失した日の属する月までをこれに算入する。
    2. B被保険者の種別(国民年金の第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者のいずれであるかの区別をいう。)に変更があった月は、変更前の種別の被保険者であった月とみなす。
    3. C震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、被保険者あるいはその世帯主や配偶者が所有する住宅や家財その他の財産について、被害金額が、その価格のおおむね2分の1以上である損害を受けたときは、保険金や損害賠償金等により補充された金額の多寡にかかわらず、申請によって保険料の納付が全額免除される。
    4. D租税その他の公課は、給付として支給された金銭を標準として課すことができないが、老齢基礎年金及び付加年金には、所得税、住民税等の租税を課すことができる。
    5. E令和7年1月から、保険料を2年前納する場合に、最初の4月が到来するまで1か月分ずつ割引された保険料を口座振替し、4月から2年分(24か月分)の保険料をまとめて前納する2年前納(4月開始)という方法を選択できる。

    正解:D

    解説

    正解はD。被保険者期間の計算、種別変更月の扱い、災害による保険料免除、公課の禁止、2年前納を問う問題。老齢基礎年金と付加年金が公課禁止の例外である点が決め手。

    A:誤り。被保険者期間は、資格を取得した日の属する月から資格を喪失した日の属する月の「前月」までを算入する(国年法11条1項)。

    B:誤り。種別に変更があった月は「変更後」の種別の被保険者であった月とみなす(同法11条の2)。

    C:誤り。災害を理由とする免除の要件となる被害金額は、保険金・損害賠償金等により補充された金額を除いた額で、財産の価格のおおむね2分の1以上の損害であることを要する(国年則77条の7)。補充された金額の多寡にかかわらないわけではない。

    D:正しい。租税その他の公課は給付として支給を受けた金銭を標準として課することができないが、老齢基礎年金と付加年金は例外とされる(国年法25条)。

    E:誤り。令和7年1月から口座振替で「2年前納(4月開始)」を選べるようになった点は正しい。しかし最初の4月が来るまでの各月は、1か月分ずつ「割引なし」で振り替えられ、割引があるのは4月末にまとめて振り替える2年分だけである(日本年金機構の案内)。「1か月分ずつ割引された保険料を口座振替し」が誤り。

  65. 問65

    国民年金法

    国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A年金給付を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から5年を経過すると時効によって消滅するため、障害認定日において、当該障害が、障害等級に該当する程度の障害の状態にない場合で、その後に障害の程度が増進したときでも、障害基礎年金の請求は、当該障害認定日から5年を経過する前に行わなければならない。
    2. B失踪の宣告を受けたことにより死亡したとみなされた者の子に対する遺族基礎年金は、失踪の宣告を受けた日において子の年齢が18歳に達する日以後の最初の3月31日に達している場合であっても、失踪の宣告を受けた者の所在が明らかでなくなった日が、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間であれば、その日まで遡って受給できる。
    3. C夫が死亡したことにより遺族基礎年金の受給権を有する妻が、直系姻族と養子縁組したときは、妻の受給権は消滅するが、子に対する遺族基礎年金の支給停止は解除される。
    4. D遺族基礎年金の受給権を有する子が2人以上ある場合において、その子のうち1人以上の子の所在が1年以上明らかでないときは、その子に対する遺族基礎年金は、他の子の申請によって、その所在が明らかでなくなった時に遡って、その支給を停止する。
    5. E失踪の宣告を受けた者に係る消滅時効の起算日は、死亡したとみなされた日の翌日であり、死亡したとみなされた日の翌日から2年を経過した後に、死亡一時金の請求権は時効によって消滅するため、死亡一時金は支給されない。

    正解:D

    解説

    正解はD。事後重症の請求期限、失踪宣告と遺族基礎年金、妻の養子縁組と子の支給停止、所在不明の子の支給停止、死亡一時金の時効を問う問題。所在不明の子の支給停止(42条)が条文どおりである点が決め手。

    A:誤り。事後重症の障害基礎年金は、障害認定日後65歳に達する日の前日までに障害等級に該当すれば、その期間内に請求でき(国年法30条の2第1項)、障害認定日から5年以内に請求しなければならないという制限は無い。

    B:誤り。失踪の宣告の場合、生計維持の要件は行方不明となった当時で判断するが、子の年齢などの要件は死亡とみなされた日で判断する取扱いである(行政解釈)。所在が明らかでなくなった日に年齢要件を満たしていれば遡って受給できるわけではない。

    C:誤り。直系血族又は直系姻族の養子となったときは失権しない(同法40条1項3号)。妻の受給権は消滅しないため、子に対する支給停止(同法41条2項)も解除されない。

    D:正しい。受給権を有する子が2人以上ある場合に、1人以上の子の所在が1年以上明らかでないときは、他の子の申請により、所在が明らかでなくなった時に遡ってその子への支給を停止する(同法42条1項)。

    E:誤り。死亡一時金を受ける権利の時効は2年である(同法102条4項)が、失踪の宣告の場合の起算日は、死亡とみなされた日の翌日ではなく、失踪宣告の審判が確定した日の翌日とするのが行政解釈である。

  66. 問66

    国民年金法

    国民年金法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。 ア 老齢基礎年金の支給を受ける権利は、受給資格期間が10年以上ある者が65歳に達した日から老齢基礎年金の請求をすることなく5年を経過した時に消滅する。そのため、72歳に達した時点で、老齢基礎年金を請求し、かつ、繰下げ申出をしないときは、繰下げ増額のない老齢基礎年金の支給を受けることとなる。 イ 保険料を滞納している者の保険料納付義務は、厚生労働大臣による督促があったとしても、2年で消滅する。 ウ 被保険者が、国民年金保険料の前納を口座振替によって行うことを申し出る時に、還付発生の場合の振込方法として、あらかじめ振替口座への振込を申し出ておくと、改めて請求しなくても保険料の還付の請求があったものとみなされる。 エ 老齢基礎年金の受給権を有する者であって、かつ、他の年金給付(加給年金を除く。)又は厚生年金保険法による年金給付(老齢を支給事由とするものを除く。)の受給権者でない者による当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出は、65歳に達する前に行わなければならない。 オ 繰下げ待機中の老齢基礎年金の受給権者が、年金を請求せずに70歳に達した日後に死亡した場合に、遺族が未支給年金を請求する時は、特例的な繰下げみなし増額は適用されず、年金の支給を受ける権利が時効消滅していない過去5年分に限って支給されることになる。

    1. A(アとイ)
    2. B(アとエ)
    3. C(イとウ)
    4. D(ウとオ)
    5. E(エとオ)

    正解:D

    解説

    正解はD。老齢基礎年金の時効と特例的な繰下げみなし増額、保険料の時効、前納の還付、繰下げ申出の時期、未支給年金の扱いを問う問題。正しいのはウとオ。

    ア:誤り。70歳に達した日後に請求し、その際に繰下げの申出をしないときは、請求をした日の5年前の日に繰下げの申出があったものとみなす(国年法28条5項)。72歳で請求すれば67歳で申出があったものとして増額された年金が支給され、繰下げ増額のない年金になるわけではない。

    イ:誤り。保険料を徴収する権利の時効は2年であるが(同法102条4項)、督促は時効の更新の効力を有する(同条5項)。督促があっても2年で消滅するわけではない。

    ウ:正しい。口座振替による前納の申出の際に、還付が生じた場合の振込先として振替口座をあらかじめ申し出ておけば、改めて請求しなくても還付の請求をしたものとみなされる(国年則135条5項1号)。

    エ:誤り。繰下げの申出ができるのは、66歳に達する前に老齢基礎年金を請求していなかった者であり(同法28条1項)、申出は66歳に達した日以後に行う。65歳に達する前ではない。

    オ:正しい。繰下げ待機中の受給権者が請求しないまま死亡し、遺族が未支給年金を請求する場合は、特例的な繰下げみなし増額(同法28条5項)は適用されず、時効消滅していない過去5年分が支給される(同法19条、102条1項)。

    よって正しいものはウとオで、D。

  67. 問67

    国民年金法

    国民年金法に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。 ア 日本の老齢基礎年金の受給資格期間である10年を満たさない者について、保険期間を通算する規定がある社会保障協定を締結している協定相手国の年金加入期間がある場合は、当該期間が、日本の老齢基礎年金の合算対象期間となるだけではなく、協定相手国の年金制度への納付済保険料総額が日本の老齢基礎年金の年金額の計算の基礎に含まれる。 イ 保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が25年に満たない者(被保険者又は被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であるものを除く。)が死亡した場合に、当該合算した期間に合算対象期間を合算した期間が25年以上になる場合には、国民年金法第37条の2に規定された遺族の範囲にある遺族は、遺族基礎年金を受けることができる。 ウ 日本国籍を有する人が、20歳から60歳までの間に、日本国内に住所を有さずに海外に在住した期間のうち、昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの期間は、国民年金の任意加入被保険者でなくても、老齢基礎年金の受給資格期間を計算する場合の合算対象期間になる。 エ 昭和36年5月1日以後で、20歳に達した日の翌日から65歳に達した日の前日までの間に日本国籍を取得した者が、日本国内に住所を有さずに海外に在住した期間のうち、昭和36年4月1日から日本国籍を取得した日の前日までの20歳以上60歳未満の期間で、外国籍であったために国民年金の被保険者にならなかった期間は、老齢基礎年金の受給資格期間を計算する場合の合算対象期間にならない。 オ 昭和61年4月1日以後の第2号被保険者としての被保険者期間のうち20歳未満の期間及び60歳以上の期間は合算対象期間となる。

    1. A(アとウ)
    2. B(アとエ)
    3. C(イとエ)
    4. D(イとオ)
    5. E(ウとオ)

    正解:B

    解説

    正解はB。社会保障協定、遺族基礎年金の長期要件と合算対象期間、海外在住期間・日本国籍取得者・第2号被保険者の20歳前と60歳以後の期間の扱いを問う問題。誤っているのはアとエ。

    ア:誤り。期間通算の規定がある社会保障協定では、相手国の加入期間を老齢基礎年金の受給資格期間の判定に算入できるが、年金額は日本の加入期間に基づいて計算される。相手国に納めた保険料が日本の年金額の計算の基礎に含まれることはない。

    イ:正しい。保険料納付済期間と保険料免除期間の合算が25年に満たない者でも、合算対象期間等を合算して25年以上であれば、37条3号(長期要件)の適用上25年以上とみなされる(国年法附則9条1項)。

    ウ:正しい。日本国籍を有する者が20歳以上60歳未満で海外に在住した期間のうち、昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの期間は、任意加入していなくても合算対象期間となる(昭和60年改正法附則)。

    エ:誤り。20歳に達した日の翌日から65歳に達した日の前日までの間に日本国籍を取得した者の海外在住期間のうち、昭和36年4月1日から国籍取得日の前日までの20歳以上60歳未満の期間は、合算対象期間となる(昭和60年改正法附則)。「ならない」が誤り。

    オ:正しい。昭和61年4月1日以後の第2号被保険者期間のうち、20歳未満の期間と60歳以上の期間は合算対象期間となる(昭和60年改正法附則)。

    よって誤っているものはアとエで、B。

  68. 問68

    国民年金法

    国民年金法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものはいくつあるか。 ア 厚生労働大臣は、政令で定める場合における保険料その他国民年金法による徴収金の収納を、政令で定めるところにより、日本年金機構に行わせることができるが、年金給付の過誤払による返還金の収納は、日本年金機構に行わせることができない。 イ 厚生労働大臣及び日本年金機構は、国民年金事業が、適正かつ円滑に行われるよう、必要な情報交換を行うことその他相互の密接な連携を確保しなければならないとされており、また、厚生労働大臣は、日本年金機構の協力の下、国民年金事業に関する事務に従事する厚生労働省の職員に対し、当該事務を適正かつ円滑に行うために必要な知識及び技能を習得させ、向上させるために必要な研修を行うものとされている。 ウ 政府は、国民年金事業の実施に必要な事務を円滑に処理し、被保険者等の利便の向上に資するため、電子情報処理組織の運用を行うが、その運用の一部のみ日本年金機構に行わせることができる。 エ 厚生労働大臣は、国民年金法第1条の目的を達成するため、被保険者若しくは被保険者であった者又は受給権者に係る保険料の納付に関する実態その他の厚生労働省令で定める事項に関し、必要な統計調査を行うものとする。 オ 厚生労働大臣は、国民年金原簿の訂正請求に係る国民年金原簿の訂正に関する方針を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、社会保障審議会に諮問しなければならない。

    1. A一つ
    2. B二つ
    3. C三つ
    4. D四つ
    5. E五つ

    正解:C

    解説

    正解はC。厚生労働大臣と日本年金機構の関係(収納・連携・研修・電子情報処理組織の運用)、統計調査、国民年金原簿の訂正方針を問う個数問題。正しいのはイ・エ・オ。

    ア:誤り。機構に収納を行わせることができるものには、保険料その他の徴収金のほか「年金給付の過誤払による返還金」も含まれる(国年法109条の11第1項)。

    イ:正しい。厚生労働大臣と機構は相互の密接な連携を確保しなければならず(同法109条の13)、厚生労働大臣は機構の協力の下に職員の研修を行う(同法109条の14)。

    ウ:誤り。政府は電子情報処理組織の運用の「全部又は一部」を機構に行わせることができる(同法74条2項・3項)。一部のみではない。

    エ:正しい。厚生労働大臣は、保険料の納付に関する実態その他の事項に関し必要な統計調査を行う(同法108条の3第1項)。

    オ:正しい。訂正に関する方針を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ社会保障審議会に諮問しなければならない(同法14条の3第2項)。

    よって正しいものはイ・エ・オの三つで、C。

  69. 問69

    国民年金法

    国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A国民年金法附則第5条に基づく任意加入被保険者については、厚生労働大臣に任意加入の申出をした日に資格を取得することになっているが、日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者の場合は、最長60歳まで遡って任意加入被保険者の資格を取得することができる。
    2. B国民年金法第5条第1項の規定する保険料納付済期間には、保険料を納付することを要しないとされた第1号被保険者の産前産後期間は含まれるが、滞納処分により徴収された保険料に係る第1号被保険者としての被保険者期間は含まれない。
    3. C昭和35年4月14日生まれの者の年金加入歴が下記のとおりであるとき、この者が65歳から老齢基礎年金を受給する場合の年金額を算出する際に算入される月数の合計は444月となる。第1号被保険者期間132月(保険料納付済月数108月、保険料未納月数24月)第2号被保険者期間12月(すべて20歳以上60歳未満の期間)第3号被保険者期間336月
    4. D老齢基礎年金の受給権は、受給権者が死亡したときは消滅することになっているが、受給権者が日本国内に住所を有しなくなった場合においてもそのことを理由として消滅することになっている。
    5. E国民年金基金が支給する一時金については、給付として支給を受けた金銭を標準として、租税その他の公課を課することはできない。

    正解:E

    解説

    正解はE。任意加入被保険者の資格取得日、保険料納付済期間の範囲、老齢基礎年金の額に算入する月数、失権事由、国民年金基金の一時金と公課の禁止を問う問題。基金の一時金に公課禁止が準用される点が決め手。

    A:誤り。任意加入被保険者は申出をした日に資格を取得する(国年法附則5条3項)。60歳まで遡って取得する仕組みは無い。

    B:誤り。保険料納付済期間には、産前産後期間の保険料を納付することを要しないとされた期間(同法88条の2)も、滞納処分(同法96条)により徴収された保険料に係る期間も含まれる(同法5条1項)。

    C:誤り。年金額の計算に算入する月数は、第1号被保険者期間の保険料納付済月数108月、第2号被保険者期間のうち20歳以上60歳未満の12月、第3号被保険者期間336月であり、108+12+336=456月となる。未納の24月は算入されない。444月ではない。

    D:誤り。老齢基礎年金の受給権は受給権者の死亡によってのみ消滅する(同法29条)。日本国内に住所を有しなくなっても失権しない。

    E:正しい。公課の禁止(同法25条)は、国民年金基金が支給する一時金について準用される(同法133条)。

  70. 問70

    国民年金法

    国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. A60歳以上の妻が支給の対象となる寡婦年金は、夫が死亡した日の属する月の翌月からその支給が始まるが、60歳未満の妻が支給の対象となる寡婦年金については、妻が60歳に達した日の属する月からその支給が始まる。
    2. B障害基礎年金の受給権者が、厚生年金保険法第47条第2項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にない場合は、65歳に達したときに当該障害基礎年金の受給権は消滅する。ただし、65歳に達した日において、同項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して同項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく5年を経過していないときは除かれる。
    3. C厚生労働大臣は、障害基礎年金の受給権者について、その障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めるときは、障害基礎年金の額を改定することができるが、改定後の額による障害基礎年金の支給は、改定が行われた日の属する月から始められる。
    4. D配偶者に支給する遺族基礎年金については、子が2人以上ある場合であって、その子のうち1人を除いた子の1人又は2人以上が、障害等級(1級・2級)に該当する障害の状態にあるときを除いて、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときに年金額が減額改定される。また、障害等級(1級・2級)に該当する障害の状態にある子の場合は、20歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときに年金額が減額改定される。
    5. E国民年金法第96条第4項及び第5項の規定による滞納処分によって受け入れた金額を保険料に充当する場合においては、さきに経過した月の保険料から順次これに充当し、1か月の保険料の額に満たない端数は、納付義務者に交付するものとされている。

    正解:E

    解説

    正解はE。寡婦年金の支給開始月、障害基礎年金の失権、障害の程度による額改定の時期、配偶者の遺族基礎年金の減額改定、滞納処分による受入金の充当を問う問題。充当の順序と端数の交付(96条6項)が条文どおりである点が決め手。

    A:誤り。60歳未満の妻に支給する寡婦年金は、妻が60歳に達した日の属する月の「翌月」から支給を始める(国年法49条3項)。

    B:誤り。障害等級(厚年法の3級を含む)に該当しない者が65歳に達したときは失権するが、除かれるのは非該当となった日から起算して「3年」を経過していないときである(同法35条2号)。5年ではない。

    C:誤り。改定後の額による障害基礎年金の支給は、改定が行われた日の属する月の「翌月」から始める(同法34条6項)。

    D:誤り。障害等級に該当する子については、20歳に達した日以後の最初の3月31日ではなく、「20歳に達したとき」に減額改定となる(同法39条3項8号)。18歳到達年度末による減額改定(同項6号)の部分は正しい。

    E:正しい。滞納処分によって受け入れた金額を保険料に充当するときは、先に経過した月の保険料から順次充当し、1か月の保険料の額に満たない端数は納付義務者に交付する(同法96条6項)。

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